【スタイル別】専業投資家になるには”ズバリ”いくら資金が必要か?

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

最近、僕のブログの読者さまや、「無料通信講座」の受講生さまから、こんなメールを良くいただくようになりました。それは・・・

「専業トレーダーを目指しているのですが、資金はどれくらい必要なのでしょうか?」という質問です。

「人生100年時代」という言葉を耳にすることが多くなりました。

これは、長寿化によってこれまでとは異なる新しい人生設計が必要になってきているということを意味しています。

それと同時に、金融庁公表の「夫婦の老後資金に2000万円が必要」という報告書などから、将来に対して不安を持つ人も多くなってきています。

「定年後の収入はどうなるのか」「年金はどの程度もらえるのか」「どれくらいの貯えが必要なのか」などの不安から、今まで貯蓄した資金を元手に老後資金を稼ごうと、「専業投資家」を目指しているのではないでしょうか。

「専業投資家」というと、「定年を気にしなくて良い」「普通のサラリーマンでは得られないような収入を得られる」などのイメージがあるかもしれませんが、失敗すると資金を大きく減らすリスクがあります。

しかし僕自身、長年「専業投資家」をやってきて言えることは、ちゃんと自分の「投資スタイル」を確立することで、安定した収益を実現できるということです。

今回の記事では、これから「専業投資家」を目指そうとお考えのあなたに「専業投資家になるために、いくら必要か?」ということを、「投資スタイル別」で提案させていただきました。

また、専業投資家として成功するために“絶対必要な3つのポイント”についても触れました。

ぜひ最後まで読んでみてください。

この記事を読んで得られること
  • 専業投資家になるために必要な資金の算出方法がわかる
  • 専業投資家で失敗しないためのポイントがわかる
  • 専業投資家として成功するためにはどうしたらいいかがわかる

専業投資家になるために資金はどれくらい必要?

まずはじめに、専業投資家になるためには「投資資金」が必要です。

投資資金は、最悪の場合「ゼロ」になってしまう可能性もありますので、必ず「生活費」とは分けておき、投資資金がなくなっても生活は続けられるようにしておいてください。

そして、投資には「株式投資」「先物投資」「FX」「債権」など、様々な種類がありますが、今回は「株式投資」について説明していきたいと思います(考え方は他の投資でも同じです)。

ちなみに、「生活費」とは別に「投資資金」が用意できない場合は、「兼業投資家(副業として投資をする)」という選択肢もありますので、ご参考まで。

まずは、投資スタイルを決める

投資には、投資商品の保有期間(購入してから売却するまでの期間、あるいは空売りしてから買戻すまでの期間)によって投資スタイルが分かれます。

大きく分けると次の3つのスタイルがありますので、それぞれの特徴と合わせて見ていきましょう。

中長期投資

中長期投資とは、保有期間が概ね半年以上の投資スタイルになります。

基本的には「これから値上がりするだろう」と思う銘柄を選び、購入したら値上がりするまでひたすら待つという投資スタイルで、バリュー投資(割安株投資)やグロース投資(成長株投資)などが挙げられます。

保有期間が長く、資金効率(資金をどれだけ効率的に運用できるか)が低いため、投資資金の多い人向けの投資スタイルです。

スイングトレード

スイングトレードとは、保有期間が数日~数週間の投資スタイルになります。

保有期間が比較的短いため資金効率が高く、立会時間外でも注文を入れておくことができるので、日中に注文を出したり値動きをチェックすることができないサラリーマンにも人気の投資スタイルです。

デイトレード

デイトレードとは、保有期間が数分~数時間の投資スタイルになります。

資金効率が一番高く、その日のうちにトレードが完結するため、立会時間外に相場が急変するリスクを避けることができるので、専業投資家や機関投資家などの参加者が多い投資スタイルです。

投資スタイルと年間の収入目標から、必要資金を算出する

専業投資家になると、収入源は投資しかありませんので、投資でどれくらい稼げるかを事前に把握しておくことも重要です。

参考までに、「どの投資スタイルで」「どれくらいの資金を運用すると」「どれくらい稼げるのか」をシミュレーションしてみましょう(いずれも、税金や手数料などは考慮していません)。

※平均損益率:利益と損失を合わせたトータル損益の平均
※資金回転数:1回の保有期間で全額投資したとき、1年間で投資できる回数

仮に、年間収入目標を300万円としたとき、必要な投資資金は年間利回りで割れば算出できますので

  • 中長期投資:300万円÷20%=1,500万円
  • スイングトレード:300万円÷100%=300万円
  • デイトレード:300万円÷250%=120万円

となります。

上記はあくまでシミュレーションですので、この通りになる訳ではありませんが、保有期間が少ない投資スタイルで売買回数を増やした方が効率良く稼げる(資金効率が高い)ということが分かりますよね。

したがって、専業投資家になりたい人で、資金があまり用意できない人やたくさん稼ぎたい人は「デイトレード」がオススメということになります。

ただし、投資スタイルは、自分に合った手法や自分の性格に向いているかどうかよっても変わってきますので、「たくさん稼ぎたい」ということだけで決めないように注意しましょう。

専業投資家として成功するために絶対必要な3つのポイントとは?

