紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
会話型AI「ChatGPT」が世界中に衝撃を与えており、将来的にはGoogle検索を超えるサービスになる可能性も指摘され始めています。
株式市場においても、チャットボットを手掛けるAI(人工知能)株が、ChatGPT関連銘柄として物色されています。
AI株は、2021年以降はバブル崩壊となり暴落銘柄が多くなっていましたが、ChatGPTブームを受けて再注目されるかもしれません。
今回は、ChatGPTについて解説した上で、ChatGPT関連銘柄として物色されているチャットボット関連銘柄についてチャート付きで紹介していきます。
- ChatGPTについてわかる
- ChatGPT関連銘柄として物色されているチャットボット関連銘柄についてチャート付きでわかる
- ChatGPT関連銘柄についての今後どうなるかの考え方が学べる
会話型AI「ChatGPT」が世界に衝撃を与えている
会話型AI「ChatGPT」について簡単に押さえておきましょう。
ChatGPTとは?
ChatGPTは、アメリカの人工知能研究所OpenAIが開発した会話型チャットボットです。
ChatGPTは、OpenAIが開発した自然言語処理モデル「GPT-3」をベースにしており、インターネット上のテキストを学習して、会話や文章校正、質問応答、機械翻訳、プログラミングなど、様々な自然言語処理に対応できます。
ChatGPTは、2022年11月30日にプロトタイプが公開され、OpenAIのホームページから登録すれば誰でも利用可能です。
ChatGPTを実際に使ってみると分かりますが、どのような問いに対しても、人間の会話と遜色ない回答が返ってきます。
ChatGPTは、リリースから2ヶ月でアクティブユーザー数が1億人に到達しており、これはTikTokの9ヶ月を抜いてインターネットサービスとしては最速の数字となっています。
ChatGPTのリリースによって、OpenAIの評価額は290億ドルとなり、2021年の140億ドルに比べて2倍以上増加しました。
ChatGPTはGoogle検索を超える可能性も
ChatGPTでは、簡単な会話や計算はもちろん、プログラミングコードを生成してもらうことや、音楽や小説といったクリエイティブ活動を依頼することも可能となっています。
ただ、専門的な質問では間違いも多く、専門知識がない人が使った場合には間違った知識を得てしまう弊害も指摘されています。
とはいえ、ChatGPTのようなAIサービスは過去に例がなく、将来的にはGoogle1強の検索エンジン市場に大きな変化を与える可能性も指摘されているほどです。
2022年12月、ニューヨーク・タイムズ紙は、GoogleはChatGPTが検索エンジン事業にもたらす脅威を受けて、ChatGPTの脅威に対応するよう命じたと報じました。
ChatGPTは、まだ知的労働者の職を奪うほどの精度はありませんが、ビッグデータによるディープラーニングや半導体の進化でさらに発展していくAIの特性からすると、人類の歴史を変えてしまう可能性は十分に考えられます。
なお、ChatGPTでは、株式投資など資産運用の相談もできますが、やはりまだ使える精度には達しておらず、ChatGPTに資産運用の相談をするのは危険です。
ChatGPT関連銘柄としてチャットボットを手掛けるAI株に注目が集まる
ChatGPTの衝撃は、東証にも伝わっており、チャットボットサービスを手掛けるAI株が買われています。
ChatGPT関連銘柄として注目されるのはAI(人工知能)株
ChatGPTの衝撃は、株式市場にも伝わっています。
例えば、AI向け半導体GPU大手として知られる【NVDA】NVIDIAは、2021年11月以降の米国利上げによるハイテク株急落で大きく下げていましたが、2022年11月末のChatGPTリリース以降に盛り返しています。
【NVDA】NVIDIAの月足チャート
東証では、チャットボットサービスを手掛けるAI(人工知能)株が、ChatGPT関連銘柄として2022年12月以降に買われています。
ChatGPTのような自動会話プログラムは、「チャットボットサービス」と呼ばれています。
AIを使ったチャットボットサービスは、ユーザーからのお問い合わせ対応など、ChatGPTが登場する以前から活用していた企業が少なくありません。
ただ、企業が活用している現行のチャットボットサービスはあくまで簡易的な応対に留まっているため、ChatGPT並みのチャットボットが実用化されれば、生産性がより大きく高まることが期待されます。
AI株はバブル崩壊しつつあったが、ChatGPTで再び注目集まる
ChatGPT関連銘柄として注目されるAI(人工知能)株は、2018年頃から大きな注目を集め始めました。
2018年には、将棋AIアプリを手掛ける【4382】HEROZがIPOで公募価格の10倍以上を付け、トヨタと自動運転で提携した【3906】ALBERT(2022年12月にアクセンチュアに買収され上場廃止)が10倍以上のテンバガーとなりました。
また、新型コロナ相場でデジタルトランスフォーメーションが注目された2020年には、AIソリューションを手掛ける【4011】ヘッドウォータースがHEROZを超えの10倍超えIPOとなり、AIを活用したリーガルテックを手掛ける【2158】FRONTEOはコロナショックから一時30倍以上の急騰となりました。
【2158】FRONTEOの月足チャート
ただ、2021年から2022年に掛けてAI株は大きく売られ、IPO以外では強い銘柄が見当たらない状態となり、IPOで強かった銘柄のほとんどもIPO時に高値を付けて暴落する“IPOゴール”が大半となっています。
2022年12月以降、ChatGPTの影響を受けて、チャットボットサービスを手掛けるAI株が反発しており、AI株が復調する兆しが見え始めています。
ChatGPT関連銘柄(チャットボット関連銘柄)10選!
