紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
早いもので今年も、もう残すところ半月を切りましたね。
投資家にとって12月は、1年の投資状況を整理する月でもあります。
さて、皆様は、お使いの証券会社へのマイナンバーの提出はお済みですか?
実は、2018年年末までに、マイナンバーを証券会社へ提出することが法律で義務づけられています。
- 「今年中に提出と言われても、忙しくて年内には間に合わないかも」
- 「証券会社にマイナンバーを提出する方法がわからない」
- 「もし期限内にマイナンバーの提出が間に合わなかったら、口座が凍結されたり、株式取引ができなくなってしまったりするの?」
などいろいろと疑問や不安が多いのではないでしょうか?
ネット上では、マイナンバーを提出しないほうがよいといった意見も見かけますが、法律で決められている以上、マイナンバーを未提出のまま放置というわけにはいきません。
今回は、証券会社へのマイナンバーの提出方法や、また、提出しなかった場合はどうなるのか等の疑問にお応えできる記事となっています。ぜひ参考にしてみてください。
- マイナンバー制度とは何かがわかる
- マイナンバーの提出期限に間に合わなかったらどうなるかがわかる
- マイナンバーの証券会社ごとの提出方法がわかる
マイナンバーとは?
マイナンバーとは、2016年1月から始まったマイナンバー制度に基づき、個人に割れ当てられる個人識別番号のことです。
マイナンバー制度がスタートし、国民ひとりひとりに12桁の個人識別番号が割り当てられるようになりました。
このマイナンバーは、発行から変わることなく一生同じ番号を使い続けます。
マイナンバーは現在、社会保障、税金、災害対策に関する情報を一本化するために活用されており、年金の給付や災害時の支援金支給等、様々なところで使われています。
マイナンバー制度について、詳しくは内閣府のHPでされています。
証券会社へのマイナンバー提出義務化とは?
それでは、証券会社へのマイナンバー提出義務化とはなんでしょうか?
投資家は、投資で利益が出ると税金が発生します。
マイナンバーは収入や貯蓄などの情報を紐づけるためにも活用されるため、私達は証券会社へマイナンバーを通知することが義務付けられているのです。
2016年1月以降に、新規に取引口座を開設する場合、所得税法により証券会社へのマイナンバー通知が義務付けられています。
よって、2016年1月以降に開設した証券取引口座は、すべてマイナンバーの通知が済んでいることになりますので、対応は不要となります。
気を付けなければいけないのが、2015年12月より前に開設された口座についてです。
2015年12月より前に開設された口座については、「所得税法」により2018年12月末までに提出することが義務付けられています。
つまり、今年中に対応しないといけないのです。
もし期限までにマイナンバーを提出しなかった場合はどうなるのでしょうか?次で解説します。
今年中にマイナンバーを提出できないとどうなる?証券会社ごとの対応
それでは、期限までにマイナンバー提出しない場合どうなるのか。各証券会社の対応をホームページで確認してみました。
SBI証券の場合
引用)SBI証券|マイナンバーを提示しない場合はどうなりますか?
SBI証券のQAページでは、マイナンバー提出期限を超えた場合にどうなるかの記載はありませんでした。
松井証券の場合
引用)松井証券|マイナンバーを登録しないと、口座や取引に制限はかかりますか。
松井証券のQAページでは、「ネットストックでの取引に制限はかかりません」(※ただし、2017年3月17日現在の情報と記載あり)となっています。
その他証券会社の対応も現状では未定の様子
他にも6つの証券会社についてHPを確認しましたが、マイナンバーを2018年末までに提出しなかった場合についての記載はありませんでした。
未だ今後どのように対応するのか未定の状態の証券会社が多いようです。また、口座の利用制限、罰則等についての記載も今のところ見当たりませんでした。
現時点ではマイナンバー提出が期限を過ぎたとしても、即取引に支障が出るわけではないようです。
しかし、継続してマイナンバーを提出しない場合、今後は何らかしら支障が出る場面が多くなりそうです。
2019年以降マイナンバーが提出されていない証券口座は違法状態に当たることになりますので、ここは、きちんと期限内にマイナンバーを提出しておくほうが良いでしょう。
NISA口座はマイナンバーを提出しないと2019年以降口座の更新ができないので注意が必要!
ただし、2018年末まで証券会社へマイナンバー提出がなければ、翌年からNISA口座が利用できなくなります。
引用)日本証券業協会|リーフレット~NISAをご利用のお客様へ~(平成29年10月以降版)(平成29年10月2日公表)
NISA口座は、年ごとに新たな非課税枠を設定する、毎年更新型の口座です。マイナンバー提出がなければ、口座の更新が行われず非課税期間は終了してしまいます。
再びNISAを利用したい場合は、新たにNISA口座の開設が必要となり、大変な手間がかかります。もちろん新たなNISA口座開設にはマイナンバーの提出が必須です。
他にも、住所や氏名変更等の変更手続きをする際も、マイナンバーの提出が必須となっています。
証券会社へのマイナンバーの提出手順
ここでは、証券会社へのマイナンバー提出の方法や時間、準備するものを見ていきましょう。
マイナンバー提出方法
マイナンバーの提出方法は、PC、スマホ、携帯等から行う「Webアップロード」か「郵送提出」がほとんどです。
マイナンバー登録完了までに要する時間
・ Webアップロードの場合 → Webアップロード手続きから1週間~4週間
・ 郵送提出 →証券会社へ書類が到着して1週間~4週間
郵送提出は証券会社から返信用の書類を待つ必要があるので、Webアップロードのほうが手続きが早く済みます。
準備するもの
【Webアップロードの場合】
・PCを使う場合
→マイナンバーカード、通知カードを予めスマートフォン等で撮影し、PCに保存しておく
・スマートフォン アプリを使う場合
→お手元にマイナンバーカード、通知カードを用意する。マイナンバーカード、通知カードを予めスマートフォン等で撮影し、保存しておく。マイナンバー提出にアプリが必要な場合は、必要なアプリをインストールしておく。
【郵送提出の場合】
→マイナンバーカードまたは通知カードをコピーしておく。
証券会社へのマイナンバーの提出手順
投資家の方の中には、複数の証券口座をお持ちの方もいらっしゃると思います。
ここでは、各証券会社のマイナンバーの提出方法を表にしています。
複数の証券会社への提出手続きは面倒ですが、ここで提出方法を確認して、一気に行ってしまいましょう。
その他の証券会社も、手続きの流れは大体一緒ですので、ご不明な点はホームページや電話で確認してみてください。
まとめ
いかがでしたか?
今回は証券会社へのマイナンバー提出について解説しました。
提出期限を過ぎても、現状では今までと同じように取引はできるようですが、様々な場面でこれからマイナンバーの提出は求められそうです。
マイナンバーを証券会社に提出すると、株の取引情報が税務署にわかってしまい不安という声も聞かれますが、マイナンバーを未提出でも、証券会社は、株の取引、配当金の支払い履歴等を税務署へ提出しています。
株の売買履歴は全てデーターが残っていますし、隠しようがありません。それどころか、マイナンバーを提出しないことで今後、取引に支障が出る可能性もあります。
マイナンバー提出から登録されるまである程度時間を要します。できるだけ早めに手続きを済ませましょう。
紫垣 英昭
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