紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
インデックス投資を始める際、投資信託とETFのどっちを選択したほうが良いのか悩む方も多いかと思います。 各々の好みや希望にそったファンドを選ぶには、投資信託とETFについて十分に把握しておかなければなりません。 そこで今回は、投資信託とETFどっちを選ぶか迷っている方に向けて、それぞれの違い、メリットやデメリットについて詳しく解説します。
- 投資信託とETFの主な4つの相違点がわかる
- 投資信託とETFを比較する上でのメリット・デメリットがわかる
- 投資を始めるうえでの「スタンス」と「目標設定」の重要性がわかる
投資信託とETFはどっちがいい?おもな4つの相違点
初めに抑えておくべきは、ETFは指定指標と連動した上場投資信託であるということです。 ETFは投資信託の一種で、NYダウや日経平均株価などの指数に連動するように運用されます。 これを踏まえ、ここでは投資信託とETFのおもな違いを4つご紹介します。
上場の有無の違い
投資信託とETFの大きな違いは、上場しているかどうかという点です。 投資信託は非上場で販売会社が定めた時間内、一般的には15時までで取引時間が設定されています。 一方ETF(Exchange Traded Fund)は、日本語では「上場投資信託」といい、取引時間は各証券取引所の定めた時間内に行なわれます。 例えば東京証券取引所で売買するなら、平日の9時から11時30分(前場)と12時30分から15時(後場)が取引可能な時間帯です。
売買方法の違い
投資信託は販売会社を通じ、一日1回算出される基準価額をもとに購入しますが、基準価額の公表は既存の投資家の利益を守るため、取引終了後に行なわれます。 したがって投資信託は、自分の希望するタイミングでの売買が難しい側面を持っています。 対してETFは証券会社を通じ証券取引所で売買注文ができるため、株式と同じような感覚で取引が可能です。 市場価格はリアルタイムで変動し、指値注文・成行注文・信用取引と株式と同様の取引ができます。
運用方法の違い
運用方法については、アクティブ運用とパッシブ運用を理解しておきましょう。
- アクティブ運用……ベンチマークを上回る成果を目的とする運用方法
- パッシブ運用……ベンチマークに連動した成果を目的とする運用方法
ベンチマークとは運用するうえで基準となる指標を指し、日経平均株価・ダウ平均株価・REIT指数などがあります。 投資信託にはアクティブ運用とパッシブ運用両方の商品がありますが、ETFはパッシブ運用のみです。
手数料の違い
投資信託とETFのどっちにも共通する手数料に、購入手数料・売却手数料・信託報酬(管理手数料)・為替手数料などがあります。 一般的に手数料が安めとされているのはETFですが、近年では投資信託でも販売手数料がかからないノーロードもあるため、一概にどちらが安いとは断言できません。
どっちを買う?投資信託とETFのメリット・デメリット
投資信託とETFどっちを買うか迷ったら、それぞれのメリットとデメリットも理解して自分にあう商品がどちらか見極めましょう。
投資信託のメリット・デメリット
投資信託は指標に連動したパッシブ運用だけでなくアクティブ運用ファンドにも投資が可能である点。 かつ、昨今のノーロード商品の増加や100円以上1円単位でも購入が可能なことから、以前よりも誰もが手軽に買いやすくなっているのがメリットといえるでしょう。 基本的に投資信託はいつでも解約ができますが、購入したファンドが一定期間解約を禁止するクローズド期間を設定した商品では、約3ヵ月から1年は解約不可となる場合があります。 加えて、売却して換金できるまで申し込み受付から最低3営業日、販売会社や商品によって5~8日営業日かかるなど、ETFに比較して自由度が低く、商品ごとに異なる換金までの設定日数を確認する必要があります。 したがって投資信託は、投資初心者かつ少額で投資を始めたい人、アクティブ運用ファンドに挑戦して投資の幅を広げたい人、取引の手間と時間をかけずにじっくり長期間積立投資をしたい人に向いています。
ETFのメリット・デメリット
ETFのメリットは株式のように、リアルタイムで変動する価格を見ながら自分のタイミングで売買ができる点にあります。 また指標に連動するパッシブ運用が行なわれるため、ある程度値動きの予想がつきやすいのもメリットといえるでしょう。 一方デメリットは、自動積立サービスがほぼない、分配金が自動的に再投資されないなどがあげられます。 また株式のように自由度が高くても需要と供給の関係で価格が決定するので、流動性の乏しい商品なら希望する価格での売買が難しくなるリスクが考えられます。 上記、証券会社による違いは別記事で紹介: ETFで稼ぐための買い方、おすすめ証券会社を徹底比較 ETFは購入のたびに手数料がかかり、自動積立がほぼ不可能なため、コストを抑えながらまとまった金額を一度に長期投資したい人、リアルタイムの価格で売買したい人に向いている商品といえるでしょう。
投資信託・ETFどっちにするか迷ったら投資スタンスと目標設定を!
投資信託とETFどっちに決定するかは、個人の投資への考え方によって異なります。 それぞれの違いやメリット・デメリットを理解しても、どっちにするか決断できない方も多いのではないでしょうか。 投資信託とETFの選択では、投資スタンスの確立と目標設定が重要なポイントです。
まずは投資スタンスを見つけよう
多くの初心者投資家は「どうやったら稼げるか」「どの商品を選べば儲かるか」など、最終的な結果ばかりに目がいきがちになります。 投資を始めるにあたり大切なのは、投資スタンスの確立です。 年齢・性格・家族構成・収入などによって投資スタンスは異なりますが、まずは自分の環境や現状を認識し、どのようなトレードスタイルが適切なのかはっきりさせておきましょう。
期間と目標を設定しよう
投資スタンスの確立の次は、投資の期間設定と目標を定めて投資プランを作りましょう。 どれくらいの資金を出すか、いつまでに何%の利益を目標とするか、中長期か長期投資にするかなどを明確にします。 また「そもそもの投資の目的は何か」を考えておくのも重要です。投資信託やETFは多くの場合、短期間で急激な儲けを期待するのが難しい商品です。 期間と目標を設定し戦略方法を確立させておくことが、長期的な投資での良い結果につながると考えています。
まとめ
投資信託やETFを始めたい初心者に向けて、違いやメリット・デメリットを解説しました。 なんとなく理解しているけれど、はっきりした違いをわからないまま商品を購入して利益を出すのは困難です。 まずは儲けを出すためのノウハウは置いておき、投資スタンスの確立・期間と目標の設定を明確にしてから投資信託とETFどっちかを選択しましょう。
紫垣 英昭
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