紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
「損切り」は、投資家にとって嫌な言葉ですよね。
投資で損をしたいという人はいません。しかし、投資の世界は上手く損切りできる人が、最終的に利益を積み上げていくことができます。
投資家は、「10%が勝ち組」で「90%が負け組」と言われています。具体的な統計データがあるわけではありませんが、私の体感でもそれに近い数字だと感じています。
なぜ、そのようになるのか理由は簡単。
それは、損切りを先送りして、結果的に損失額がどんどん膨らんでしまうからです。そのうち、株価を見るのも嫌になって、塩漬け株になってしまう。
個人投資家の損失は、ほとんどこのパターンではないでしょうか。20年前と現在でまったく変わっていません。
今回は、株式投資で利益を積み上げていくために重要な「損切り」についてご説明いたします。
※この動画は過去に撮影した動画を再編集したものです。市況などは撮影当時のものになります。
※動画では、楽天証券の「マーケットスピード」というソフトを使っています。
- プロのディーラーと個人投資家の投資スタンスの違いがわかる
- 紫垣自身の8600万円の損失から損切りの大切さを学ぶ
- 投資スタイルによる損切りのタイミングがわかる
1.証券会社のディーラーは損切りが早い
投資での損失とは、最初は、針の穴ほどの小さな損失だったものが、気がついたときには巨大な化け物に変化してしまう。
これが投資の世界です。
証券会社のディーラーは、52%~60%ほどの勝率です。彼らは「ダメだ」と思ったらすぐにポジションを投げます。
そうしないとノルマを達成できないので、損切りのスピードは極めて早くなります。
損切りが遅れて損失額が大きくなると、「クビ」もしくは「配置転換」されます。そのため、彼らは損失の先送りができません。
私たち個人投資家は、損切りが遅れてもペナルティはありません。だから自分に都合のいい解釈をしてしまいますね。
そのため、損失がどんどん膨らんでいきます。
これが、証券会社のディーラーと個人投資家の大きな違いです。
とにかく、損切りを素早くすることを身に付けましょう。
プロのディーラーと個人投資家の違いは、上手に損切りができるかどうか
2.勝率と損切りの関係
確率論で言えば、勝つ確率は50%です。
儲けるためには、利益よりも損失額を小さくしなくてはなりません。
「利益>損失」の関係を保つことが重要。これは言わなくても分かることですよね。
勝つ確率は、売買回数が多くなるほど50%に近づいていきます。
売買回数が少ない場合、連勝すれば勝率が100%ですが、ずっと勝ち続けることはありません。
利益を大きく取り、損失を小さく抑えるか、これが投資の世界の勝負の分かれ目です。
損切りが早ければ、仮に2連敗・3連敗しても投資は続けられます。しかし、一発大きな損をしてしまうと退場になります。
いかに早く損切りできるかが、将来の利益に繋がるのです。
例えば、勝つ確率が50%として、利益が10、損失を5に抑えた場合、利益から損失を引いた5が積み上がっていきます。
しかし、実際にポジションを持ってしまうとできなくなってしまう。これは心理的要因によるものです。
この利益と損失の関係を頭に叩き込んで、忘れないようにしてください。
紙に書いて貼っておいてもいいでしょう。それぐらい重要なことです。
3.柴垣自身が1ヶ月8600万円の大損失で学んだこと
ちなみに、私は1ヶ月間で最高8600万円の損失を出したことがあります。
損切りを先送りしたのが原因でした。今回ご説明している理由そのままですね。
だから、株式投資で損失を出した人の気持ちが痛いほど分かります。
私が大損失を出した理由をもう少し深堀してみましょう。
私は、20年間この業界にいますので、いろいろなところから情報が入ってきます。
例えば、兜町で投資顧問会社をしている社長や、証券アナリストの友人などです。
「それは鉄板で儲かるだろう!」という話も入ってくるので儲かることもあります。
情報が間違っていることもあるので、その時は早めに損切りをしなくてはなりません。
でも、彼らも損切りはできないですね。
投資顧問会社は、お客さんに株を推奨して買ってもらいます。
株価が下がっても、お客さんを安心させるために「また株価は上がるから大丈夫だ」「投機筋はしっかり動いている」「もう少しで材料が出る」など、それらしいことを言います。
そういう話を聞くと、ついつい損切りを先送りしてしまいます。その結果、私は8600万円を失いました。
ここまで莫大な損をした方はあまりいないと思いますが、ぜひ、私を反面教師にしてください。
私は、この直後にやり方を変えました。一切情報を取らないようにしたところ、なかなか損をしなくなりました。
8600万円の損失の前も損切りはマメにしていましたが、自分が大きな勝負に出た銘柄は、損切りができなかったのです。
プロでも損切りは難しい。情報に惑わされず自分のルールで損切りする
4.投資スタイルと損切りのタイミング
損切りのタイミングは、投資スタイルによって変わってきます。
デイトレードや短期のディーリングの場合、多少なりとも損をしたらすぐに切らないといけません。
長期投資は、事前に立てたプランに沿っていれば、損切りをしなくても問題ありません。
長期投資は、ピンポイントで買うということは基本的にはありません。
少しずつ資金を市場に投入していくので、株価が上がったり下がったりしてもあまり問題はありません。次の買いのタイミングでナンピンもできます。
しかし、長期投資とはいえ、自分が当初考えていたシナリオが狂ってしまった場合は、損切りをしなくてはなりません。
短期投資の場合は、2%程度の損失でもすぐに損切りをする。
長期投資の場合は、自分のシナリオが狂ってしまったらそこで損切をするということを確実に行ってください。
短期投資→2%程度値下がりしたらすぐに損切りをする
長期投資→当初決めた自分のシナリオと違う値動きをしたら損切りをする
まとめ
個人投資家が勝てない理由は「上手な損切り」ができていないためです。
今回の記事で、損切りができないと恐ろしいことになってしまうということが理解できたでしょうか。
損失を出したくないという自分の気持ちに打ち勝つことは、買いのタイミングを分析することより難しいかもしれません。
損切りができないと、結果的により大きな損失を出してしまいます。そうならないためにも、事前に損切りのルールを決めておきましょう。
ルール通りに適切に損切りができれば、儲かる確率は目に見えて上がります。
単純な話ですが奥が深く難しいことなので、納得できるまでこの記事を読んでください。
そうすれば大きな損失を出すことは無くなり、利益を積み上げていくことができるでしょう。
紫垣 英昭
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