毎月20万円以上稼ぐ個人投資家が必ず行う「資金管理」方法とは

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

株のスイングトレードで、毎月20万円以上稼ぎ出す個人投資家が必ずやっていることがありますが、それは何だかご存知ですか?

一般的に株式投資を始めた初心者の90%は大きな損失を経験するといわれています。

特に比較的、短期間の“スイングトレード”の場合、短期間での相場のトレンドの変化に付いていくことができず、損失を積み重ねるケースが多く発生しています。

そこで、あなたに質問です。

あなたは、「株で安定的に利益を上げる」には、何が必要だと思いますか?銘柄のマル秘情報ですか? それとも何か特別な売買手法ですか?

もちろん、それらのことも重要だと思いますが、実は「株で安定的に利益を上げる」ことと、特殊な情報や売買手法とはあまり関係はありません。

もし両者の関係が密接なら、これだけ情報や売買手法が氾濫している現在では、損をする個人投資家はいないはずです。しかし実際には、安定的に利益を出している個人投資家は全体の一部に留まっているのが現状です。

では、安定的に利益を出している個人投資家は、何をもっとも重要視しているのでしょうか?

その答えこそが『資金管理』なのです。

『資金管理』(マネーマネジメント)をしっかりやっていれば、特殊な銘柄情報や売買手法なんか無くても、勝率が低くてもちゃんと利益を残すことができます。

しかも毎月安定して稼いでいる個人投資家全員が、「資金管理」をちゃんと行っていて、これをもっとも重要視しているのです。

この記事では、実際にスイングトレード、短期トレードで毎月、安定して稼ぎ続けている僕の方法を「資金管理」という視点からお伝えしたいと思います。

この記事を読んで得られること関連記事
  • 毎月20万円以上、株で稼ぐための「資金管理」が学べる
  • 具体的な数字で「資金管理」を理解することができる
  • スイングトレードで稼ぐのは勝率ではないことが理解できる

勝率は関係ないって本当?

株の取引で多くの個人投資家は「高い勝率」を目指す傾向があります。これはある意味当然のことで「勝率が高い」ということは、負ける数が少ないということなので心理的にも安定します。

したがって普通に考えれば「勝率7割」と「勝率3割」では、当然「勝率7割」が利益を上げやすいと考えるわけです。

しかし「勝率は7割だけど、勝つときの利益は10円、負けるときの損失は30円」と「勝率は3割だけど、勝つときの利益は20円、負けるときの損失は5円」だと、どちらが損益がプラスになるというと「勝率3割」だということになります。

つまり何がいいたいかというと、利益を上げることを考えるときは「勝率」だけでなく、「利益」と「損失」を合わせた「損益」で考えないといけないということです。

これを実現するのが『資金管理』のスキルなのです。

 

トレードの勝率ってどれくらい?

おそらく、多くの人が「プロのトレーダーは勝率が高い(9割くらい?)」と思っているのではないでしょうか?

もちろん、勝率が高い方が利益を上げやすいのは確かですが、「勝率3割くらいでも、年間で億単位を稼ぐ」人もいるようです。

これは、極端な例というわけではなく、前項で説明したように「勝率」と「利益」と「損失」をきちんと考えて売買すれば、勝率が低くても利益を上げることは可能だということの証拠です。

単純に考えれば、株の値動きは「上がる」「下がる」「横ばい」の3パターンしかないので、横ばいを除けば確率は2分の1、つまり5割になります。

したがって、初心者の方でも、「勝率5割」を実現するのは、そんなに難しいことではありません。

勝率が3割くらいでも「安定的に利益を上げる」ことができるのであれば、あなたも「自分でもできるかも」と思いませんか?

多くの人が資金を減らしてしまっている一番の原因は、「損失の金額が大きい」ことです。

利益を上げていくために重要なのは「損失の金額をコントロールすること」で、その方法が「資金管理」です。

 

資金管理とは?

「利益を上げるのに勝率は関係ない」「勝率は低くても利益は上げられる」ということが分かったところで、本題の「資金管理」について説明していきます。

資金管理は、以下の4つをトータルで考えて管理していきます(空売りの場合は、買いと売りを逆にして読み替えてください)。

  • トレード可能な資金(総資金)
  • 株を購入するための代金
  • 株を売ったときに得られる利益
  • 株を売ったときに失う損失

これから、この4つの項目をどのように考えていくのかを説明していきますが、あくまで「考え方」の説明なので、このとおりにやらなければならないというわけではありません。

少し分かりにくいかもしれませんが、何となくイメージできれば大丈夫です。

損益を計算する

ここで、「1.」で挙げた「勝率」「利益」「損失」を例に説明します。

10回の売買をした場合

  • 「勝率7割、利益10円、損失30円」では
    (10円×7回)-(30円×3回)=20円の損失
  • 「勝率3割、利益20円、損失5円」では
    (20円×3回)-(5円×7回)=25円の利益

