紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
今回は、デイトレード戦略の考察をテーマにお伝えいたします。
デイトレードでは、具体的な取引手法を覚えることも大切ですが、その前に戦略を立てなくてはいけません。
戦略無しにトレードをすることは、海図を持たずに航海に出るようなものです。
戦略の定義についての説明や、PDCAの回し方の図解を致しますので、ぜひ最後までご覧ください。
※この動画は過去に撮影した動画を再編集したものです。
- なぜデイトレードで戦略が必要なのか
- 自分がデイトレードに向いているのか
- デイトレード戦略の立て方
デイトレード戦略の定義
まず、戦略の定義は「特定の目標を達成するために、大局的、全体的、中長期的な方針を指すもの」です。
デイトレードは、速いスピードで数多くの取引をこなすので、トレードの軸を見失ってしまいがちです。
利益を得るには、必ず戦略を立ててトレードを行いましょう。
そもそもあなたはデイトレードに向いているのか
デイトレードの戦略を考えるために、「そもそもあなたはデイトレードに向いているか」というところから考えていきましょう。
時間を確保できるのか?
株式のデイトレードだったら、日本時間の9時から15時まで取引をしないといけません。
その時間を確保できていますか?お仕事をされている方は勤務時間ですので、時間を確保するのが難しいですよね。
最近は、便利な世の中になったので、スマホが1台あれば注文を出せたり、ポジションを閉じたりできます。
でも、スマホの小さい画面では情報が限られてきます。
パソコンのモニターを何台か並べている人よりは、情報を取るスピードはどうしても遅くなってしまいますね。
デイトレードを行う目的は何か?
デイトレードを行う目的も大切です。
単に「今日いくら儲かれば良い」という感覚でやっているのか、あるいは「年間を通じていくらのパフォーマンスを得たい」という目標があるのかで全然違ってきます。
「目先の利益が欲しい」となると、最初に決めたルールを守れないなど、どうしても流されがちです。
どれだけ計画を立てて考えているか、準備ができているかで大きな差がでてきます。
「目的はあるのか」を、ぜひご自身に問うてみてください。
売買アプローチを検討する時間、意欲があるか?
「どのような手法で売買をするのか」を、あらかじめ決めておきます。
要は「売買のシミュレーションができる時間を確保できるか」ということです。
事前に、自分の中で前日の値動きや経済指標の発表などの情報を元に、どのように売買をするのか検討を行いましょう。
売買システムの実行、監視ができる環境にあるか?
システムというのは、システム売買のことではなくて、自分がどういったルールで売買するかということです。
事前に決めておいた売買アプローチ通りにトレードができる環境を整えましょう。
システムの検証、改良を実行できる環境にあるか?
事前に決めておいた売買アプローチを守れていたか、利益は出たか、損切はできたか、など自分の売買アプローチをしっかり検証・検討して、より改善していく時間・意欲が必要です。
デイトレード戦略のためのフローを図解
デイトレード戦略のフローを図にすると下の動画のようになります。
以前、私が雑誌に連載をしていた時に掲載したものです。
こういったフローをしっかり決めていく必要があります。
フェーズⅠ:目的の明確化と自己認識
まずは、【1】最終的なゴールを決めます。「自分の元本を何年後に、いくらにするのか」ということですね。
ここを決めておかないと、流されてしまいますし、売買も曖昧になってしまいますので、とても重要な項目です。
次に、【2】投資の信念、哲学と書いてありますが、これは「どういったルールでやっていくのか」です。それを達成する意欲が備わっているかを、ご自身に確認してください。
根性論に聞こえるかもしれませんが、やり切るという信念・覚悟がないと上手くいきません。
そして、【3】自己の現状認識、つまり実際にそれを達成するためのリソース(資源)があるか、優位性、問題点を一つ一つ明確にしていきましょう。
優位性とは、例えば「コンピューターのタイピングが早い」「テクニカルチャートの分析が上手い」「資金のマネジメントが万全である」などです。
フェーズⅡ:売買システムの検討
フェーズⅡでは、まず【4】マーケットの選択をします。
「株式」「先物」なのか、あるいは「為替」なのか、いろいろありますが、自分に合っているものはどれか検討をします。
マーケットを選択できたら、【5】どういった手法(投資アプローチ)で売買するかを決めます。
投資アプローチが決まれば、【6】基本的な売買システムも決まってきます。
フェーズⅢ:売買システムの実行と監視、検証と改良
フェーズⅢからは、【7】決めたシステムで実際にデイトレードをしてみます。いわゆるエントリーですね。
「何を買うのか」「どれくらい買うのか」です。そして、それが「機能しているのか」を監視します。
次に来るのは、「利食い」か「損切り」のどちらかですよね。
利食いが上手く完了したら、それを【9】一つの成功パターンにします。
しかし、損切りになった場合、【8】なぜ損切りになったのか検証する必要があります。
損切りは悪いわけではありません。逆に損切りを立て続けにしていかないとデイトレードは上手くいきません。
でも、悪い損切りもあります。例えば、判断が若干遅れたり、損失を先送りしたりすることが悪い損切りです。
ルール通りに損切りを行えば、それはベストな選択です。そういったことを検証していきましょう。
【10】どうしたら悪い損切りに陥らないか改良する必要があります。
そしてフェーズⅡに戻って、【5】基本的なアプローチの検討から【7】売買システムの実行に移していきます。
こういう風にしていくと、あなたのデイトレードの手法がブラッシュアップされて、精度が高まっていきます。
精度が高まるほど勝率が高くなりますし、収益率も高くなります。
デイトレード戦略のためのフローは、必ず作らなくてなりません。
まとめ
デイトレード戦略を立てることの重要性は、お分かり頂けたでしょうか。
戦略も無しにトレードを進めていくと、トレードがブレたり、流されたりしてしまいます。
そして、より良い戦略にしていくには、常に検証と改善をしていく必要があります。
少し面倒に感じられるかもしれませんが、あなたの勝率を上げてくれますので、強い意志を持って取り組んでください。
このPDCAを回していけば、数ヶ月後には、これまでと全然違うトレードができるようになります。
自分の失敗を検証するのはストレスが掛かることですが、一緒に頑張っていきましょう!
紫垣 英昭
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