紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
株式市場にも「買い時」というものがあります。
一概に安い時期に株を買うといっても、投資家によって判断基準は様々で、はじめは何を基準としたら良いのかわからないという方もいると思います。
そんな時はまず、年間を通してどの時期が良いとされるのか把握するところからはじめてみると良いでしょう。
そこで今回は、ベストな買い入れ時期と共に、その判断基準を解説していきたいと思います。
※この動画は過去に撮影した動画を再編集したものです。市況などは撮影当時のものになります。
- 株を買うベストなタイミングがわかる
- 急落局面で「買い」を入れる判断材料がわかる
- 買い入れ時期の判断ポイントがわかる
株を買う、ベストなタイミングとは
はじめに、どの時期にどのような出来事が起こっているのか、そして、何を判断材料にして買えば良いのかについて見ていきましょう。
秋の暴落は強気で買い向かおう
四季の中でも「秋」は、株価が非常に暴落しやすい時期です。
過去の事例を遡ると、大きな株価暴落は大体秋に発生していることがわかります。
例えば、
- 世界恐慌「暗黒の木曜日」:1929年10月24日
- 「ブラック・マンデー」史上最大規模の世界的株価大暴落:1987年10月19日
- アジア通貨危機:1997年7月
- ロシア財政危機:1998年8月17日
- ネットバブル崩壊:2000年4月から2002年10月まで急落
- 米同時多発テロ:2001年9月11日
- リーマン・ショック:2008年9月15日
などの事例があります。
「ブラック・マンデー」の時期、私は証券会社に入社して1年目の秋でした。
株価ボードは緑の線だけになっており、最初は何が起こったのかわりませんでした。
振り返ると、凄いものを見たと感じます。
7月、8月に起きている事件も株価が底を打つのは秋となっています。
10月近辺は非常に株式市場が暴落を受けやすい傾向にあると判断できるでしょう。
秋に暴落したときは、買いの準備に入ることをお勧めします。
急落局面で「買い」を入れる判断材料とは
急落局面と判断するには、様々なポイントがありますが、主に
- ニュースでネガティブな報道ばかりされている
- 市場関係者のネガティブなコメントが目立つ
- 騰落レシオが50〜70ポイントまで下がる
- 信用取引の評価損益率が-20%〜-30%に到達する
これらの状況が秋に見られるようであれば、買い時期と判断して良いでしょう。
もちろん、全額買うということではありませんが、総資金の10~20%であらかじめピックアップしていた銘柄を買ってみると良いと思います。
そこから更に株価が下がれば、「買い増し」をして平均購入単価を下げていけば問題ありません。
ただし、デイトレードや短期投資家の場合は、「買い増し」つまり「ナンピン」をして解決した事例がほとんどないので注意が必要です。
あくまでも、長期投資で資金のマネジメントをする前提で考えましょう。
長期投資の場合でも、リスク率は当然個人によって変わってきますし、資金の規模によっても変わってくるのですが、あらかじめ決めた数値に到達しない限り、「ナンピン」しても十分問題ないと思います。
買い入れ時期の判断ポイント
次に、先ほど挙げた判断材料を踏まえて、それぞれの具体的な判断ポイント(基準)について詳しく説明していきたいと思います。
騰落レシオ
騰落レシオは、「値上がり銘柄数(25日合計)÷値下がり銘柄数(25日合計)」で数値を出すことができます。
50〜70までを1つの判断ポイントと考えましょう。
評価損益率
評価損益率とは、信用取引残高の買い残高に対する評価損益割合のことを言います。
-20%前後に到達したら買う準備を進めましょう。
ネガティブなアナウンスメント
株価が下がると株式市場の下落を報道するニュースが目立つようになります。
アナリストやエコノミストといわれるマーケットの専門家は、頻繁にテレビに出演するようになり、ネガティブなコメントを発信するようになります。
市場が危機的状況にあるとし、「まだまだ下がる」「これから上がる」といった討論をする様子を目にすることが多くなると思いますが、視聴率を上げる為の企画であったりする場合が大半なので、討論の内容に深く注目する必要はありません。
重要なのは、専門家がテレビに出演する回数がどの程度増えたかということです。
回数が増えていればチャンスですので、買いの準備を進めるようにしましょう。
このような局面での銘柄選択は、日本を代表する大型株に標準を合わせます。
必ず合わせなければいけないという訳ではありませんが、危機的状況から戻る時というのは各業種筆頭の銘柄、いわゆる「01銘柄」、例えば「1301」や「6501」など「01」の付く銘柄から戻ってくる確率が高くなっています。
もちろん、皆様が分析して注目した銘柄で判断しても良いのですが、まずは大型株から資金が入り始めるので全体的な市場の動向を判断するためにも、着目していると面白いのではないかと思います。
秋の暴落
歴史的に株価が暴落するのは秋が多いということですが、これには理由があります。
例えば、10月というのはアメリカのミューチュアルファンドの決算に入ります。
※ミューチュアルファンド
オープンエンド型投資信託のこと。請求により随時解約をすることができる。
つまり、ダメな銘柄は売り、良い銘柄だけを残す時期ということです。
何故かというと、損失の繰り越しは節税に関わるのでファンドが損を確定していくからです。
10月はミューチュアルファンドの決算期、11月がヘッジファンドの決算期になりますので、秋はダメな銘柄の損切りをしていく時期というわけです。
ヘッジファンドには1つ特殊な点があります。解約応答日といい、45日ルールがあるのです。
いわゆる、ヘッジファンドを解約する場合は45日前までに申し出なければいけないというもので、ヘッジファンドとしては、投資家から解約の申し出があったら、その分ポジションを縮小しなければいけなくなります。
そのため、ダメな銘柄はどんどん切っていきます。
ファンドにはそういった特殊要因があるので、秋というのは決算期に絡む売りというのが誘発します。
そこを目がけてから売りをするファンドもあり、どうしても売り圧力がかかってしまいます。
日経平均株価も9月は勝率が悪くなり、負け越しています。
9月が勝率としては一番弱く、10月もあまり強くありません。11月は少しばらつきがありますが、あまり良い傾向が見られないと言えるでしょう。
9月〜11月のタイミングを見計らってこの時期に株が大きく売られるようであれば、買いに入ります。
ただし、「買い」のタイミングには様々な意見があります。暴落の時期に買うのは怖いと感じる方もいるでしょう。
ですので、全額買う必要はありません。自分の持っている資金の10~20%ぐらいに抑えて買うのが良いと思います。
そこから下がっても耐えることができるマネジメントを心がけましょう。
まとめ
はじめは中々勇気が出ず、秋の暴落時期に株を買うことを懸念してしまう方も多いと思いますが、秋に買って、翌年の4月、5月に売る、ということを繰り返すだけでも随分パフォーマンスが良くなります。
これは、私がこれまでのデータをもとにグラフ化した上で把握していることなので、非常に自信を持ってお伝えできる部分です。
秋の暴落時期に買った株の大半は、1年持っていれば上昇しているケースが多く、その割合は全体の約7割を占めています。
皆様もぜひ、強気で買いに向かってみましょう。
紫垣 英昭
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