プロスぺクト理論を知り本能に立ち向かえ、投資に必要なメンタル・マネジメント

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

今回の超実践的短期売買を成功させる7ステップは「勝ち続けるためのメンタル・マネジメントとは」をテーマにお話しします。

勝ち続けるためのメンタル・マネジメントは、前回お伝えした損切りと直結する内容です。

短期トレードをするには、自分のメンタル(心理状態)をどう管理するかがとても重要です。

今回の記事では、短期売買において必要なメンタル・マネジメントの方法ついて解説します。クイズもご用意しているので、ぜひ、楽しんでご参加ください。

この記事の解説を、動画で観たい方はこちら

※この動画は過去に撮影した動画を再編集したものです。

この記事を読んで得られること
  • 投資になぜメンタル・マネジメントが必要なのか理解できる
  • プロスペクト理論について理解できる
  • クイズに答えるだけで投資家としての適性が分かる

人間の心理が相場を動かす=行動ファイナンス

1:18ころ

相場は「人間の心理」が動かしています。

皆さんは「行動ファイナンス」をご存じでしょうか?

行動ファイナンスは、2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン博士が、心理学と経済学を融合させた理論です。

簡単に説明すると、「人間の感情」と「経済の動向」を学問的に証明したものが行動ファイナンスです。

近年では、行動ファイナンスはテレビや雑誌などのメディアで取り上げられるようになりましたが、まだまだ知らない方が多いです。

大震災やリーマンショックのような大事件が起きたときに、マーケットはパニックを起こして株価が一気に下がります。

このヒステリーこそが、大損に繋がっているのです。

また、よくある話で「インターネットの掲示板に、A社が上昇すると書いてあったので買ってみたが、株価はずっと下げ続け、損失額が大きくなったので損切りをしたが、その直後に株価は上昇に転じた」など。

私も経験していますし、受講生の皆さんも経験していることです。

行動ファイナンスでは、「人間がなぜこのような行動をとるのか」人間の心理と経済の面から研究しています。

プロスペクト理論に基づいたクイズ

3:00ころ

ここでプロスペクト理論に基づいたクイズを出題します。プロスペクト理論については後程ご説明します。

質問1

新規事業が成功して、ボーナスが出ることになりました。

お金が入った【A】か【B】の封筒を選びます。あなたはどちらの封筒を選びますか?

【A】100万円のボーナスが支払われるが、15%の確率で1円も入っていない。
【B】すべてのスタッフに80万円が支給される

こんな会社が実際にあったら嫌ですけどね(笑)

少しの間、皆さんならどうするか考えてみてください。

質問2

新規事業に失敗して、穴埋めのためにボーナスを返上することになりました。あなたはどちらを選びますか?

【A】80万円を支払う。
【B】100万円を支払うが、15%の確率で支払いを免れる。

この質問も少し考えてみてください。答えと解説は次の章で行います。

クイズの答え、投資家としての適性は?

5:16ころ

この質問にどう答えるかで、投資家としての適性が分かります。

下記の表に結果がまとまっています。

皆さんはどのタイプでしたか?

これは、「投資の心理学」という本から引用しています。

このクイズは、プロスペクト理論を基に作られています。プロスペクト理論とは投資をするのであれば覚えておいた方がいい理論です。

プロスペクト理論とは

6:50ころ

プロスペクト理論の要点は以下の通りです。

人間は確実な利益を好む

利益が出ているのであれば、すぐに利益を確定させたくなる。

人間は利益を受ける場合はリスクを避けようとし、損失を被る場合はリスクを取ろうとする

10万円の含み益が出ている場合は、早めに利益確定をしたくなる。
含み損が出ている場合「もう少し時間が経てば戻るだろう」と新たにリスクを取る行動に出る。

人間は表現の仕方によって、選択を変える傾向がある

日足のチャートを見ると下落しているが、週足のチャートをでは対して下落していない。
だから、このポジションは値上がりして助かるだろうという根拠のない見込みを立ててしまう。

そもそも、人間にはプロスペクト理論がプログラムをされています。

利益確定が早く、損切りが遅れるのは人間が持っている性質です。

私たちが短期売買でうまく立ち回るには、人間のプログラムに逆らわないとなりません。

前回は、「儲けるのではなく、元本を守るために早めの損切りをしてほしい」とお伝えしました。

これは、我々人間に組み込まれているプログラムに反する行為をしなくては儲からないからです。

「自分はそんなことがない!」という方もいらっしゃると思いますが、行動経済学という学問で証明されていることなのです。

まとめ

メンタル・マネジメントの重要性は、ご理解頂けましたか。

自分の感情で取引をしてしまうと、プロスペクト理論通りの行動をしてしまい、株式投資で利益を出すのは難しくなってしまいます。

人間は、「含み益が出ている時にはどのような行動をするのか」反対に「含み損の時はどのような行動をするのか」を理解しましょう。

そして、プロスペクト理論通りの行動をしないようにする必要があります。

自らの頭で、プログラムに反した行動をとることが利益に繋がります

一旦はプログラムと違う行動ができるようになっても、気を抜くとすぐに忘れてしまうので、繰り返し身体に染み込ませてください。

人間に組み込まれているプログラムに反する行動をとるのは難しいことですが、訓練をして一緒に利益を出していきましょう。

紫垣 英昭