紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
株式投資で儲かる銘柄を選ぶには、会社の収益性をしっかり分析しなければいけません。
売上に対し十分な利益があるのか、資本を円滑に使えているのか、効率的に利益をあげているかなど、様々な判断基準があります。
今回は、会社四季報を使った銘柄選びを行う際の、7つの見極めポイントを用意しました。
実際の会社四季報を元に収益性の見方を解説していきたいと思います。
※この動画は過去に撮影した動画を再編集したものです。市況などは撮影当時のものになります。
- 会社の収益性を見る7ポイントがわかる
- キャッシュフローの見方がわかる
- ROE、ROAの見方がわかる
企業の収益性を見る7つのポイント
会社の収益性を見るポイントは主に7つあります。
- 売上高
- 営業利益
- 経常利益
- 税引き前純利益
- 当期純利益
- 一株あたり利益
- キャッシュフロー
これらの言葉は会社を経営されている方や営業職の方にとっては馴染み深い言葉かもしれません。
安全な会社を選んだら、その会社の売上は伸びているのか、ということをチェックしていきましょう。
会社四季報で、グリー(3632)を見てみよう
会社の収益を見るポイントとして、業績欄を1つ紹介したいと思います。
銘柄はGREE(グリー)です。テレビコマーシャルなどでグリーという名を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。携帯で無料ゲームを楽しめる会社です。
会社四季報を見ると売上が驚異的に伸びていることがわかります。営業利益、経常利益、当期純利益も伸びています。
以下のポイントに注目して、さらに詳しくデータ分析していきましょう。
本業の儲けで入ってきたお金。
これらのポイントを参考にグリーの収益を見ると、営業CFが57億円、財務CFが36億円、投資CFが8500万円となっており、会社に溜まっているお金が多いことがわかります。
利益が伸びていてお金の循環が良いということは、会社の安全性にも繋がります。
チャートを確認してもわかるように、こうした会社は、成長が著しい傾向にあります。
このように利益が伸びると株価も変わりやすくなり、買い需要が高くなります。買い需要が高くなれば株価も当然高くなる、というようにポイントを押さえて業績欄をチェックしてみましょう。
会社四季報で、日本電産(6594)を見てみよう。
日本電産を参考にさらに詳しく会社の収益を把握するポイントを紹介したいと思います。
ここでは、ROE(株式資本利益率)とROA(総資産利益率)に注目します。
ROE(株式資本利益率)とは、いわゆる【当期純利益÷株主持分】株主の出資したお金でどれだけ効率よく利益をあげているか、ということです。
外国人投資家が好む数字といわれています。外国人投資家は株を買い回していき保有比率をあげているからです。
日本電産のROEは15.3%、非常に良い数字です。
20%という場合もありますが、ROEは高ければ良いということではありません。
株主持分が多くなるほど計算式上ROEは低くなります。
例えば、ROEが30%など異常に数値が高い場合は、負債がある可能性があります。利益率の高さよりも、バランスが取れていることが大切です。
一方、ROA(総資産利益率)とは、【当期純利益÷総資産】総資産に対してどれだけ利益をあげているか、ということです。
日本電産のROAは7.5%、こちらも良い数字です。
業種によって異なりますが、最近の傾向でいうと、ROE(株主資本利益率)15〜20%、ROA(総資産利益率)5〜8%が良いとされています。
「ROEとROAのバランス」「会社の安全性と利益の伸び」これらを総括してみていくようにしましょう。
日本電産はROEが15.3%、ROAが7.5%と非常にバランスがとれているといえるでしょう。ROEとROAのバランスが取れており、会社が安全、尚且つ利益も順調に伸びている場合は非常に買い手がつきやすいと思います。
日本電産の株価を確認してみましょう。
会社の安全性も株主持分比率も47%くらい、利益も順調に伸びています。
様々な業種を見て、その平均値をとってみましょう。例えば、業種によってはROEが10% 、ROAが4%でバランスが良いと判断できる場合があります。業種の平均値より高ければ投資する価値があるでしょう。
まとめ
しっかりとポイントを抑えて会社の収益性を見ていけば、優良会社を見つけやすくなります。
【営業CF・投資CF・財務CF】3つの観点から分析し、お金の循環が良い安全な会社であるか見極めること。
利益率の高さばかりに囚われず、ROEとROAのバランスがしっかり取れているか確認すること。
これらを念頭に投資先を検討していきましょう。
紫垣 英昭
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