紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
代表的な投資手法といえば「株式投資」が挙げられますが、一時期は「仮想通貨」が世間をにぎわせていました。
2017年のビットコインの高騰は記憶に新しく、このときに仮想通貨に興味を持った方もいるのではないでしょうか。
2020年のコロナ相場から、ビットコインが再高騰しており注目を集めていますが、仮想通貨にはビットコイン以外にも多数の銘柄があります。
今回の記事では、株と仮想通貨の違いをふまえて、どちらが初心者向きであるかを考えていきましょう。
- 株と仮想通貨の違いについて、5つの観点から比較することができる
- 株式投資と仮想通貨投資をどのように使い分けるべきかがわかる
- 株式投資と仮想通貨投資のどちらが投資初心者におすすめなのかがわかる
株と仮想通貨の違いを5つの観点から比較
投資に初めて取り組む方のなかには、「株と仮想通貨の違いがよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。
まずは、株式投資と仮想通貨の違いを5つの観点から比べてみましょう。
価格変動(ボラティリティ)
株よりも仮想通貨のほうが価格変動(ボラティリティ)が大きいため、売買のタイミングが良ければ、短期間で大きな利益を獲得可能です。
例えば、ビットコインのように急成長して、価値が大幅に上がることもありえます。 少額からでも投資可能で、億単位の利益が出ることもあるのが仮想通貨の特徴です。
ただし、仮想通貨は価格変動で高リターンを狙えるものの、値幅制限がないため価値が著しく低下するリスクがあることに注意しましょう。
一方、株式投資はストップ高・ストップ安があるため、たとえ株価が急落したとしても途中で値幅制限がかかります。
損失の下限がないという意味では、株式投資よりも仮想通貨のほうがリスクの高い手法といえるでしょう。
歴史の長さ
歴史の長さでいえば、仮想通貨よりも株式投資のほうが圧倒的に長いです。
仮想通貨が誕生したのは2008年であり、その歴史は約10年と比較的短いことをご存知でしょうか。
なお、現在は「仮想通貨」ではなく「暗号資産」が正式な呼称となります。
一方で株式投資の歴史は古く、世界初の株式会社と呼べる東インド会社が生まれたのは1602年のことです。
歴史の長さがまったく異なることもあり、取引量も市場規模も株式市場のほうが大幅に上回っています。
ただし、仮想通貨が新しく登場した投資対象であるからこそ、「今後の可能性を秘めている」という見方もできます。
株式投資と比較すると今後の流れを読みづらいですが、状況を見極めながら投資判断を行なっていきましょう。
インカムゲインの有無
株式投資の場合は、保有しているだけでインカムゲインを得ることができます。
インカムゲインとは株主優待や配当金などの特典のことであり、企業によって特典の内容は異なります。
個人投資家のなかには、株主優待や配当金を得るために株式を購入する方も存在するようです。
仮想通貨の場合は、基本的にインカムゲインはありません。
ただし、「ステーキング」という仕組みにより、仮想通貨を保有しているだけでインカムゲインを得られるサービスも存在します。
レバレッジ効率
レバレッジ効率については株式投資も仮想通貨投資もほとんど差がありません。
株式投資のレバレッジは最大約3.3倍、仮想通貨投資のレバレッジは最大4倍と設定されています。
FXのレバレッジが最大25倍であることを考えると、株式投資も仮想通貨も倍率がかなり低めといえるでしょう。
ただし、仮想通貨のレバレッジに関しては2020年5月の改正法により、4倍から2倍へ順次引き下げられることが決まっています。
引き下げのタイミングは取引所によって異なるため、取引所ごとに上限の確認が必要です。
※2021年5月1日以降は、すべての取引所で最大2倍の設定に切り替わります。
発行団体
株式は企業が発行しますが、仮想通貨には発行団体が存在しません。
国や企業に管理されず、電子データとしてインターネットで取引されます。
仮想通貨は「通貨」という名前が付けられているものの、国家が発行する法定通貨とは大きな違いがあるのです。
そもそも株式と仮想通貨とでは、発行団体だけでなく発行する目的も異なります。
株式は企業の資金調達の手段として発行されますが、仮想通貨の発行目的は銘柄によってさまざまです。
「株式投資」と「仮想通貨投資」は投資スタイルによって使い分ける
ここまで株と仮想通貨の違いを説明しましたが、投資初心者はいったいどちらを選べばよいのでしょうか。
もし判断が難しいようであれば、まずは自分のやりたい「投資スタイル」を把握することから始めてみましょう。
投資スタイルには、長期投資・中期投資・短期売買・デイトレードの4種類があります。 それぞれの期間の目安は以下のとおりです。
- 長期投資:1年前後
- 中期投資:3~6ヵ月前後
- 短期売買:2~5日前後
- デイトレード:1日で決済完了
それぞれの投資スタイルにメリット・デメリットがありますので、理解したうえで自分に合ったやり方を選ぶ必要があります。
結論からいえば、短期間で利益を得たいなら「仮想通貨」、中長期であれば「株式投資」がよいでしょう。
とはいえ、投資初心者のうちは投資スタイルを選ぶだけでも難しいと感じるかもしれません。
経験やスキルが不十分なうちは、資金が少なくても比較的チャレンジしやすい「長期投資」からスタートするのがおすすめです。
短期売買やデイトレードなど短期間の投資スタイルは、値動きの激しい銘柄に投資する分、高いスキルを求められます。
投資初心者が短期投資で成功しようとすると、冷静な判断ができなくなり損失が大きくなってしまうケースも多いです。
仮想通貨は歴史が短いこともあり、中長期的に価値がどうなっていくのか予測しづらいという注意点もあります。
投資に徐々に慣れていくという意味でも、まずは中長期の「株式投資」から始めることをおすすめします。
まとめ
仮想通貨はリターンの期待値が大きいものの、ストップ安がないため、急落で大きな損失が出てしまうパターンも少なくありません。
そもそも、仮想通貨は誕生したばかりの新しい投資対象です。
今後も新しい規制が出てくる可能性がありますので、最新の情報を確認しておきましょう。
中長期的に保有したい方は「株式投資」、短期売買・デイトレードに興味がある方は「仮想通貨」がおすすめです。
初めて投資に取り組む方は、まずは「株式投資」で長期投資を行なってみてはいかがでしょうか。
株と仮想通貨の違いを理解したうえで、自分の投資スタイルに合わせて投資対象を選んでみてください。
紫垣 英昭
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