ChatGPTがリリースされた2022年11月末以降に買われているChatGPT関連銘柄(チャットボット関連銘柄)を見ていきましょう。
【3984】ユーザーローカル
ビッグデータや人工知能を活用したソリューションを手掛ける【3984】ユーザーローカルは、ChatGPT関連銘柄として物色されています。
同社は、社員・顧客からの問い合わせを削減する「サポートチャットボット」を提供していることで知られています。
ChatGPT関連銘柄として注目されるAI株は東証グロース市場の銘柄がほとんどですが、同社は東証プライム銘柄です。
【3984】ユーザーローカルの日足チャート
ユーザーローカルの株価は、2022年12月には売られていましたが、2023年2月以降には大きく買われています。
【3962】チェンジ
企業や公共団体のデジタルトランスフォーメーション支援などを手掛ける【3962】チェンジは、東証プライム上場のChatGPT関連銘柄です。
同社は、2020年に10倍株テンバガーを達成した代表的なDX(デジタルトランスフォーメーション)株として知られていますが、AIによるチャットボット導入支援サービスも手掛けています。
【3962】チェンジの日足チャート
チェンジの株価は、ChatGPTがリリースされた2022年11月末以降、乱高下しつつも上昇傾向にあります。
【5136】tripla
AIチャットボットシステム「tripla Bot」や宿泊予約システム「tripla Book」を手掛ける【5136】triplaは、代表的なChatGPT関連銘柄として物色されています。
同社の主力製品であるAIチャットボットシステム「tripla Bot」は、お客様からのお問合せ対応に多言語で対応する、インバウンドでも注目のサービスとなっています。
なお、同社は、2022年11月25日に上場したばかりの東証グロース銘柄です。
【5136】triplaの日足チャート
triplaの株価は、IPOとChatGPTのリリースが重なったこともあり、上昇し続けています。
【5132】pluszero
AIとITを軸にしたソリューションを提供する【5132】pluszeroは、ChatGPT関連銘柄の一角としても注目される2022年IPO銘柄です。
同社は、ITソリューションの一環として、サイト・アプリ上の顧客からの質問・申込対応を自動対応するチャットボットの開発・導入や、コールセンターのオペレータの質問回答をサポートするチャットボットの開発・導入を進めています。
【5132】pluszeroの日足チャート
pluszeroは2022年10月31日の上場後、12月には売られましたが、2023年1月以降は大きく反発しています。
【5243】note
メディアプラットフォーム「note」を展開する【5243】noteは、チャットボットサービスを展開しているAI株ではありませんが、ChatGPT関連銘柄の一角として乱高下している銘柄となっています。
同社は、2023年2月8日、ChatGPTを活用してクリエーターの文章作成などを支援する機能の追加を発表しました。
【5243】noteの日足チャート
noteの株価は、2022年12月21日のIPO以降は横ばいとなっていましたが、ChatGPTの活用を発表したことでストップ高となり大きく上昇しました。
【4370】モビルス
コールセンター向けなどにクラウドサービス「MOBI」シリーズを提供する【4370】モビルスは、チャットボットを手掛けるChatGPT関連銘柄です。
同社は、高度な顧客対応自動化を可能にするチャットボット「MOBI BOT」を提供していることで知られています。
【4370】モビルスの日足チャート
モビルスの株価は、2023年1月中旬以降、上昇しています。
【4476】AI CROSS
企業向けメッセージサービスなどのAIサービスを手掛ける【4476】AI CROSSは、チャットボットを提供しているChatGPT関連銘柄です。
同社は、リッチな顧客体験と問い合わせ業務効率化を実現する高精度AIチャットサービス「QAロボット」を提供していることで知られています。
【4476】AI CROSSの日足チャート
AI CROSSの株価は、直近3ヶ月で上昇していることが分かります。
【6562】ジーニー
ネット広告収益を最大化するプラットフォーム「GenieeSSP」を運営する【6562】ジーニーは、チャットボットサービスを提供するChatGPT関連銘柄の一角でもあります。
同社は、チャット型Web接客プラットフォーム「GENIEE CHAT」を提供しています。
【6562】ジーニーの日足チャート
ジーニーの株価は、2023年2月に大きく上昇しました。
【7046】TDSE
DX推進・AI活用サービスを提供する.【7046】TDSEは、チャットボットを手掛けるChatGPT関連銘柄の一角です。
同社は、自然な会話であらゆるサービスを高度に自動化する高機能AIチャットボット「Cognigy」を提供しています。
【7046】TDSEの日足チャート
TDSEの株価は、ChatGPTがリリースされた2022年11月末から上昇しています。
【7093】アディッシュ
スタートアップの成長支援を手掛ける【7093】アディッシュは、チャットボットを手掛けるChatGPT関連銘柄でもあります。
同社は、BtoBやBtoC、社内で発生するサポート対応の効率化を支援する目的でチャットボットツール「hitobo」を提供しています。
【7093】アディッシュの日足チャート
アディッシュの株価は、2023年1月以降に大きく買われています。
ただ、流動性(売買代金)が小さい銘柄であるため手掛ける際には注意しておきましょう。
まとめ
今回は、ChatGPTについて解説した上で、ChatGPT関連銘柄として物色されているチャットボット関連銘柄についてチャート付きで紹介してきました。
OpenAIが開発した会話型AI「ChatGPT」は、その高機能性から世界中に衝撃を与えており、将来的にはGoogle検索を超える可能性も指摘されているほどです。
株式市場でもChatGPT関連銘柄は注目テーマ株の一角となっており、チャットボットを手掛けているAI株を中心に、2022年12月~2023年2月の3ヶ月で+30~50%の上昇となっている銘柄が目立ちます。
AI株は2021年~2022年に掛けては大きく売られている銘柄が多くなっていましたが、チャットボットを手掛けているChatGPT関連銘柄を中心に反発の兆しが見え始めていると言えそうです。
紫垣 英昭
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