【メタバース関連銘柄】Facebook社名変更でも注目!NFTとの関わりも要チェック

執筆者
プロフィール写真

紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

アメリカのIT大手Facebookが「Meta Platforms(メタ・プラットフォームズ)」に社名変更するなど、「メタバース」がマーケットで注目されるキーワードとなっています。

メタバースとは仮想空間のことで、2000年代にブームとなった「セカンドライフ」以来の仮想空間ブームが到来することが期待されています。

2000年代の「セカンドライフ」ブームは一過性のものに終わりましたが、2020年代にはNFT(非代替性トークン)やVR技術が急発展していることから、メタバースはSNSのような身近なものに定着するかもしれません。

今回は、メタバースの概要やメタバースと関わりが深いNFTやVRについても解説した上で、メタバース関連銘柄についてご紹介していきます。

この記事を読んで得られること
  • メタバースの概要がわかる
  • メタバースと関わりが深いNFTやVRについてわかる
  • メタバース関連銘柄がチャート付きでわかる

メタバースとは?

仮想空間ことメタバースについて簡単に理解しておきましょう。

メタバースの概要

メタバースとは、コンピュータやコンピュータネットワーク上に構築された3次元の仮想空間のことです。

メタバース(metaverse)は、「何にでもなれるが、何もない」という意味の「meta」と、「巨大空間」を意味する「universe」を組み合わせた造語です。

メタバース(metaverse)という言葉は、アメリカのSF作家ニール・スティーヴンスン氏が1992年に発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」に登場した概念が由来となっています。

同小説においては架空の仮想空間サービスの名前となっていましたが、現実世界でもテクノロジーの発展によってさまざまな仮想空間サービスが登場したことを受けて、仮想空間の総称に「メタバース」という言葉が使われるようになってきました。

特に、2000年代後半には、仮想空間サービス「セカンドライフ」が世界中で流行することとなり、大きな注目を集めました。

ただ、「セカンドライフ」のブームは一過性に終わり、SNS全盛となった2010年代にはメタバースにはあまり日の目は当たらなかったと言えます。

2020年代に入ってからメタバースが再び注目されるようになった背景には、NFT(非代替性トークン)やVR・ARといった新しいテクノロジーが発展してきたことがあります。

2010年代にはSNSが世界中の人々のライフスタイルの一部となったように、2020年代にはメタバースが日常生活の一部になるかもしれません。

Facebookは「Meta Platforms(メタ・プラットフォームズ)」に社名変更

2021年10月28日、SNS世界最大手のFacebookは、社名を「Meta Platforms(メタ・プラットフォームズ)」に変更すると発表しました。

FacebookはGAFAの一角ですが、FacebookとInstagramのユーザー数が鈍化してきていることから株価もやや伸び悩んできており、SNS企業からの脱却を目指すものとされます。

Facebookは、VRヘッドセット「Oculus Quest」シリーズで世界トップを走っており、社名変更もVR・AR開発者向けカンファレンス「Connect2021」の基調講演の中で発表されたものです。

マーケットでは、Facebookがメタバースに注力する方針を受けて、メタバース関連銘柄が一気に注目される流れとなりました。

ここでFacebookから社名変更した【FB】Meta Platformsの株価を見ておきましょう。

【FB】Meta Platformsの5年分チャート

Meta Platformsの株価を見てみると、2021年9月初めに高値を付けてからは下落となっており、「Meta Platforms(メタ・プラットフォームズ)」への社名変更は株価に寄与しなかったと言えます。

メタバース熱の高まりを受けてNVIDIAの株価は急騰!

【FB】Meta Platformsの株高には繋がりませんでしたが、Facebookが社名変更したことを受けて、世界中の投資家のメタバース関連銘柄への熱は増すばかりです。

特に、ゲーム機や人工知能向け半導体「GPU」の世界的企業である【NVDA】NVIDIA(エヌビディア)は、メタバースでGPU需要が増えることや、メタバースプラットフォーム「Omniverse」を開発していることを受けて大きく買われました。

【NVDA】NVIDIAの5年分チャート

NVIDIA(エヌビディア)の株価は、2021年の世界的な半導体株バブルによって上昇していましたが、メタバースによって一段高になったことが分かります。

この急騰を受けて、NVIDIA(エヌビディア)の時価総額はGAFAMやテスラなどに次ぐ世界8位まで上昇。

NVIDIAの時価総額は、台湾のTSMC、韓国のSamsung、アメリカのインテルを上回り、半導体企業としては時価総額世界トップとなっています。

NVIDIAを筆頭に、メタバース関連銘柄は、2021年秋には世界のマーケットで最も注目されたテーマ株となったことは間違いありません。

メタバースとの関わりが深いテーマについて

メタバースが注目されている背景には、さまざまなテクノロジーの発展があります。

メタバースとの関わりが深いテクノロジーやテーマについて押さえておきましょう。

NFT(非代替性トークン)

