紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
株式投資初心者にとって“悩みの種”になるのが証券会社選びでしょう。
でも、証券会社によって手数料や機能やサービスが異なるため、「どこを選べばいいのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。
そこで、証券会社選びの参考になるように、取引手数料や便利機能などを中心に人気の証券会社を比較してみました。
これから株式投資を始めたい人や、口座は持っているけどもっと自分に合った証券会社を見つけたいという人は、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
- 証券会社ごとの特徴がわかる
- 証券会社ごとのトレーディングツールの概要がわかる
- それぞれのおすすめポイントで、自分の投資スタイルに合わせて証券会社が選べる
なぜ、証券会社に口座を開設する必要があるのか?
個人投資家が株式や投資信託、ETFなどの売買をするとき、個人投資家から受けた売買注文を取引所に伝達します。
そして取引が成立したときに、それを知らせてくれるのが証券会社の役割になります。これを「ブローカー業務」といいます。
株式は証券取引所で売買されるものですが、一般の投資家は直接証券取引所で取引することはできません。
必ず証券会社を通じて、売り注文や買い注文を出すことになります。
つまり投資家が株式の売買をする際に証券取引所と投資家を仲介する機能を担っているのです。
証券会社は大きく分けて「店舗型証券会社」と「ネット証券会社」に分かれます。
2000年以前までは、個人投資家は証券会社に電話か店頭で注文を出すことがほとんどでしたが、いまでは、インターネットを通じて注文を受け付ける「インターネット証券」が主流になりつつあります。
その理由は、電話注文などの“10分の1”という、今までとは比較にならないほどの「手数料の安さ」です。
この手数料の引き下げによって、爆発的にインターネット証券会社は市民権を得たのです。
インターネット証券会社手数料比較
個人投資家が証券会社を選ぶ際に“手数料の安さ”は大きな魅力でしょう。
サービスを度外視して、手数料が安ければ良いということではありませんが、余計なコストを支払うことは極力、避けたいところ。
以下、2018年1月現在で各証券会社が公開している手数料の比較表ですので、まずはこれらを参考にしてみてください。
(出所)価格.COM ※現物取引の場合。各社プランによって手数料価格は変わります
ただ、中長期スパンでいろいろと相談しながら投資したいという人には、手数料は高めでも店舗型の証券会社が利用しやすい場合もあるので、自分の投資スタイルによって証券会社を使い分けるとよいと思います。
各証券会社の特徴
では、次に各証券会社の特徴を見ていきましょう。
ここでは、使い勝手がよい人気の証券会社(ネット証券会社7社と店舗型証券会社3社)をご紹介します。
楽天証券
(出所:https://www.rakuten-sec.co.jp)
楽天証券の特徴
国内株取引手数料が業界最低水準。
通常の料金の他に、定額コースという1日の約定金額合計が10万円までであれば手数料が0円になるサービスもあり、デイトレなど一日の取引回数が多い場合に便利です。
スマホアプリの「iSPEED」やパソコン用ツール「MARKETSPEED」は、使い勝手のよいトレーディングツールで、とても人気があります。
このツールを目的に口座開設する人もいるほどですので、トレーディングツールとしてはかなり優秀なものと言えます。
また、楽天銀行と資金の共有や夜間取引サービス、貸株サービスなどのサービスも充実していて、さらに「日経テレコン」などの情報サービスも受けられるなど、魅力の多い証券会社です。
こんな方にオススメ!
・デイトレード、短期売買にトライしてみたい方
・手数料をできるだけ抑えて取引がしたい方
松井証券
松井証券の特徴
松井証券は、他の証券会社に先駆けて本格的にインターネット取引を開始するなど、業界の先駆者的な存在です。
手数料面でも、1日の約定代金の合計10万円までは手数料無料、信用取引も約定代金に制限なく手数料が無料になるなど、1日に何度も取引をするデイトレーダーにとってはとても便利な証券会社です。
スマホアプリの「株touch」やパソコン用ツール「ネットストック・ハイスピード」は定評があり、とても使い勝手がよいので、トレーディングツールを利用するために口座を開設しておくのもよいと思います。
こんな方にオススメ!