ここまでの説明で、「自分が専業投資家になるためには、どれくらいの投資資金が必要なのか」がイメージできたと思いますので、ここからは、本題の「専業投資家として成功するためのポイント」について説明していきたいと思います。

結論から言ってしまうと、ズバリ「トータルで安定的に収入が得られること」です。

兼業投資家など、副業で投資をしている人であれば、投資で稼げない時期があっても本業で生活費を確保できるので問題ありませんが、専業投資家の場合、どのような状況であっても最低限生活費分は投資で稼がなければなりません。

そのため、「安定的に」というのが絶対条件なのです。

また、どんなに優秀で稼いでいる投資家であっても、負けない(損切りしない、勝率100%)ということはありえませんので、1回1回の投資の勝ち負けは気にせず、「トータルで損益がプラスになる」というのも重要です。

それでは、いくつかのポイントに分けて具体的に説明していきましょう。

どのような相場環境でも稼げる手法を身に付ける

相場環境は、上昇することもあれば下降することもあり、常に変化しています。

下図は、2017年の日経平均の日足チャートです。

3月~4月で少し下降した時期はありますが、全体的には横ばい期間を挟みながら上昇しています。

特に、9月~10月は大きく上昇しましたので、初心者の人でもたくさん稼げたという人は多いかもしれません。

続いて、2018年の日経平均の日足チャートです。

2018年は、2017年とは変わって何度も相場が急変した年でした。

横ばいの期間でも値幅が広いため上昇するのか下降するのか読み辛い展開となっており、特に下降期間では急落することが多かったため、2017年で稼いだ分を失ってしまった人も多いかもしれません。

このように、過去2年間だけを見ても相場環境が全然違うことが分かると思いますが、専業投資家であれば「2017年は稼げたけど、2018年は稼げなかった・・・」なんてことではいけません。

相場環境は、基本的に「上昇」「下降」「横ばい」の3パターンに分けられますので、どのパターンでも稼げる手法を身に付ける必要があるのです。

一般的には、トレンドが発生している場合は「順張り」(上昇では買い、下降では空売りでエントリーする)、トレンドが発生していない場合(横ばい)は「逆張り」の手法が有効だと言われていますので、1つの手法だけでなく、複数の手法を身に付けるのが1つ目のポイントです。

同じ売買ルールを一貫してやり続ける

例えば、コインの表が出たら100円貰えて、裏が出たら50円払うというゲームがあったとしたら、あなたはやりますか?
仮に、やるとしたら何回やりますか?

このゲームの場合、誰が考えても「やればやる程儲けることができる」というのは分かりますので、1回や2回でやめたりしませんよね。

しかし、表か裏かを毎回選ぶことができるとしたらどうしますか?
裏が2回連続で出た場合、3回目は裏が出る方に賭けますか?それとも、3度目の正直で表が出る方に賭けたままにしますか?

毎回、同じ面で賭け続けていれば、勝率は5割で安定していきますが、毎回賭ける面を選んだ場合、5割以上勝てるかもしれませんし、負けるかもしれません。つまり、勝率が安定しません。

投資は「ギャンブル」ではありません。
負けるリスクを背負って大きな勝ちを狙うのではなく、安定的に稼げることが重要なので、同じルールで続けることが2つ目のポイントです。

ちなみに、賭け金を毎回変えるのもいけません。
小さく賭けたときに勝っても、大きく賭けたときに負けてしまっては、勝率は安定しても収益が安定しなくなってしまいます。

そのため、「勝率」「利益の額」「損失の額」を踏まえて、トータルで損益がプラスになる売買ルールを作り、そのルールでやり続けることが重要です。

ちなみに、売買ルールには「資金管理」という概念が重要になりますので、以下のページも読んでみてください。
毎月20万円以上稼ぐ個人投資家が必ず行う「資金管理」方法とは

メンタルをコントロールする

専業投資家として成功するためのポイントの1つ目で売買手法を身に付け、2つ目で売買ルール通りにやり続けることを学びましたが、最後のポイントは「それを実行に移すこと」です。

おそらく、ほとんどの人が「2つのポイントが分かっていれば実行するでしょ」と思っているかもしれません。

しかし、分かっていても実行できないのが投資(トレード)です。

初心者は「損切りができない」「すぐに利食いしてしまう」というのはよく言われていることですし、損失を取り戻そうとポジションを大きくして資金を失ってしまったというのも聞いたことがあるでしょう。

これは「プロスペクト理論」と言って、聞いたことがある人も多いと思いますが、人間は心理的にこのような行動を取りやすいので、頭では分かっていても実行できない人が多いのが現状です。

前述のコインゲームのように、結果が簡単に分かるような場合では適切な判断ができるかもしれませんが、投資のように「どこで反発するか分からない」「どこまで上昇するか分からない」状況でルール通りに実行できる人はなかなかいません。

そのため、ルール通りに実行するためのメンタルコントロールが必要になってきます。
特に、その場の状況で瞬時に判断しなければならないデイトレードでは、非常に重要です。

また、専業投資家の場合、生活がかかっていますので、損失が続くと冷静に判断できなくなる可能性もあります。

そのような状況でも冷静に判断できるように、自分に合ったメンタルをコントロールする方法も身に付けておかなければならないのです。

投資に必要なメンタルコントロールに関しては、以下のページでも詳しく説明していますので、参考にしてみてください。
投資の世界で勝ち続けるために必要なメンタルと鍛え方
まだ塩漬け株持ってるの?損切りができない自分を変える方法

まとめ

「専業投資家」という道は、決して楽な道ではありませんし、成功するためには、それ相応の覚悟が必要です。

ただ本気で目指すことで、成功への門は、それを目指す“すべての人”に開かれています。

「専業投資家」を目指そうとお考えのあなたに「投資スタイル別」での、目安になる「専業投資家」として活動するための必要資金をご提案させていただきました。

そして「専業投資家」として成功するために“絶対必要な3つのポイント”を合わせることで、より成功する確率を引き上げることができるはず。

もちろん、これだけで成功することができるという訳ではありませんので、まずは「投資家の基礎」として今回のポイントをしっかりと身に付けることから始めてみてはいかがでしょうか。

紫垣英昭