 

 

となり、利益が出るのは「勝率3割」の売買方法ということになります。

このように、まずは「勝率」「利益」「損失」をトータルで考えたときに、損益がプラスになるような「売買方法」を行うことがとても重要なのです。

購入代金を決める

売買方法が決まったら、1回の売買でどれくらいの資金を投入するのかを決めます。(※印部分は、下の方に補足説明があります)

「安定的に利益を上げる」ためには、「継続してトレードすることができる」というのが「必須条件」です。

トレードができなくなったら、損失を取り戻すこともできなくなってしまいます。したがって連続で負けてしまった場合でも、資金を枯渇させないようにするために、「勝率」と「損失」から「購入代金」を計算するのです。

それでは、「勝率3割、利益20円、損失5円」を例に、総資金が100万円の場合について説明していきましょう。(利益、損失の金額は、1株あたりの金額とします)。

まずは、勝率が3割なので、7回連続で負けることを想定して計算してみましょう。(※1)

このとき、損失額が総資金の5%以内に納まるように購入代金を決めます。(※2)

1回の売買で許容できる損失額は、「100万円×5%÷7回=約7,000円」になります。

そして、今回は1株あたりの損失額が5円の売買方法なので、購入可能株数は、「7,000円÷5円=1,400株」となります。

ポイントは、損失額を5円で固定しているので、株価が1,000円であっても2,000円であっても、購入株数は1,400株で変わらないということです。(※3)

もし、売買方法が「勝率3割、利益20%、損失5%」であれば、購入可能金額は「7,000円÷5%=140,000円」となります(利益、損失の割合は、購入金額に対する割合とします)。

したがって、株価が1,000円であれば140株、2,000円であれば70株が購入可能となります。(※4)

いずれの売買方法でも、

  • 総資金と勝率から損失許容額を決める
  • 損失許容額と損失額(率)から購入可能株数(金額)を決める

という流れです。

※1 勝率が3割でも、7回連続で負けた後、次は必ず勝てるというわけではないので注意してください。また、7回連続で負ける確率も高くはないので、この辺は自身で調整してください。

※2 損失が出た場合、元の資金に戻すためにはその損失以上に利益を上げる必要があり、損失額が総資金の5%を超えると、元の金額まで戻すのが難しくなるためです。(詳細は「元本を回復するために必要な収益率」をご覧ください)

5%以上で設定する場合は、そのことを頭に入れておいてください。

※3 この場合、マイナス5円で決済するので
1,000円の株価で購入した場合、995円になったら決済、2,000円の株価で購入した場合、1,995円になったら決済となります。

※4 この場合、マイナス5%で決済するので、1,000円の株価で購入した場合、950円になったら決済、2,000円の株価で購入した場合、1,900円になったら決済ということになるのです。

資金管理を守る

一度、資金管理方法を決めたら、同じ資金管理方法で売買し、必ず守り続けていかなければなりません。そうしないと、トータルの損益がプラスにならず、安定的に利益を上げることができなくなってしまうからです。

例えば、「勝率3割、利益20円、損失5円」と決めていたのに、損失が20円になってしまったときが2回あったとします。

すると、
(20円×3回)-(5円×5回)-(20円×2回)=5円の損失
となってしまいます。

 

 

また、異なる資金管理方法を組み合わせるのも良くありません。複数の資金管理方法で売買する場合は、それぞれの売買を別々に管理するようにしましょう。

資金管理は、原則として必ず守らなければならないのですが、どうしても守れないときもあります。

例えば、

  • 利益を20円に設定していたのに、15円までしか上がらなかった。
  • 損失を5円に設定していたのに、ギャップダウンして-10円で寄付いてしまった。

このように、自分でコントロールできないような場合は仕方がないので、早めに確定させて、次の売買に気持ちを切り替えるようにしましょう。

ちなみに、利益の方は設定した値よりも上がる場合、どんどん上げて大丈夫です。そのかわり、上がった後に下がってきた場合は、設定した値を下回らないように注意してください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

少し説明が分かりづらいので、理解できなかった方も多いと思いますが、今回の記事でもっとも伝えたかったのは、

  • 勝率ではなく、トータルの損益で考える
  • 継続してトレードすることができるように、損失許容額を最初に決めておく

まずはこの2点だけを、しっかり覚えておくようにしてください。

株式投資の世界には「必ず儲かる魔法の手法」は、絶対に存在しません。

あなたの成功の源は「資金管理」であるということを忘れないようにしてください。

紫垣 英昭