紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
株式投資は、差金決済で売買益を得るデイトレードや短期トレードといった投機的な取引をすることもありますが、長期保有することよって株価の値上がり益をとったり、配当や優待などの権利を受け取れるというメリットがあります。
株主になることで受け取れる3つの権利は以下です。
・議決権
・利益配当請求権
・残余財産分配請求権
今回は、この「株主の3つの権利」と、株式市場の役割、株式投資の狙いについてそれぞれ解説します。
※この動画は過去に撮影した動画を再編集したものです。市況などは撮影当時のものになります。
- 株主の3つの権利とは何かがわかる
- 株式投資の役割がわかる
- 個人投資家が株式投資をする狙いがわかる
株主の権利1:「議決権」株主総会に参加できる
まず1つ目に有する株主の権利が「議決権」です。
株主になるということはその会社のオーナーになるという意味なので、オーナーである以上会社の方向性を決める権利があります。
例えば役員の変更や事業の変更、そのほかにも会社が大きな決定をする際には「株主総会」というものを開くことになります。
そこで会社の株を保有している我々株主が議決権を行使し、その方針が良いのか悪いのか、可決するのか否決するのかという判断を実際に下すことになります。
株式を保有すると、保有している会社から株主総会に関する案内が届きます。
そこには用紙が入っているので郵送で賛否を表明することができますし、会場に直接行くこともできます。
そこで実際に可決か否決かを選ぶことになります。
この議決権は株主にとって大きな権利となるので覚えておいてください。
株主の権利2:「利益配当請求権」配当や優待が受けられる
2つ目の株主の権利が、「利益配当請求権」です。
言葉にすると難しいですが、要は保有枚数に応じて配当を受け取る権利があるということになります。
先ほどもお伝えした通り株を保有するということはその会社のオーナーになるため、会社が成長し利益が上がるとなれば我々株主は配当を受け取る権利があるわけです。
これも株主の大きな権利ですが、配当がない上場企業もあります。
業績が悪かったり長期的に会社が低迷状態、もしくは上場して間もない企業であったりすると配当金は無い場合があるので注意が必要です。
もし配当金の有無を調べたいのであれば、以下のような会社四季報を見ることで確認することができます。
例えばソニーの会社四季報を見てみると、一株配当という形で配当金が記載されています。
ソニーの場合は1株当たり25円の配当金が記載されています。
赤い箇所から配当金の有無を確認することができますので、会社四季報を見る際には是非この点にも注目してみてください。
株主の権利3:「残余財産分配請求権」会社の解散時に分配金が受け取れる
3つ目の株主の権利が、「残余財産分配請求権」です。
これは会社の解散時に株主は持ち株数に応じて残りの資産から分配金を受け取れる権利となります。
とはいえ、こちらの権利が執行されるのは稀です。
例えば、これに関連する出来事としてはJALの倒産が挙げられます。
JALの株主はたくさんいましたが、当時JALの経営が破綻するというニュースが流れた際に最初についた株価が7円でした。
このように倒産前にはほとんど株の価値自体がなくなってしまうという状況が多いので、こちらの権利についてはあまり考える必要がないといえます。
なので、株主が覚えておくべき権利としては「執行権」と「利益配当請求権」の2つをしっかりと押さえておいてください。
株式市場の2つの役割とは?
株式市場の役割についてご説明します。
株式市場の役割「発行市場」について
まずは「発行市場」について解説します。
実際に上場する会社は個人投資家に向けて株式を売り出します。
それらの企業が新しい株を発行する場合、証券会社を通じて投資家に売り出しを行います。
例えば2005年には、新しいネット起業であるライブドアやサイバーエージェントなどが上場しました。
この時IPO(Initial Public Offering)と呼ばれる新規上場株式を証券会社が投資家に売り出すことになり、その会社の株が欲しい株主がそれを買います。
会社側にとって株式市場は有効な資金の調達手段となり、投資家に株を発行して実際に売れた分だけ資金が入ってくることになれば、会社側はその資金を新たな事業に投資することになります。
株式市場の役割「流通市場」について
2つ目は「流通市場」という役割です。
投資家は取引所を通じて、購入した株式を他の投資家たちと自由に売買できるようになっています。
発行市場と流通市場、この2つの大きな役割を持って株式市場は動いています。
上場する意味を企業側と株主側の双方から考えたとき、企業にとっては資金を調達する場となり、株主にとっては有望な企業に投資する場となります。
従って株式市場は、発行市場と流通市場の2つがうまく機能することによってはじめて成立するわけです。
株式市場における私たち個人投資家の狙いとは
それでは株式市場における私たち投資家の狙いとは何でしょうか?
結局のところ「売買益」と「配当金」、この2つの目的が大半を占めると考えて良いでしょう。
以上の2つの目的以外では、雑誌などでよく特集されている「株主優待」があります。
株主優待とは、株主に対してポイントやマイルが付与されたり、割引券や食料品会社であればお米などが貰えたりする特典のようなものです。
株主優待や、その取引方法については、以下の記事を参考にして下さい。
まとめ
株主になることで得られる3つの権利、ご理解いただけましたでしょうか?
先ほど株主優待目的のご紹介をしましたが、株主優待目的で株を買うのは、私の投資スタイル的には本末転倒なこともあって、優待目的での売買はしていません。
そのため、この公開セミナーでは「売買益」と「配当金」に絞って解説していきます。
この公開セミナーが、皆様のトレードのお役に立てれば幸いです。
紫垣 英昭
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