・株価チャートを使った取引メインの方
・「1日信用」でデイトレード手数料ゼロ円を体験してみたい方
マネックス証券
マネックス証券の特徴
マネックス証券は、投資商品や投資情報も豊富で、自動更新する株価ボードや専門家のレポートなどが無料で利用できます。
1日の約定代金が10万円以下の場合、手数料が100円(税抜)という業界最安水準の手数料もマネックス証券の魅力の一つで、手数料を抑えて取引したい投資家に人気の証券会社です。
また、不定期で販売される「マネックス債」という高利回りの社債は、毎回完売するほど人気でこの社債を目的にする投資家もいます。
トレーディングツールは、外出中でも最新のマーケット情報をチェックしながら取引ができる、スマホアプリとパソコン用ツール「マネックストレーダー」が無料で利用できます。
さらに、口座開設をするとアナリストによるマーケット情報の他に、会社四季報電子版などの投資情報を見ることができるので、情報収集にも便利です。
マネックス証券はサポート面も充実していて、通常のサポートの他に、パソコン操作といった技術的な質問にも答えてもらえる「パソコンサポートダイヤル」もあるので、オンライン取引をしたいけどパソコンが苦手という人にも安心です。
こんな方にオススメ!
・外国株、投資信託など豊富なラインナップのある証券会社希望の方
SBI証券
SBI証券の特徴
ネット証券の中では最大手の証券会社で、総合口座開設数、NISA口座、国内株式個人売買代金のシェアがネット証券会社ではNo.1という人気の証券会社の一つです。
SBI証券は取扱商品が豊富で、株式投資以外の投資種目もいろいろと選ぶことができ、「SBI債」という債権も人気の商品の一つです。
また、約定代金10万円以下の場合に手数料が無料になるプランがあるなど、手数料の安さも大きな魅力です。
口座開設をすると、情報収集から注文まで一貫して行える「HYPER SBI」という、スマホアプリとパソコン用のトレーディングツールが使えるので、いつでもスピーディに取引をすることができます。
他にも住信SBIネット銀行との連動もできるので、入出金がスムーズになるなど便利なサービスが充実しています。
こんな方にオススメ!
・ワンストップサービスでいろいろな取引をしたい
・手数料をできるだけ抑えて取引したい
カブドットコム証券
カブドットコム証券の特徴
カブドットコム証券は三菱UFJフィナンシャルグループのネット証券会社です。
手数料の安さもさることながら、三菱UFJモルガンスタンレー証券、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、三菱経済研究所から配信されるレポートなどが無料で見られるなど、三菱UFJという大きなグループだからこそのメリットを享受できます。
勉強会やセミナーなどオンライン、オフライン様々な学びの場が設けられているので、投資の知識を得る機会も豊富です。
商品もいろいろ選べ、プチ株(単元未満株)といった少額からできる商品もあるので、初心者でも株を始めやすい環境が整っています。
また、発注方法も多彩で日中忙しくてなかなか株式市場を見られないといった人でも、自分に合った注文ができるなどサービスも充実しています。
トレーディングツールの「kabuステーション」は、株価やチャート、ニュースから発注まで全てワンストップでできる便利なツールです。
他にも、スクリーニングツールや180銘柄の株価を一覧表示できるカブボード、売買シミュレーションができるkabuスコープなど、いろいろなツールが提供されているのも魅力です。
こんな方にオススメ!
・大手資本で安心できる証券会社と取引したい方
・投資家セミナーなど充実したサービスを求める方
GMOクリック証券
(出所:GMOクリック証券)
GMOクリック証券の特徴
GMOクリック証券の強みは、スピーディにシステムを開発できるという面でしょう。
一般の証券会社は、システム開発や運用・保守などを外部に委託するのですが、GMOクリック証券はITシステムのプロ集団をグループ企業に抱えているため、ユーザーの声を反映させながら素早くグループ内で開発から運用まで対応できます。
そのため、ユーザーからの要望を常に反映する、初心者からベテランまで使いやすいツールが豊富です。
また、手数料もネット証券会社の中で最安値水準まで抑えられているので、コスト面での魅力も大きいです。
これから株式投資を始める人や、使いやすいツールを探している人にとってオススメの証券会社と言えます。
こんな方にオススメ!