NFT(非代替性トークン)は、メタバースの発展において欠かせないテクノロジーです。

NFTとは「Non-Fungible Token」の略称で、ブロックチェーン技術を使って情報の改ざんを防ぐデジタルデータのことです。

NFTは仮想通貨と同様にブロックチェーン技術を用いられているものですが、特にコンテンツやデジタルアイテムの希少性を証明する用途で使われます。

例えば、有名人の画像や音声といったデジタルアートやSNSの書き込みなどのデジタルデータに、権利者がNFTを使って署名すれば、公式ファイルとしての証明となり、第三者が改ざんすることもできなくなります。

NFTがメタバースの発展において重要なのは、仮想空間であるメタバース内において、デジタルデタの権利や資産の証明になり得るためです。

メタバース内で、利用者がデジタルデータのやり取りを円滑に行うためには、その価値の証明としてNFTが欠かせないのです。

2021年には、NFT関連銘柄もマーケットで注目されるようになっており、メタバース関連銘柄の一角となっています。

VR

Facebookの社名変更が、VR・AR開発者向けカンファレンス「Connect2021」の基調講演の中で発表されたように、VR技術はメタバースの発展に欠かせないテクノロジーの一つです。

FacebookのVRヘッドセット「Oculus Quest」シリーズや、ソニーのVRヘッドセット「プレイステーションVR」など、VR技術は目覚ましく発展しています。

仮想空間「セカンドライフ」や従来のオンラインゲームは、PC画面を見ながら楽しめるメタバースでした。

VRヘッドセットを装着しながらVRゲームとしてメタバースを楽しめるようになれば、現実と変わらない臨場感で、仮想空間を楽しむことが可能となります。

メタバース関連銘柄

東証でメタバース関連銘柄として物色されている銘柄を見ていきましょう。

【3632】グリー

ゲームSNS「GREE」を運営する【3632】グリーは、東証を代表するメタバース関連銘柄となっています。

同社は2021年8月6日、バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」を軸にメタバース事業への参入を発表しました。

今後2~3年間で100億円を投じて、世界中でユーザー獲得を目指すとのことです。

【3632】グリーの月足チャート

グリーの株価は、FacebookがMeta Platformsに社名変更した2021年10月に一段高となったことが分かります。

【3083】シーズメン

シーズメンの株価は、2021年10月8日に付けていた280円から、11月5日に2,540円まで上昇。

わずか1ヶ月足らずで最大9.07倍の急騰となっており、その後は乱高下となっています。

ただ、同社はアパレル小売店であり、あくまでメタバース事業への進出を発表しただけに過ぎません。

メタバースバブルとなっている状況には注意が必要です。

【3976】シャノン

マーケティングクラウドの開発やマーケティング・コンサルティングの提供を手掛けるシステム開発会社の【3976】シャノンも、メタバース関連銘柄として物色されています。

同社は、2021年10月28日、子会社ジクウが3DCGでバーチャル展示会を実現できるメタバース型バーチャルイベントサービス「ZIKU」を提供すると発表したことで、メタバース関連銘柄に位置付けられるようになりました。

【3976】シャノンの月足チャート

シャノンの株価は、2021年10月末から11月初めに掛けて大きく買われましたが、それ以降は下げに転じています。

○3-4.【6879】IMAGICA GROUP

映像制作会社の【6879】IMAGICA GROUPは、2021年11月10日の第2四半期決算説明会で、メタバース事業に参入することを発表しました。

なお、同社は、2021年9月4日に開催された「東京ガールズコレクション2021 AUTUMN/WINTER」をVR空間で体験できるアプリ「バーチャルTGC(β版)」をW TOKYOと共同開発しており、メタバース時代のファッションショーを実現した実績もあります。

