紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
株式投資を行う際、初心者から中上級者までよく悩むのが銘柄選び。
特に、株価が暴騰する可能性がある割安株を見つけることは、なかなかむずかしいのではないでしょうか?
銘柄を購入する際に、割安だと分かりやすい指標があれば、納得して尚且つ、時間をかけずに株式投資を行えるようになります。
今回は、その指標のひとつであるPERとPBRの見方を中心に解説し、割安株の見つけ方をご紹介します。
※この動画は過去に撮影した動画を再編集したものです。市況などは撮影当時のものになります。
※動画では、楽天証券の「マーケットスピード」というソフトを使っています。
- PER、PBRの見方がわかる
- PER、PBRを使って割安株を探すコツがわかる
- 儲かる銘柄の選定法がわかる
儲かる銘柄の選定法とは? PERの概要や注意点
儲かる銘柄の見極め方について、まず「PER」という指標をご紹介させていただきます。
PERについて
PERは、以下の式で表すことが出来ます。
PER(株価収益率)=株価÷1株当たり利益
1株当たり利益に対して、何倍まで買われているかみる指標となっています。
日経225種平均では、過去20倍~40倍まで推移しており、10倍前後が割安となっています。
日本電産(6594)の場合
それでは、実際にPERを使ってどのように判断していくのか、日本電産の例で見てみましょう。
PERは、先述の通り、今の株価が1株当たり利益に対して、何倍まで買われているかみる指標です。
日本電産の場合、PERは15.25倍、PBRが2.92倍となっており、大体市場平均となっています。
日経平均のHPでみると、株価収益率(連結決算ベース)と記載されており、この数字がPERに該当し、毎日変動します。
今は、前期基準で27.80倍という形で推移しており、株価が活況の時は、だいたい20倍から40倍以上となることもあります。
このPERは、10倍前後~15倍程度の銘柄を探していただきたいと思います。PERが10倍前後だと割安と判断して良いと言えます。
PERを目安とした際の注意点とは?
市場が低迷すると、全体的にPERは低めとなります。
PERが下がっていても、1株当たりの利益が上がっているというわけではなく、株価が下がったことによりPERが下がっている可能性も考えられます。
そのため、併せて日経平均株価の値動きも把握してみて下さい。
また、赤字の会社は1株当たりの利益がゼロとなってしまうため、PERを算出できません。
以上の注意点に留意しつつ、PER10倍前後から15倍を目安に考えて下さい。
儲かる銘柄の選定法とは? PBRの概要や注意点
それでは、次に「PBR」について見てみましょう。
PBRは、以下の式で表すことが出来ます。
PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株当たりの株主資本
現在、PERが1.0倍だとすると、理論上、その会社が解散した場合、その株価で清算されるという意味になります。
つまり、PBRが1.0倍を割り込んでいる銘柄は沢山ありますが、何らかの問題がある場合が多いと言えます。
例えば、この場合、解散価値を下回っていると判断でき、割安で購入することが出来ますが、これが0.8倍の時に買えれば、必ず儲かると評価出来ます。
しかし、PBRが1.0倍を下回っている会社は、言い換えると、負債が多く利益が上がってこない銘柄だとも評価でき、財務面でのリスクを抱えていると言えます。
PBRはこういった特徴を持っているため、全体の株価が低迷している時は、1.0倍を下回る銘柄が多くなります。
この株価が低迷している時が買い時で、株価が上がる時に割安だという判断で、買い手が付くことが多いです。
1.0倍を下回っている場合、理論的に解数価値を下回っているので、今までの経験上、株価急落時に1.0倍を割り込んだら買いが有利となります。
そのため、株価上昇時に買いが多くなり、PBRが1.0を上回っている状態になることがあります。
この場合は、プレミアがついているということになり、投資家の中には、こういった割安株を集めて投資する方も多いです。
バリュー投資とは?
最後に、「バリュー投資」と呼ばれる投資手法について、ご紹介させていただきます。
バリュー投資について
バリュー投資とは、企業価値や利益水準に対して、割安なものに投資する手法です。
先述の通り、PERやPBRで、割安かどうかを判断することがバリュー投資に繋がります。
具体的には、日経平均が低迷している中で、PBRが1.0倍を割り込んでいる銘柄は探しやすくなります。
その根拠を掴んで、今後その会社の業績が伸びてくる見込みがあるならば、その銘柄は非常に魅力的だと評価できます。
対して、日経平均がずっと上がって株式市場が盛り上がっている時は、PBRが1.0倍を割り込んでいる銘柄を探すのは困難になります。
PBRは1.0倍以上となり、割安株だったとしても、全体の株価の上昇で割高に見えてしまうためです。
つまり、株価が低迷しはじめると、PBR1.0倍割れという銘柄が多くなります。
良い銘柄で、1.0倍を割っているものは探せば出てくるので、こういう銘柄を探して投資することができれば、割安株を購入することができ、バリュー投資に繋がります。
以上のように、割安株を探し出す判断としては、以下のポイントを見つけることが重要です。
- 【会社が安全】
- 【利益が伸びている】
- 【割安に評価されている】
このように、PERとPBRの指標を用いて対象銘柄を探し出し、本当に割安かどうかをこの3つのポイントから判断して銘柄を購入することが出来れば、割安株の購入、即ちバリュー投資を行える可能性も格段に高まります。
森永乳業(2264)の場合
それでは、どのような銘柄を購入することがバリュー投資となるのかについて、森永乳業の例で見てみましょう。
森永乳業の四季報でのPERとPBRは以下となっています。
- PER(株価収益率)=10.47倍
- PBR(株価純資産倍率)=0.81倍
その他、財務面では、株主持分比率は28.4%で少し低く、有利子負債も多くなっています。
ROEは7.9%、ROAは2.2%となっており、本業の利益はありますが、設備投資もそれなりに費用がかかっていると評価できます。
これらの数値から、本業の利益はありますが、設備投資などの費用もかかっており、肝心の売上げは、ずっと横ばいで、どちらかというと利益が伸びにくい業種と評価できます。
先ほどの銘柄を探すポイントの3つで言えば、
- 森永乳業という大手企業のため会社が安全に該当
- PERとPBRの指標から割安に評価されている
という2つが該当し、買いの判断とすることが出来ます。
このように、森永乳業は今は割安に放置されていますが、株式市場が活況になってくると、買いの判断になるものと推測出来ます。
こういった銘柄は、少し安くなった時に、購入し、長期に寝かすやり方が非常に有効だと評価できます。
長期投資をやられる方は、このようなやり方で是非やってみていただければ、損を避けつつ割安株を購入できます。
まとめ
株式市場は、コロナウイルスの影響や、米国株式市場、為替レートなどの指標からも変動するとされています。
しかし、最も基準となる対象企業の株価が、割安かどうかに関する見方を身に付けることがまず優先されると言えます。
そのため、今回ご紹介した割安株の選定法を、まずは把握しておくことをオススメ致します。
紫垣 英昭
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