・デイトレード、短期売買を希望する方
ライブスター証券
(出所:ライブスター証券)
ライブスター証券の特徴
ライブスター証券は手数料の安さが大きな魅力の証券会社です。
現物株、信用取引などの手数料は業界でも最安水準にあります。
また、手数料の安さに加え使い勝手という面でも優れていて、たとえば「livestar」というパソコン用、スマホアプリのトレーディングツールは、ユーザーからの要望を取り入れながら常に改善されています。
「初心者でも直感的に操作ができる」「投資情報ツールと連動して発注できる」など、使い方や利便性が常に向上しているので、利用したいトレーディングツールの一つです。
ライブスター証券の口座開設はこちら
こんな方にオススメ!
・とにかく手数料の安さを求める方
野村證券
野村証券の特徴
国内最大手の証券会社。
豊富な商品数だけではなく、やはり直接投資全般の相談ができるというのも大手証券会社の魅力と言えるでしょう。
野村證券の専門家がまとめたレポートやマーケット情報を得られるというのも大きな魅力です。
野村證券は「NISA」の預かり資産額がNo.1という実績もあり、やはりユーザーの信頼を得ている証券会社と言えるでしょう。
取引は、窓口だけではなく「野村ネット&コール」というオンライントレードサービスでオンライン上での取引もできます。
現在は口座管理料も無料なので、口座を開設しておくのもよいと思います。
口座開設をすると、国内外の経済レポートや毎週更新のマーケットレポート、日本株・外国株の銘柄分析、世界各国の経済分析、資産管理に役立つ情報など豊富な金融情報が手に入ります。
取引手数料は他の証券会社と比べて割高となりますが、日本最大手の証券会社で直接投資に関する相談などをしながら取引をしていきたいという人にオススメと言えます。
こんな方にオススメ!
・担当者に相談しながらじっくりと取引したい人
・中長期投資をメインに取引したい人
大和証券
大和証券の特徴
大和証券も国内の大手証券会社です。
大和証券では、eメンバー(電子交付サービス)を利用しているユーザーは口座管理料が無料になるので、口座開設によるサービスを受けやすくなっています。
店舗では、手続きや商品、サービス、さらには担当者に投資相談もでき、コンタクトセンター(電話)でも投資に関する疑問や質問を相談できます。
口座開設をすると、タイムリーな国内外のマーケット情報やアナリストが執筆したレポートを見ることができます。
大和証券はオンラインサービスにも力を入れていて、大手証券会社ならではの情報を手に入れつつ、担当者から投資情報やアドバイスを受けたり、自分である程度調べて手数料を抑えて取引をしたり、便利な環境が整っています。
また、高機能スマホアプリの「株walk」や証券口座と銀行口座を連携させる「ダイワのツインアカウント」など、利便性もどんどん向上しています。
こんな方にオススメ!
・大和総研アナリストのレポートなど充実した投資情報を見たい方
・担当者からアドバイスを受けながら取引したい方
SMBC日興証券(旧日興コーディアル証券)
(出所:http://www.smbcnikko.co.jp/index.html)
SMBC日興証券の特徴
野村、大和、そしてSMBC日興証券が国内3大証券会社と言われています。
大手証券会社の中では手数料もかなり安く抑えられており、大手ならではの充実した情報を得ながら低コストの取引ができます。
また、口座管理料が2013年6月から無料となり、口座を持ちやすくなりました。
商品数も多く、いろいろな投資を行うことができます。
さらに、「支店」「オンライン取引」「コンタクトセンター(電話)」といった3つの窓口があるので、取引の相談や自分の求める投資スタイルに合わせて選べるところも魅力です。
こんな方にオススメ!
・支店の担当者から投資情報やアドバイスを受けながら取引したい方
・パソコンやスマホを使って手数料を抑えたオンライン取引をしたい方
ご紹介した証券会社のまとめとその他の証券会社一覧
今回ご紹介した証券会社と、ご紹介しきれなかった証券会社の一覧です。
証券口座選びの参考にしていただければ幸いです。
まとめ
僕は一般の個人投資家の方から「どこの証券会社がオススメですか?」といった質問を良く受けますが、そんなとき「良いと思ったすべての証券会社に口座を作ってみてはいかがですか」と答えます。
現在のインターネット証券会社の手数料は各社競争もあって、それほど大差はありません。また1社しか口座開設できないということではありません。
証券会社への口座開設は、基本的にお金はかかりませんので、複数の口座を開設して、実際に中身を見て最終的にメインの口座を決めるのが良いと思っています。
多くの証券会社を見ることで、より自分が欲しいサービスを理解でき、あなたに合った証券会社に出会えるはずです。
紫垣 英昭
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