投資信託の移管とは?メリットや移管方法を詳しく解説!

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

投資信託は移管手続きを行なうことで、別の証券会社や銀行に預け先を変更できます。 金融機関ごとに取引手数料やサービスはさまざまなので、大切な資産を預けるならば、よりメリットの大きなところを利用したいものです。 そうはいっても、「移管にはコストや手間がかかりそう」と躊躇している人は多いのではないでしょうか。 この記事では、投資信託の移管に関するメリット・デメリットを踏まえ、移管手続きの流れや気を付けておきたいポイントを解説します。

この記事を読んで得られること
  • 投資信託の移管について、メリット・デメリットがわかる
  • 移管手続きの流れを確認できる
  • 移管する際に必ず知っておきたい注意点がわかる

投資信託を移管するメリット・デメリット

まずは、投資信託を移管する際に生じるメリットとデメリットを確認しておきましょう。

投資信託を移管するメリット

投資信託の移管で得られる一番のメリットは、購入手数料を抑えられる点です。 購入手数料とは、投資信託の購入時に販売会社に払う手数料となり、一般的に価格の0~3%で設定されています。 仮に、利用中の証券会社で購入手数料が3%だったとすると、100万円の投資信託を購入するだけで3万円の購入手数料がかかります。 しかし、ネット証券など手数料が無料の会社に移管すれば、手数料分のコストの削減が可能です。 さらに、銀行や証券会社によってはポイントがもらえるサービスも存在します。 例えば楽天証券の場合、一定の投資信託を購入するとポイントがもらえます。 1回あたりの購入手数料やポイントは少額かもしれませんが、長期的な運用を考えると大きな差となります。 現在利用している金融機関のサービスを確認したうえで、よりメリットがある銀行や証券会社があれば移管を検討してみるとよいでしょう。

投資信託を移管するデメリット

投資信託を移管する際の一番の懸念は、移管手数料がかかることです。 多くの金融機関では入庫時の費用はかかりませんが、出庫の際に手数料が設けられています。 費用は1銘柄1,000~3,000円程度、もしくは単元数ごとに加算される場合もあり、金融機関によってさまざまです。 移管する投資信託の銘柄や単元が多い場合は、移管手数料もかさんでしまいます。 既存の預け先がどのような手数料設定になっているのか、必ず確認しておきましょう。 また、なかには、他社に支払った出庫手数料をすべて負担してくれるサービスを用意しているところもあります。

投資信託を移管するための手続き

移管の手続きは基本的に書類上で行なうため、それほど難しくはありません。 口座区分によって2つのパターンに分けられるので、それぞれ手続きの流れを見ていきましょう。

一般口座同士または特定口座同士の場合

まずは、既存の金融機関から口座振替依頼書を入手します。 入手方法は、コールセンターへの問い合わせやWeb上でのダウンロードなど、金融機関によって異なります。 依頼書に移管先の口座情報などの必要事項を記載して、既存の金融機関に提出すれば、1~2週間で手続きは完了です。 移管先の口座が新規開設の場合は、依頼書の提出前に口座を開設しておく必要があるので注意しましょう。

NISA口座の場合

NISA口座の場合は、既存の金融機関に変更届出書を請求します。 届出書に必要事項を記載して既存の金融機関に提出すると、約1ヵ月後に廃止通知書が届きます。 廃止通知書の受け取り後、新たに取引を希望する金融機関でNISA口座を開設すれば、手続きは完了です。 また、NISA口座の移管手続きができるのは1年に1回のみなので、金融機関選びは慎重に行なう必要があります。

投資信託の移管をする際の注意点

実際に移管手続きをスタートする前に、以下の3点を確認しておきましょう。

移管手続き中の売買取引は不可

移管の手続きには、一般口座や特定口座であれば1~2週間程度、NISA口座であれば1ヵ月程度の時間がかかってしまいます。 移管手続をしている間に、価格が大きく変動してしまっても売却ができません。 暴落時のリスクを最小限に抑えるために、相場が激しく動いている時期の移管は避けることをおすすめします。

移管先が同じ商品を取り扱っていない場合は移管できない

移管先に保有する投資信託があるかを事前にチェックしましょう。 金融機関ごとに投資信託のラインナップは違うため、移管先に保有中の銘柄がないこともありえます。 保有している投資信託が移管先にない場合、その投資信託は移管ができないため、既存の口座でそのまま保有するか、売却して移管先の口座で別の投資信託を購入するか、いずれかの対応になります。 ネット証券などは3,000近くもの投資信託を取り扱っているところもあるので、ラインナップが豊富な金融機関への移管を検討するとよいでしょう。

口座区分が同じでなければいけない

投資信託の口座には、特定口座と一般口座があります。 特定口座同士、もしくは一般口座同士しか移管はできないため、口座区分は必ず合わせておきましょう。 同様に、特定口座・一般口座からNISA口座への移管もできません。

まとめ

投資信託の移管には手数料がかかることが一般的ですが、購入手数料のコストを削減できる場合もあります。 現在利用中の金融機関のサービスを踏まえて、移管を検討するとよいでしょう。 移管には一定の時間がかかるため、手続きの流れを把握したうえでスケジュールを組んでおく必要があります。 また、金融機関を変更しようと考えても、保有している投資信託や口座区分によっては、移管できないこともあるので注意してください。 よりコストを抑えた資産運用ができるように、投資信託の移管にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。