株暴落を示唆!? 2007年当時と酷似している日経平均株チャート

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

「株価暴落・・・」

それは何の前触れもなく、突然起こります。

2009年以降、米国株価指数は一調子で上昇し、現在NYダウ指数は21400ドル台で推移し、度重なる警告を嘲笑うかのように上昇を続けています。

日経平均株価も米国トランプ政権発足後、周囲の雑音をかき消すかのように上昇を続け、2016年高値を更新しています。

実は僕も2016年以降の株価予測については「急落の可能性が高い」ということを言い続けてきました。

確かに2016年初めの暴落、6月の暴落など急落を経験しましたが、その後は株価上昇に転じ、2万円維持という展開になっています。

このまま、日米ともに株価は上昇を続けるのでしょうか?

僕は「日経平均株価は“急落前夜”かもしれない・・・」と考えています。

なぜなら「10年前」の日経平均株価の動きと非常に良く似ていることが、とても気になっているからです。

今回の記事では、2007年7月からの日経平均株価暴落時のチャートを比較し、その可能性を考えてみたいと思います。

この記事を読んで得られること
  • 日経平均株価の10年サイクルがわかる
  • 日経平均株価の規則性がチャート付きでわかる
  • 株価が暴落するときの特徴がわかる

日経平均株価の10年サイクル

僕の相場の見方を聞いた経験がある方には、おなじみだと思いますが、僕は日経平均株価には「10年のサイクルがある」という立場を取っていて、株価の先行きを予測するためのベースにしています。

そこにはかなり確度の高い“規則性”が存在していると僕は考えています。

以下の図は僕が、2005年当時に作ったセミナー用の資料です。

この図は、2017年以前、10年ごとに遡った日経平均株価の年初から年末の動きを示した図です。

見ていただければお分かりのように、1957年~2007年まで過去60年間、日経平均株価はいずれも大きな下落に見舞われています。

これは単なる“偶然”なのでしょうか??

「そんなもの、偶然に決まっているじゃないか!」といわれそうですが、もうひとつ僕は注目しているものがあります。

それは、10年前の日経平均株価との比較です。

 

2007年当時の日経平均株価と酷似している

先週、気付いたことがあります。

それは「10年前の日経平均株価と、とても良く似ている」ということです。

まずは、10年前と同じ時期の日経平均株価の動きです。(2006年9月~2007年7月20日)

このときも3月以降、ジリジリ株価は上昇を続けますが、着目すべきは、変動率(ボラティリティ)の低さです。

以下は、現在の日経平均株価ですが、多少時期は異なるものの5月以降、変動率(ボラティリティ)の低い状況が続いているのです。

最近、「VIX指数」が、歴史的低水準にあるとの報道を耳にしたことがあると思うのですが、実は2007年当時も同じような状況がありました。

これは今年と極めて似た状態なのです。

 

2007年8月17日、225先物は一時ストップ安

2007年7月23日から、ジリジリ上昇を続けていた日経平均株価は、突如下落に転じます。

そして25日以降は大きくギャップを空け、誰の目にも株価は下落に転じたことを感じる動きになりました。

8月に入っても株価はさらに急落を続け8月17日、日経225先物はザラバで一時、ストップ安の暴落になったのです。

その後、株価は反転に転じるものの、2007年秋から再び、安値更新をすることになります。

もちろん今年も同じ動きになるかどうかは分りませんが、現在のように変動率が低い状況は、いつまでも続くことはなく、どこかのタイミングで、必ず変動率は上昇に転じることになります。

 

株価暴落は、いきなり訪れる

いつの時代も株価の暴落は、いきなり訪れます。

とくに今のようにジリジリ株価が上がるとき、とても強く感じるものです。

下げると思ったものが下がらないと、「また上がるかも?」と知らず知らずのうちの「買いポジション」を抱えてしまうからです。

このような時は、含み益の状態にあることが多いので、どうしてもリスク管理が甘くなりがちです。そんなとき“暴落”は突然、訪れます。

ここで覚えておいてほしいのが、「暴落時は、ギャップを大きく空けて下げる」ということです。(※ギャップとは、前日の終値から翌日の寄り付きの価格に大きな開きが起こること)

これまで変動率の低い状態が続いているので、大きなギャップはほとんどありません。

それはいきなり、前日の終値から、大きく下げて寄り付く場合、大口投資家が一斉に「売り」に動いた可能性が考えられるのです。

これまでさほど大きな動きがなかった株価が、突然、ギャップを空けて急落する動気になった場合は、株価暴落を想定しておくべきではないかと思います。

 

まとめ

これまで30年間、株式市場の第一線で市場の動向を見てきましたが、株価暴落前夜は株価に期待感が蔓延しているときに起こります。

特に最近では、米国の長期金利が上昇に転じたことでドル円が上昇しており、日本株にはポジティブに考える人もいることでしょう。

しかしながら、ドル円と日経平均株価の相関性は徐々にではありますが、以前ほどの相関性はなく、ドルが上昇したからと言って必ずしも日本株が上がるとはいえなくなっている現実があります。

最近の株価の動きを見る限り、とても気持ちが良くない感覚を持っているのは、僕だけではないはずです。

 

紫垣 英昭

この記事をかいた人

投資家 / オープンエデュケーション株式会社代表取締役。1964年大阪生まれ。甲子園出場経験者。大学卒業後、証券会社に勤務し、事業法人、金融法人営業、自己売買部門を担当。証券会社退職後、株式投資をはじめ、 日経225先物、FX等の売買指導を行い、個人投資家から絶大なる信頼を得ている。証券会社時代に培ったスキルを投資初心者でも理解できるよう売買指導を行い、今では3000人以上の受講生を抱え、「真に自立できる個人投資家」を輩出するために積極的に活動している。著書に『初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法』(幻冬舎)『億を稼ぐ投資法則』(ユウメディア)『少額資金で儲ける株ゴー ルデンルール』(ユウメディア)がある。