紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
今回は「どの市場で勝負をするのか」をテーマにお伝えしていきます。
デイトレードをする場合、どの市場を狙うかはとても重要な要素です。東証一部なのか新興市場なのかということですが、各市場によって株価の動き、速度が全然違います。
当然、売り買いともに板が詰まっている東証一部の方が、しっかりした動きになります。
これに対して、板の薄い新興市場だと値動きが荒くなることがあります。
自分が、どこの市場を狙っていくのかにより、デイトレードの戦略が変わってきます。
各市場の特性を理解して、自分がどの市場でトレードをおこなうのが良いのか、一緒に考えていきましょう。
※この動画は過去に撮影した動画を再編集したものです。
- 日本の株式市場の各市場の特性がわかる
- 株初心者のデイトレードでは東証一部を狙うべき4つの理由がわかる
日本の株式市場各市場の特性
各市場の特性を簡単にまとめました。
まずは、各市場がどのような特徴があるのかを把握しましょう。
東証一部
東証一部銘柄は、相対的に見て流動性が高いと言えます。
したがって、売り買いともに多くの注文が入ります。売り板・買い板ともに何万株、何十万株という形で、ずっと売り買いの注文が溜まっている状況です。
東京証券取引所の市場第一部のこと。
ここに上場している企業を「東証一部上場銘柄」と言う。
上場の基準が厳しいため大企業が多く、上場すれば信用度がとても高くなる。
日本を代表するトヨタ自動車、NTTドコモ、ソニーなども東証一部に上場。
2,000社以上が東証一部に上場している。
東証二部
これが東証二部になると、極端に流動性が低下します。
東証二部の銘柄は、動いている銘柄と動いていない銘柄が明確に分かれます。
動いていない銘柄は、売りも買いもない状況で、本当に動きがありません。ただ、急激な価格変動が起こります。
これが東証二部の特性です。
東証一部と比べると時価総額が低く、流動性も低い中小規模の企業が上場している。
信頼度や知名度は東証一部上場企業に比べると低いが、株主からの圧力や海外投資家から目を付けられないことが多い。
500社弱が東証二部に上場している。
マザーズ
マザーズは、ITバブルのときにできた指数で、比較的株価の高い銘柄が多いです。
当然銘柄によっては、値の安い銘柄もありますが、最近は値段がだいぶ嵩上げされてきた感があります。
マザーズは、700円とか1,000円以上の銘柄の方が、物色される(商いがある)傾向にあります。
東証二部も同様ですが、物色対象がかなり偏りやすいということです。
急上昇、急落しやすいので、これが大きな注意点です。
成長企業を中心とした市場。
マザーズも東京証券取引所が運営している。
東証一部上場への前段階と位置付けられており、マザーズで成長した後に東証一部へ鞍替えすることが多い。
約330社が上場している。
JASDAQ
JASDAQは、相対的に株価が安いものが多いです。
流動性は低いので、基本的には乱高下しやすく、寄り付きから一気に上がったと思ったら、その直後に急落することも頻繁に起きます。
逆に、急落せずにそのままストップ高まで走ってしまうこともあります。
マザーズと同様に成長企業向けの市場。
しかし、1963年に日本証券業協会が創設した店頭登録制度が前身となっており、歴史があるため、老舗企業と成長企業が混在している。
約660社が上場している。
デイトレードでは東証一部を狙うべきな4つの理由とは?
結論からお伝えすると、「デイトレードでは東証一部を狙うべき」です。
なぜ、値動きが早くて大きい新興市場でなく、東証一部なのかを解説致します。
出来高が多く、板がしっかり詰まっている
私は、東証二部やマザーズ、JASDAQの銘柄でデイトレードすることもありますが、勝負はとても早いです。エントリーした瞬間に売ることもあります。
新興市場では、瞬間的に大きく動いたところを、即利益確定する必要があります。
つまり、何十秒、場合によっては10秒、20秒で勝負を終えてしまうこともあります。
なぜ、これほど出口を速くするかというと、いつ下がるか分からないからです。
早い売買をしているので、自分が売った瞬間にもっと上がって、ストップ高に張り付くことも頻繁にあります。
しかし、ストップ高に張り付くとか、急落するとかは、蓋を開けてみないと分からないことです。
以前の講座でもお伝えしましたが、デイトレードの目的は、利益が少なくても勝ち組にまわることですよね。
そのため、新興市場で売買をするのであれば、出口はかなり早くなります。
もし、新興市場でデイトレードをするなら、スピード感のある取引をする。
いつでも売り買いが可能
東証一部は商いが多いので、成り行きで取引をしてもしっかりと一文上の板で買えます。
まれに、現在の値段から大きく飛ぶこともありますが、流動性が高いので、買うにも売るにもトレードがしやすいです。
日経平均株価との連動性が高い
日経平均株価との連動性が高いことも、東証一部を狙う理由です。
特に日経225に関連する銘柄は、日経平均株価との連動性が高くなりますよね。
したがって、ドル円や日経先物の動きを見ながらエントリーポイントを考えていくことができます。
価格変動が急ではない
この記事を読んでいただいている方の中には、初心者の方もいらっしゃると思います。
初心者の方には、価格変動が急ではない東証一部が特におすすめです。
デイトレード歴が浅いと、急激な動きにはついていけないですよね。
新興市場では、「成り行きで注文を出したら一番高いところを買ってしまった」ということが平気で起こります。
逆に、東証一部銘柄は流動性が高い分、値段が飛ぶことはあまりありません。
リスクという観点から考えても、やはり東証一部がベストな選択です。
東証一部の株価には上下の波ができる
東証一部は、急な動きが少ないから利益が取れないかというと、そんなことはないですよね。
逆に、東証一部の方がディーラーや機関投資家、ファンド系が入っていますので、相場の上げ下げの波ができやすくなります。
デイトレードは買った位置、売った位置から動かないと、収益機会がありません。
東証一部の銘柄は、いろんな人が売買するため、上下に波ができやすいのでデイトレードの収益機会が生まれやすいと言えます。
相場環境によっては、東証一部銘柄の取引が見送られて、資金が新興市場にいくことがあります。
そのような場合でも、初心者の方が値動きの早い新興市場にいくのはリスクがあります。
まずは、東証一部で経験を積んでから新興市場に挑戦しましょう。
まとめ
デイトレードをするなら、東証一部で勝負するべき4つの理由について解説致しました。
特に初心者の方は、値動きが緩やかで上下の波ができる東証一部から始めましょう。
経験も無いうちから新興市場で勝負をするのはリスクが高いです。デイトレードは博打や一発逆転のための手段ではありません。
まずは、少なくても利益を確保することから始めましょう。
今回、ご説明した4つの理由
- 出来高が多く、板がしっかり詰まっている
- いつでも売り買いが可能
- 日経平均株価との連動性が高い
- 価格変動が急ではない
これらの意味をしっかりと理解して、利益を上げていきましょう!
紫垣 英昭
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