紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
近年は老後資金に余裕を持たせるための方法として、確定拠出年金が注目されています。
しかし、iDeCoや401kなど耳慣れないキーワードが登場して、それぞれの違いがわかりにくいと感じる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、確定拠出年金の仕組み、個人型(iDeCo)と企業型の違いについて詳しく解説します。
iDeCoのおすすめ商品・金融機関の選び方もご紹介しますので、確定拠出年金への加入を検討している方はぜひ参考にしてください。
- 確定拠出年金(401k)の特徴、日本の年金制度について理解を深めることができる
- 確定拠出年金の種類として、個人型確定拠出年金(iDeCo)と企業型確定拠出年金の違いを知ることができる
- 個人型(iDeCo)で節税・老後資金を作ろうとしたときに、どのような商品・金融機関を選べば良いのかがわかる
近年注目されている年金制度「確定拠出年金(401k)」
iDeCoや401kの仕組みを正しく理解するために、まずは日本の年金制度について理解していきましょう。
確定拠出年金(401k)とは
「401k」とは、私的年金制度である「確定拠出年金」のことです。
確定拠出年金制度は、2001年10月施行の確定拠出年金法によってスタートしました。
加入者数は順調に伸び続けており、新たな老後の備えとして多くの方に選ばれています。
401kという呼ばれ方は、アメリカ合衆国の内国歳入法がもととなっています。
毎月掛金を拠出して資金を積み立て、その運用益で資産を作り上げていく年金制度です。
なお、確定拠出年金には大きく分けて「個人型確定拠出年金(iDeCo)」と「企業型確定拠出年金」の2種類があります。
どちらを選ぶべきなのかは、のちほど説明する「個人型(iDeCo)と企業型の違い」を参考にしてください。
確定拠出年金は、退職金制度のない中小企業で多く導入されている制度です。
退職金制度の仕組みを整える余裕がない企業でも、確定拠出年金であれば導入しやすく、福利厚生の一つとして活用されています。
日本の年金制度は「3階建て」
現在の日本の年金制度は、「3階建て」で構成されていることをご存知でしょうか。
各階層の詳細は以下のとおりです。
- 1階部分(公的年金):国民年金
- 2階部分(公的年金):厚生年金保険・国民年金基金
- 3階部分(私的年金):厚生年金基金・確定給付企業年金・確定拠出年金・退職一時金
1階部分、2階部分は公的年金で、国民の老後生活をサポートするために用意されているものです。
しかし、公的年金制度は段階的に変更されており、支給開始年齢は従来の「60歳」から「65歳」に引き上げられています。
つまりは、一般的な退職のタイミングである60歳を過ぎても、5年間は公的年金が支給されないということです。
このように公的年金制度の見直しにより、老後の蓄えを心配する方が増えています。
自助努力で老後に備える必要性が出てきており、確定拠出年金制度の加入者は年々増加傾向にあるのが現状です。
個人型(iDeCo)と企業型の違い
確定拠出年金には個人型(iDeCo)と企業型の2種類ありますが、具体的にどのような点に違いがあるのでしょうか。
以下の項目で、それぞれの特徴を確認していきましょう。
加入対象者
- 個人型:60歳未満であれば原則誰でも入れる(任意加入)
- 企業型:60歳未満の厚生年金被保険者、確定拠出年金制度を実施する企業の従業員であることが条件
企業型は、会社の福利厚生として導入されている場合に加入できます。 ※ただし、加入するかを選択できる場合もあります。
金融機関・商品の選定
- 個人型:加入者が金融機関・商品を選択
- 企業型:企業が金融機関・商品を選択し、その商品のなかから加入者が商品を選択
運用にあたって金融機関・商品の選定が重要ですが、個人型の場合は加入者自身が選択できます。
掛金の拠出
- 個人型:自分で負担
- 企業型:会社が負担
掛金の拠出には限度額が設定されており、個人の属性によって毎月の拠出限度額が変わることに注意が必要です。
企業型の場合、「別の企業年金に加入しているのか」「個人型と同時加入するのか」といった点により、限度額が変わってきます。
納付方法
- 個人型:給与天引きによる事業主払込、個人口座からの払込のいずれかを選択
- 企業型:会社が口座振込・口座振替を行なう
個人型では、2018年1月から年払い・半年払いを選択できるようになりました。
ボーナス時期に多めに拠出することもできるため、自分の都合に合わせて選ぶとよいでしょう。
口座管理料
- 個人型:加入者が負担
- 企業型:会社が負担
企業型は福利厚生の一環として確定拠出年金が用意されるため、加入者は口座管理料を支払う必要がありません。
金融機関によって口座管理料の負担額が異なるため、加入前に詳細を確認しておきましょう。
個人型(iDeCo)の商品・金融機関の選び方
最後に、個人型(iDeCo)のおすすめ商品、金融機関を選ぶポイントを説明します。
初心者には「バランス型投資信託」がおすすめ
投資にあまり詳しくない初心者の方は、iDeCoの商品のなかでも「バランス型投資信託」をおすすめします。
国内外の株・債券など複数の銘柄に投資する「分散投資」になるため、リスクを抑えながらの運用が可能です。
ただし、バランス型投資信託と一口にいっても、銘柄の割合はそれぞれ異なります。
「バランス型投資信託の1本だけに絞って運用する」「複数のバランス型を組み合わせる」「先進国債券投資信託と新興国株式投資信託と併せて投資する」など、さまざまな運用プランが考えられるでしょう。
リターンの大きさを重視する場合も、自分が許容できるリスクの度合いを考えながら、運用する商品を選んでいくことが大切です。
金融機関を選ぶポイント
iDeCoに加入するためには、iDeCo用の口座開設が必要です。
国内には多数の金融機関が存在しますが、そのなかでもSBI証券・楽天証券・マネックス証券を特におすすめします。
金融機関を選ぶ際には、商品ラインナップが充実していて、手数料負担の少ない金融機関を選ぶことが重要です。
楽天証券のように、お得なポイントを受け取れる金融機関もあるため、上手に活用するとよいでしょう。
どの金融機関を選べばよいのか迷ったら、候補となる金融機関の評判をインターネットで検索して調べてみてください。
Webサイトの印象や利用者の評価などが判断材料になります。
ただし、口座開設までに1ヵ月半~2ヵ月半ほどがかかります。
すぐにでも確定拠出年金に加入したい方は、資料請求・口座開設を早めに済ませておきましょう。
まとめ
老後の生活を考えたときに、「公的年金だけで本当に大丈夫なのだろうか」「資産運用をしないと老後の備えはできないの?」とさまざまな不安が浮かんでくるかもしれません。
公的年金を受け取れる年齢になってから年金額の少なさに気付いても、そこから大きく稼いで収入を増やしていくのは難しいものです。
年齢が若いうちはイメージしづらいかもしれませんが、早めから老後の暮らしに向けて備えておきましょう。
確定拠出年金に加入すれば、セカンドライフの備えを新たに増やすことができます。
将来への不安要素をなくすためにも、iDeCoを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
紫垣 英昭
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