【6879】IMAGICA GROUPの月足チャート

IMAGICA GROUPの株価は、2021年10月から11月に掛けて大きく買われたことが分かります。

【7047】ポート

学生向け就活サイト「キャリアパーク」を運営する【7047】ポートは、メタバースを材料に買われています。

同社は、2021年11月16日、次世代マッチングサービスとして、メタバースを活用したマッチングDX事業の実証実験を開始したと発表しました。

メタバース内での就職相談イベントの開催やメタバースを活用したバーチャル合同説明会の開催などを行うとのことです。

【7047】ポートの月足チャート

ポートの株価は、メタバースニュースを発表した2021年11月に大きく買われたことが分かります。

【3698】CRI・ミドルウェア

音声・映像に関するミドルウェア製品の開発を手掛ける【3698】CRI・ミドルウェアは、メタバース関連銘柄として名前が挙がりやすい銘柄です。

同社は2021年11月4日、Holotech Studios, Inc社が提供するバーチャルアバター制作支援ツール「Animaze」に、同社の音声解析リップシンクミドルウェア「CRI LipSync」が標準搭載されたことを発表しました。

メタバースにおいて、自身の分身となるバーチャルアバターは非常に重要な立ち位置を占めることから、今後の事業展開が期待されます。

【3698】CRI・ミドルウェアの月足チャート

CRI・ミドルウェアは、メタバース関連銘柄としてたびたび名前が挙がる銘柄となっていますが、他のメタバース関連銘柄に比べるとそこまで大きく物色されませんでした。

NFT関連銘柄

メタバースにおいて重要な役割を果たす「NFT(非代替性トークン)」を手掛けているNFT関連銘柄を押さえておきましょう。

【3121】マーチャント・バンカーズ

不動産投資・仲介業を手掛ける【3121】マーチャント・バンカーズは、NFT関連銘柄としては最も注目されている銘柄の一つです。

同社は、子会社のMBKブロックチェーン社がNFT売買プラットフォームを運営していることから、NFT関連銘柄に位置付けられています。

【3121】マーチャント・バンカーズの月足チャート

マーチャント・バンカーズの株価は、2021年10月から11月に掛けて大きく買われたことが分かります。

NFTが、いかにメタバースにとって重要なのかを示す動きと言えるでしょう。

【8783】GFA

不動産投資事業を手掛ける【8783】GFAは、NFT関連銘柄に位置付けられる銘柄です。

同社は、2021年10月6日、NFTを保管するウォレットなどを独自開発していくことを発表しました。

【8783】GFAの月足チャート

GFAの株価は、2021年11月に大きく反応しました。

チャート上ではあまり大きな反発には見えませんが、低位株から約2倍の上昇となっています。

VR・AR関連銘柄

メタバース関連銘柄としても物色されているVR・AR関連銘柄について見ていきましょう。

【6554】エスユーエス

ITや機械、電気分野への技術者派遣を手掛ける【6554】エスユーエスは、VR・ARに力を入れていることから、メタバース関連銘柄の一角としても物色されています。

【6554】エスユーエスの月足チャート

エスユーエスの株価は、2021年11月に一時4倍以上にまで急騰しました。

VR・ARに力を入れている企業は多くある中で同社が物色されたのは、低位株となっていたことや、同社が人手不足でも注目される人材派遣株であったことなどが背景にあったものと考えられます。

【7060】ギークス

ITフリーランス向けプラットフォーム「geechs job」を運営する【7060】ギークスは、ARアプリを手掛けていることからメタバース関連銘柄にも位置付けられる銘柄です。

同社は、2021年11月4日、カードやポスターに印刷された専用のARマーカーを読み取ることで写真やイラストが動き出して見えるARアプリ「空想レンズ」を提供開始したと発表しました。

【7060】ギークスの月足チャート

ギークスの株価は、2021年11月に大きく上がっています。

2021年11月の株価動向について詳しく見てみると、2022年3月期業績予想を上方修正したことが大きく寄与していますが、ARアプリ発表後にも大きく買われており、メタバース関連での買いも入ったものと思われます。

まとめ

今回は、メタバースの概要やメタバースと関わりが深いNFTやVRについても解説した上で、メタバース関連銘柄についてご紹介してきました。

Facebookが「Meta Platforms(メタ・プラットフォームズ)」に社名変更したことなどを受けて、世界中の投資家がメタバース関連銘柄に注目しています。

日本市場でも、【3632】グリーを中心に買われており、メタバース事業への参入を発表した【3083】シーズメンは1ヶ月足らずで9倍の暴騰となるなど、2021年10月から11月に掛けてメタバース関連銘柄は全面高となっています。

また、メタバースの発展に欠かせないNFT(非代替性トークン)やVR・ARを手掛けている銘柄も、メタバース関連銘柄の一角として大きく買われました。

2000年代の「セカンドライフ」ブームは一過性のものに終わりましたが、テクノロジーの発展によって、2020年代にメタバースはSNSのような日常の一部になる可能性が十分にあります。

今後も、有力企業のメタバース事業への参入は相次ぐものと思われるため、成長テーマ株の一角として押さえておくようにしましょう。

紫垣 英昭