Jリート(不動産投資信託)とは何か?初心者向けにわかりやすく解説

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

入居者を絶やさなければ毎月安定した家賃収入を得られることで人気の不動産投資。

FXや株式による投資と比較すると値動きも小さく、ミドルリスク・ミドルリターンの安定した投資方法です。

ただし投資物件の購入には自己資金が必要であり、興味はあっても手が出せない方も多いでしょう。

この記事では、不動産投資の良さを活かしつつ、少ない自己資金で始められるJ-RIET(Jリート)を紹介します。 投資初心者の方に向けて詳しく解説します。

ぜひ参考にしてください。

この記事を読んで得られること
  • Jリート(不動産投資信託)がどのようなものかがわかる
  • 通常の不動産投資とJリートの比較から、5つの特徴とメリットを理解できる
  • 初心者がJリートを始める際におすすめの投資方法や、具体的な組み合わせ方がわかる

Jリート投資信託の5つの特徴

Jリートとは、投資家から収集した資金でマンションや商業施設、オフィスビルなどの収益性のある不動産を購入し、家賃収入や売買益を分配金として投資家に還元する投資信託です。

リート(REIT/Real Estate Investment Trustの略、不動産投資信託)はアメリカで生まれた仕組みです。 日本版は、JapanのJを頭に付けて「J-REIT」と呼ばれています。

ここからは、不動産投資とJリートの違いを比較しながら、Jリートの特徴やメリットを解説します。

自己資金が少なくても購入できる

通常の不動産投資では、まず投資物件を購入・所有します。

投資を始めるためには、不動産投資ローンを利用するとはいえある程度まとまった自己資金が必要です。

比較的安価なアパートでも数百万円、マンション一棟・大規模テナントとなると億単位の購入資金が求められます。

対してJリートでは多くの投資家から集めた資金で投資物件を購入するため、一人ひとりの投資家は少額からの投資が可能です。

10万~100万円程度の売買価格が一般的ですが、なかには10万円以下の銘柄もあります。

不動産投資と比較すると、手軽に始めやすいのがメリットでしょう。

複数の不動産へ分散投資が可能

不動産投資は一般的に以下のようなリスクがともないます。

  • 空室、家賃滞納リスク
  • 家賃下落リスク
  • 火事、地震、水害、風害などの災害被災および事故リスク
  • 修繕・設備管理リスク

通常の不動産投資では、これらのリスクの少ない「人気物件」に多くの投資家が注目するため、売買価格は高く、購入・所有には多額の自己資金が必要です。

また、リスク軽減のために複数の物件を所有するのも初心者にはハードルが高いでしょう。

Jリートでは投資家から集めた潤沢な資金をもとに、住宅やオフィス・ホテルなどのさまざまな物件タイプ、地域を組み合わせて投資を行ないます。

実物不動産への投資と比べると、上記のリスクを大幅に抑えられることが期待できます。

専門家が運用する

入居者を途切れさせないためには不動産物件を定期的な維持管理や修繕が欠かせません。

現物の不動産投資も例外ではなく、面倒なテナントのメンテナンスは投資家の必須業務です。

不動産投資は投資する不動産の目利き、中長期的な収益分析などの安定した収益を上げるためのノウハウ・スキルが必要ですが、一朝一夕に身に付くものではありません。

Jリートでは不動産管理や売買・運営などの業務を経験豊富なプロが担当します。 不動産関連の実作業や管理業者の選定・監督・指示などの業務に手間をかけず、手堅い収益を確保できるのがJリートのメリットです。

換金性が高い

不動産は流動性の低い資産といわれています。 不動産をお金に変えようと思い立っても、売買仲介するための不動産会社選定、各種書類の手配などに時間も費用も必要です。

また、買い手が付かなければ不動産を売ることはできません。

Jリートでは現物不動産を所有しているわけではなく、投資信託として権利を所有しているだけです。

証券市場に上場しているため、購入や売却の注文は好きなタイミングで行なえます。

いつでも証券を売却しお金に換えられるため、自由度の高い投資方法です。

収益のほとんどが分配される

Jリートを運営する投資法人の法人税免除要件には、「配当可能利益90%以上を投資家に分配すること」があります。

ほとんどの投資法人は税負担を軽減するために、収益の大半を投資家に還元しており、大半の銘柄は利益の100%に近い配当性向(純利益に対する配当割合)です。

現物の不動産投資と同様に、家賃や物件売買で得た利益を分配金として受け取れるのもJリートのメリットの一つでしょう。

Jリートは「インデックス型」株式投資信託との組み合わせがおすすめ

ここまではJリートの特徴やメリットを説明しましたが、以下のようなデメリットも存在します。

  • 価格、金利変動リスクがある
  • 自然災害リスクがある
  • 不動産投資法人の上場廃止や倒産リスク
  • 信託報酬などの運用コストが高い

これらのリスクを回避するための方法として、分散投資で投資リスクを軽減させる基本的な投資テクニックがあります。

ここからは、Jリートと組み合わせたい「インデックス型」株式投資信託を解説します。

初心者の方向けにインデックス型株式投資信託の概要と、Jリートとの組み合わせで得られるメリットを詳しく紹介します。

インデックス型株式投資信託とは?

インデックス型株式投資信託は、あらかじめ定めた指数(インデックス)に連動することを目標に運用する投資運用手法の一つです。

日経平均やNYダウなどの株価や債券価格を数値化したものなど、特定のマーケット動向を表す指標を使います。

マーケットの値動き以上の成果を狙う「アクティブ型」と比較すると、市場平均と同じ値動きを再現する「インデックス型」は初心者にもわかりやすいのが特徴です。

また、信託報酬などの運用コストが低めに設定されているため、気軽に始めやすいのもメリットです。

ただし、株式対象の投資である以上、株価変動などの投資リスクが存在するのは注意しましょう。

Jリートとインデックス型を組み合わせると分散効果が得やすい

Jリートもインデックス型株式投資信託も大切な資産を集中させてしまうと、万が一のリスクに耐えられません。

複数の投資先に資産を分散させて、被害を最小化させることが肝心です。

リスクは抑えつつ安定した収益を確保し、さらに多くのリターンを求める場合は以下の投資方法がおすすめです。

  • 「Jリート」を毎月一定額購入し、安定した利回りを狙う
  • 株価が下がったタイミングで、複数回に分けて「インデックス型株式投資信託」を購入し、株価が復活による大きな利益を確保する

いずれもわかりやすい投資方法であり、分散投資によりそれぞれのリスクは軽減されるため、投資初心者でも始めやすいでしょう。

ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

Jリート(不動産投資信託)を解説しました。

投資初心者にとって不動産投資はハードルの高い投資方法に感じられますが、Jリートは不動産投資のリスクを軽減しつつ、しっかり享受できる魅力の投資方法です。

Jリート以外の投資先を組み合わせた分散投資にすれば、万が一の被害はさらに最小化できます。

この記事内容を参考に、ぜひJリートを投資先候補の一つとして検討してみてください。

紫垣 英昭