株初心者の失敗談から学ぶ、デイトレードでやりがちな4つの失敗と対策

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

最近、僕の「デイトレード無料通信講座」を受講していただいている方から、良くこんなメールをいただきます。

「長期投資では損失が大きくなるので、デイトレード(デイトレ)で勝負したい!」といった内容です。

つまり、デイトレードならその日に決済をするので、損失額が拡大しないし、毎日、利益を確定できるから、デイトレードなら上手くやれるのではないか?というのが、その理由のようです。

では長期投資が上手くいかない人が、本当に“デイトレード(デイトレ)”なら上手くいくのでしょうか?

今回は、私の生徒さん(Aさん)が、株式投資を始めた頃に、デイトレードでやってしまった失敗談を語っていただいています。

そして、このAさんの失敗談を踏まえて、デイトレードで失敗しないためには、どのような点に注意しなければならないのかについて、説明していきたいと思います。

他の人が経験した、リアルな失敗談から対策を学ぶことによって、同じ失敗をするのを防ぐことができるようになります。初心者が陥りがちな失敗と、その対策について、ぜひ学んでみてください。

この記事を読んで得られること
  • 株のデイトレードで実際やってしまったリアルな失敗談を知ることができる
  • 株式投資のデイトレードで陥りがちな4つの失敗要因を知ることができる
  • 株式投資のデイトレードで失敗しないための対策を伝授

Aさんの失敗談と「4つ」の失敗要因:失敗の連続で元本を失った過去

さて、ここから、Aさんの失敗談とその失敗要因についてご覧いただきます。

Aさんは、株式投資を始めるにあたり、35万円の資金を用意しました。

正直、デイトレードをするには少ない金額でしたが、毎日何とか利益を出すことによって、資金を増やそうと考えていたそうです。

しかし実際には、儲けるどころか、あまりにも負け続けてしまったために、当初資金の35万円全てを失ってしまったのです。

そして新たに資金を投入してトレードを続け、最終的には損失額の合計が80万円にもなってしまいました。

「どうしてそんなに損をしてしまうの?」と思われた人もいるかもしれませんが、Aさんが経験した失敗の要因が以下の4つでした。

  1. 損失を取り戻そうと、無計画なナンピンを繰り返した。
  2. 損失を被ったことにより、冷静な精神状態が保てなかった。
  3. 海外の指数や経済指標のチェック、銘柄のニュースチェックを怠った。
  4. 自身のトレードルールがなく、根拠のあるエントリー、損切り、利食いができていなかった。

ではこの「4つの失敗要因」ついて、ひとつずつ見ていこうと思います。

無計画なナンピンを繰り返した

Aさんが経験したデイトレードの失敗要因の1つ目は、無計画なナンピンです。

ナンピンとは、購入した株が下がった場合、そこから更に買い増しをして平均取得単価を下げることです。

例えば、1,000円で100株購入したとします。その後、900円に値下がりしたところで100株買い増しするとします。そうすると、平均取得単価は1,000円から950円まで下がります。

したがって、株価が950円まで戻れば損失はゼロとなり、1,000円まで戻れば利益になるため、成功すれば利益を得やすい手法だと言えます(ナンピンしていなければ、1,000円まで戻っても利益はゼロ)。

しかし、株価が反発せずにそのまま下落してしまうと、ナンピンしなかったときよりも保有株数が多い分、損失額も大きくなってしまいます。

Aさんは損失を取り戻そうとこのナンピンを繰り返してしまい、さらに損失が膨らんでいきました。

「デイトレード」では、エントリー後、短時間で決済を行うので「ナンピン」という考え方は成立しません。よって、デイトレードでは絶対に行ってはならない方法なのです。

これをやってしまうと、Aさんのように一気に資金を失うリスクが高くなりますので、絶対にやらないようにしてください。

損失を被ったことにより、精神状態が保てなかった

デイトレードの失敗要因の2つ目ですが、損失を出してしまうと、なんとか損失を取り返そうと必死になって頭に血が上り、冷静さを失って計画通りにトレードできなくなってしまったことです。

「もう、何でそうなるんだよ!」とヤケになりながら銘柄を探し、見つからなければ何となくで買ってみたり、必要のないリスクを取ったりもしていました。

きっと、あなたも同じような経験をしているのではないでしょうか?

デイトレードは常に冷静に対処しなくてはなりません。頭に血が上って「自暴自棄」になったトレードは、絶対に上手くいかないということを覚えておいてください。

海外の指数や経済指標のチェック、銘柄のニュースチェックを怠った

デイトレードの失敗要因3つ目は、「デイトレードは、海外の動きや経済状況はあまり関係ない」と思ってチェックしていませんでした。

トレードするのは個別銘柄なので、日経平均株価や海外の指標、経済ニュースはまったく関係ないと思っていたということです。

しかし全体の株価の動向や、海外の動向により株価の方向性が決まったり急変することがあるのも株式相場です。

また、売買しようとしている銘柄のニュースは、値動きに直接影響を与える可能性が高いため、必ずチェックしなければなりませんが、それを怠ったことで大きく損をすることがありました。

以前、私がトレードした「東海カーボン(5301)」ですが、出来高が多く値動きも大きいため、トレードしやすい銘柄の1つです。

通常であれば、銘柄を選ぶ際に、その銘柄に関するニュースが出ていないかをチェックし、株価がどちらの方向(上昇or下降)に動くか予測してから売買します。

この銘柄の場合、2018年7月17日に下図のニュースが出ていました。

その結果、7月18日は下図のように株価は大きく値下がりしてしまいました。

私はこの日、ニュースをチェックするのを怠ってしまい、直前の値動きだけを見て上がるだろうと思い「買い」でエントリーしました。

すると、株価はどんどん下がっていき、何で下がっているのか分からないまま、反発するかもしれない(して欲しい)と思って、何度も「ナンピン」してしまいました。

結局、この日は合計で900株購入しましたが、株価は下がり続けて1度もプラスになることなく大きな損失を出してしまったのです。

事前にニュースをチェックしていれば、販売価格が値上がりしたことから「販売量が減少して業績が悪くなる」と思って株価が下がる予測をしていたかもしれませんし、「どう動くか予測できない」と思って様子を見ていたかもしれません。

