紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
今回は、「ニュースと株価の関係を見る」をテーマにお話をしていきます。
皆さんも普段からニュースは見ていると思いますが、相場に活かすには「株価に影響を与えるニュースをチェックする」必要があります。
そこで、どのようなニュースをチェックすれば良いのか、ニュースの活用法などについて解説していきたいと思います。
最後までお読み頂ければ、他のトレーダーよりも市場の動きを把握できるようになるはずです。
短期売買で利益を出すには、テクニカル分析だけでなく相場を取り巻く環境についても覚えていきましょう。
※この動画は過去に撮影した動画を再編集したものです。
- 株式投資をするうえでチェックするべきニュースが分かる
- 経済指標発表の重要性が分かる
ニュースと株価の関係とは
どのようなニュースが株価に影響を与えるのでしょうか。
株価に与えるニュースのチェックの仕方と併せて解説をしていきます。
株価に影響を与えるニュースの例
株価に影響を与えるニュースはいろいろあります。
直近の例ですと、政権交代(2013年に撮影した動画を元に記事を作成しています)が大きなニュースでした。
その他には、以下のようなニュースが株価に影響を与えます。
- 日銀の人事
- 政策金利
- 要人発言
- 先進国のマクロ経済
個別企業のニュースでは、以下のようなニュースなどがあります。
- 業績や新製品
- 決算発表
- スキャンダル
どこでニュースをチェックすればいいのか
株価に影響を与えるニュースは、どこでチェックすればいいのでしょうか。
基本的にはどこから情報を得ても構いません。例えば、Yahoo!ファイナンスにも出ています。
Yahoo!ファイナンスを開いてみると、下の画像のようにニュースが表示されます。
ニュースの読み方
参考にニュースを一つ見てみると、「国内株式市場見通し」に2ヶ月後の日経平均は高値水準になるという内容の記載があります。
今後の市場を好感している記事ですが、誤解してほしくないのは「これが正しい・正しくない」という話ではないことです。
正しいか正しくないかは、その時になってみないと正直分かりません。
ただ、「市場関係者がどういう風に思っているのか」をニュースから察することができます。
市場関係者が、見通しについて好感を持っているのであれば、週明けの株式市場は比較的買い先行から始まりやすくなります。
もちろん、前日のNY市場などにも影響されますが、市場全体として見ると比較的ポジティブな状況だと判断できます。
2013年5月23日に日本の株価は大暴落しましたが、その直前までポジティブな見方をしていました。
ポジティブだから株価が上がるという訳ではありません。
今は、ニュースで市場の環境を確認しようという話をしてる訳ですので、「今の日本市場は比較的、買いの余地があるかな」というのが、このニュースから分かるということです。
経済指標のスケジュールを把握しておく
次に、経済指標のスケジュールも把握しておきましょう。
これは、短期売買をする上でとても重要です。
私はいつも、トレーダーズウェブというサイトをチェックしています。
トレーダーズウェブには、下の画像のように各経済指標の発表スケジュールが出ています。
9月23日(月)の日本市場は祝日で休みですが、中国では9月の製造業PMIが発表になります。
9月24日(火)はアメリカで住宅関連のマクロ指標が発表されます。日本では地価が上がってきているので、住宅関連の指標は材料視される可能性があります。
9月26日(木)には、アメリカで4月のGDPが発表されます。
このようなマクロ指標は、アメリカの株式・為替市場に影響があります。
マーケットに対して大きな影響がある指標発表前にポジションを取ってしまうと、予想と逆に出た場合、大きな損失になってしまいます。
そのため、短期売買をする上では、重要な指標発表の前にポジションは取らないことが大切です。
例えば、前の週の9月20日(金)にポジションを取ったとしましょう。
日本市場が休みの9月23日(月)に中国のPMIが悪い数字になり、NY市場が暴落しました。そうなると、9月24日(火)の日本市場はほぼ全銘柄において、売り気配から始まってしまいます。
これは結構よくある話です。経験された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このようなことを防ぐために、環境確認は必ずやらなくてはいけません。特に短期売買においては必須です。
具体的な銘柄で例示
少し大きな視点での話が続いたので、イメージしやすいように具体的な銘柄でお話しましょう。
下の画像は、コマツの日足チャートです。
最近は上昇傾向ですので、もう少し上がるだろうと予測を立てて赤い丸印の部分でポジションを持ったとしましょう。
ポジションを取るのであれば、来週はどういう経済指標の発表スケジュールになっているかを確認しなくてはいけません。
経済指標の発表によっては暴落したり、下降トレンドになったりする可能性もあります。
為替市場と株式市場に影響が大きい指標は多くありますが、主な指標は以下の通りです。
- 雇用統計
- 新規失業保険申請件数
- ISM非製造業景況感指数
- FOMC
- ベージュブック
このような発表が控えているのであれば、できるだけポジションを持たないことが賢明です。
結果が出て、市場参加者がどういう風に反応したかを確認して、そこからポジションを取りましょう。
相場を動かしているのは人間の心理
最後に「相場を動かしているのは人間の心理によるところが大きい」ということを覚えておきましょう。
つまり、「マーケットがどういう風に考えているか」「何を想定しているか」をニュースや経済指標から読み解いていく必要があります。
先ほどのニュース記事の中にも「好業績を織り込みに行く展開が期待できる」と、私が解説したようなことが記載されています。
「相場の機運や息遣い」「何か障害になっているもの」「支援する材料」を一つ一つ確認しながらポジションを取っていってください。
確認することにより、無駄な損失が少なくなり収益機会を見出すことができるようになります。
まとめ
「相場に大きく影響する指標発表が控えている時はポジションを取らない」これが重要です。
経済指標が発表されて、動きを確認してからついて行きましょう。
売られたのであれば、「押し目を拾うか」逆に「空売りを仕掛けていくか」その時の環境を確認してポジションを取りましょう。
ニュースから市場関係者の考えを読むことは、一朝一夕にできるものではありません。毎日繰り返し行うことで自然と身に付くものです。
焦らないで学んでいってください。
今回お伝えした話には、「この場合はこうする!」という法則はありません。
経験値がものをいう部分ではありますが、今回お伝えしたことを知ってトレーニングをするのと、知らないままトレードするのでは、1年後には雲泥の差が付きます。
まずは、分からない中でも市場の環境を確認することが大切です。
すぐに効果は出ないかもしれませんが、ニュースから相場を読む力はトレーダーに必須の力です。
少しずつ学んでいって、リスクを回避する力を高めていきましょう。
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