ニュースが出たからといって、必ず値動きが分かるという訳ではありませんが、ある程度予測することはできますし、事前に準備をしておくことで冷静に対処することもできるので、ニュースのチェックはとても重要です。

自身のデイトレードルールがない

Aさんの致命的な、デイトレードの失敗要因4つ目は「トレードルールが無かった」ということです。

これはデイトレードに限ったことではなく、すべての投資において重要なことですが、特にデイトレードでは「トレードルール」が極めて重要であり、これが無いというのは致命的です。

「トレードルールがない」ということは、その場の“勘”や“感覚”でトレードしているということであり、そこには戦略も戦術もありません。

したがって失敗することは当然であり、上手くいくことは決してありません。

 

トレードで失敗しないためには

ここまで、Aさんの失敗要因についていくつか見てきました。

この失敗要因は、Aさんに限った話ではなく、多くの投資初心者によくある、そしてとても陥りやすい失敗です。

このような失敗をしないための対策を、1つずつ考えてみましょう。

この対策をしっかりと実行することができれば、あなたがこれからトレードするにあたって、Aさんと同じような失敗をする可能性を限りなく減らすことができます。

「無駄なナンピン」対策:事前に立てた計画以外のトレードは行わない

先ほどAさんは、「ナンピン」での失敗談を語ってくれました。

そもそも、ナンピンは自分の予測と反対の方向に動いてしまったときに「損切りしたくない」という気持ちから起こった行動です。

「株価が戻ってくる」という保証はどこにもありませんので、予測が外れてしまったら、傷が小さい内に「すぐ損切り(計画通り)」するようにしましょう。

絶対に「安くなったから買い増ししよう!」などと思ってはいけません。

精神状態が崩れてしまったら、トレードは一旦休止する

トレードを続けていれば、必ず損切りすることになります(プロでも勝ち続けるということはありません)。

1度や2度ならまだ良いですが、何度も連続して損切りしていると、誰でも冷静な精神状態を保つことはできません

プロは、多くの経験からメンタルコントロールの重要性を理解(実感)していますし、何度損切りしてもトータルで損益がプラスになる方法を知っていますので、冷静にトレードを続けることができます。

しかし、初心者や経験の少ない人は、頭では分かっているつもりでも、自分の資金がどんどん減っているのを見たら冷静ではいられませんので、そういう時は、無理してメンタルコントロールしようとせずに、落ち着くまで一旦トレードを休むというのも1つの方法です。

相場格言に「休むも相場」というものがあります。いったん相場から離れ、冷静になってみることで、これまで気付かなかったものに気付くことがあります。

そのことが、その後のトレードで大きな利益をもたらしてくれることは良く起こることなのです。

銘柄選びとニュースを関連付ける

「ニュースは必ずチェックする」といっても、全てのニュースをチェックするのは大変なので、だんだん疎かになってしまいます。

当然、ニュースの中には、特定の銘柄の値動きには関係ないものも多くありますので、「どうせ、チェックしても意味ないし・・・」と思ってしまう気持ちも分かります。

そういう場合は、

  • 銘柄を選らんでから、その銘柄に関連するニュースをチェックする
  • ニュースをチェックしてから、そのニュースで動きそうな銘柄を選ぶ

などの方法を取ってみるのも良いかもしれません。

いずれにしても、デイトレードはトレード回数が多くなるため、事前のチェック作業が多過ぎると、トレードを継続するのが難しくなってしまいますので、自分のできる範囲に絞った上で“必ず”行うようにしましょう。

自身の「トレードルール」を確立させる

野球でも、サッカー、ラグビーなど、強いチームは選手の能力の高いですが、それ以上に試合で行われる「戦略」に長けているチームは圧倒的な強さを持つものです。

この「戦略」が「トレードルール」に当たります。

どのように銘柄を選び、どのタイミングでエントリーを行い、他の投資家に先んじて利益確定し、極力、損失金額を抑え込むためには、デイトレードにおける「戦略、戦術」をしっかり構築しなければなりません。

デイトレードは、さまざまな情報を受け取り、その時々の状況判断を正確に行ってトレードすることが求められる高度な技術です。

よって成功するためには、あなた自身の「トレードルール」をしっかり持つ必要があるのです。

「トレードルール」を作るためのコツは、これまで上昇していた銘柄を100個集め、それぞれの1日の動きのパターンを分類してみましょう。

エントリー、利益確定、損切りのポイントを分類することで、価格変動の値動きのイメージが出来上がります。

できたイメージを、ノートなどに書き留めながらデータ化すれば、独自の「トレードルール」が出来上がると思います。

ぜひチャレンジしてみてください。

まとめ

今回は、「デイトレードにチャレンジしたい」という個人投資家に向けて、私の生徒さんであるAさんが実際に体験した失敗例を中心に説明させて頂きました。

もちろん、失敗例はこれだけではありませんし、他にもいろいろな対策があると思いますが、この記事を読んで「もしかしたら私にもできるかな」「ルールを守ってトレードすれば怖くないかも」と感じて頂けたのなら幸いです。

株式投資を始めるにあたって、まだまだ、学ぶべきことはたくさんありますし、サイト内にもたくさんの記事を用意していますので、もし、興味を持って頂けたのでしたら、これを入り口に、もっと知識を深めてみてください。

紫垣 英昭