紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
もし、あなたが株の取引きで上手くいかないなら、「以下の6つ」に該当する可能性があります。
- 銘柄選びがうまくいかない
- 自分が買ったら下がり、売ったら上がる
- いつも塩漬けになってしまう
- ちゃんと勉強しているのに勝てるようにならない
- コツコツドカンでやられる
- 頭では分かっていても中々実践できない
さて、あなたはいくつ当てはまりましたか?
この6つの項目は、株式投資のデイトレードや、スイングトレード、中長期投資で失敗している人が抱えている悩みの代表的なものです。
僕も数えきれないくらい、このような失敗を経験しています。
ただ「失敗」は、成功するための大きなヒントを僕たちに与えてくれます。
しかし「失敗」を放置すれば、それは進歩のない「失敗」になります。
失敗したとしても、原因を追究・改善することで、成功に近づけるのです。
そこで今回は、株初心者がやりがちな失敗、とくに自ら損失を広げてしまうような失敗を防ぐコツ(=対策)を6つの悩み別にお伝えしたいと思います。
失敗を反省するばかりではいけません。
失敗に繋がった原因を追究・改善し、具体的な対策を立て、実行するまでがワンセットです。
ぜひ、この記事を通して、失敗から学べる一步上の投資家・トレーダーを目指していきましょう。
- 株初心者がどんなことで悩んでいるのかがわかる
- 株初心者の悩みの種類ごとに、悩みを解決するためのコツがわかる
- 失敗を成功に変えるためのコツがわかる
初心者が株式投資で抱えがちな6つの悩みとは?
冒頭でもお話しした、株初心者が抱えがちな6つの悩みをもう一度確認してみましょう。
- 銘柄選びがうまくいかない
- 自分が買ったら下がり、売ったら上がる
- いつも塩漬けになってしまう
- ちゃんと勉強しているのに勝てるようにならない
- コツコツドカンでやられる
- 頭では分かっていても中々実践できない
これらの悩みが生まれる原因として、初心者が株式投資でやってしまいがちな失敗を列挙し、それぞれどの悩みに当てはまるのかを数字で表してみました。
- 雑誌やテレビ、ニュースなどで銘柄を選ぶ → ❶
- 値上がり率ランキングから銘柄を選ぶ → ❶
- 業績が良いからという理由で銘柄を選ぶ → ❶
- 話題の銘柄に高値で飛びつく → ❶❷❸
- 投資スタイルにブレがある → ❻
- 勘に頼りすぎる、もしくは知識に頼りすぎる → ❷❸❺
- 自分が買ったら下がり、売ったら上がる → ❷❸❺
- 値動きに敏感に反応しすぎる、損切貧乏になっている → ❹❻
- 自分の希望観測で売買している、なかなか損切りしない → ❸❺❻
- 分散投資していない、大金をかけてしまう → ❺
- 株式投資のルールがない → ❹❻
これらは株式投資での失敗例のほんの一部ですが、このように、大体上記の6つの悩みに当てはめることができます。
ということは、初心者が株式投資で失敗しないための対策も、このパターンごとに行えば良いということになります。
失敗から抜け出すためのコツを、6つの悩み別に伝授
それでは、前項で挙げた失敗例を踏まえて「失敗から抜け出すためのコツ」について学んでいきましょう。
「銘柄選びがうまくいかない」なら、投資スタイルに合わせて銘柄を選ぶ
あなたは、自身の投資スタイルを決めてから銘柄を選んでいますか?
ここで言う「投資スタイル」とは、株を買ってから売るまで(空売りしてから買戻すまで)の保有期間によって、一般的に以下のように分けられます。
- デイトレード:1日
- スイングトレード:数日~数週間
- 中長期投資:数ヶ月~
投資スタイルによって、投資手法も異なりますし、投資手法が異なれば銘柄の選び方も変わってきます。
例えば、ネットや雑誌などで「今が買い時の“割安株銘柄”」とか「これから値上がりする“成長株銘柄”」と紹介されている場合、基本的にはいつ値上がりするか分からず、ゆっくり上昇していくことが多いので、短期トレードをしても上手くいきません。
また、前日や当日の「値上がり率ランキング」などに出てくる銘柄も、基本的には短期間で急騰した後に下落することが多いので、中長期投資には向いていません。
このように、銘柄を選ぶ際には、自身の投資スタイル(投資手法)に合ったものを選ばないと上手くいきませんので、注意しましょう。
投資スタイル別の銘柄選びの方法は、以下の記事を参考にしてください。
株初心者がスイングトレードで失敗しない銘柄を選ぶ“3つのコツ”
「自分が買ったら下がり、売ったら上がる」なら、エントリーのタイミングを判断する
あなたは、「自分が買ったら下がり、売ったら上がる」という経験をしたことはありませんか?
おそらく、上昇している銘柄を見つけたら「このまま上昇するかも」と思って買ってしまい、その後、下落して含み損が膨らんでくると「これ以上耐えられない」と思って売ってしまっているのではないでしょうか?
株というのは、上下に波を打ちながら動いている場合が多いので、上昇している銘柄であっても一時的に下落することは良くあります。
また、株の値動きにはトレンド(方向性)や株価位置(天井圏、底値圏)によって上昇しやすかったり下落しやすかったりしますので、全体の値動きを把握することも重要です。
このように、株の値動きの流れを把握した上で、どのタイミングでエントリーすれば利益につながりやすいのかを判断することが重要です。
売買タイミングの掴み方については、色々ありますが、以下の記事を参考にしてみてください。
超カンタン!株初心者がチャートの“移動平均線”で売買サインを見つける方法
株投資初心者がトレンドラインを使って売買タイミングを知る方法
株初心者でも売買タイミングが見える!『ボリンジャーバンド』の基礎
株初心者がエントリー、利益確定の判断に使えるチャート『パラボリック』とは
株初心者でも売買タイミングが視覚的にわかるチャート『MACD』
スイングトレードで初心者が着実に収益化する実践的なエントリー手法
「いつも塩漬けになってしまう」なら、損切りを判断するポイントを決める
初心者の悩みで一番多いのが「塩漬け」と言われています。
塩漬けとは、含み損が大きくなり過ぎて損切り(決済)したくてもできない状態になってしまっていることですが、原因は2つあると思います。
- 損切りするタイミングを失ってしまった
- いつか戻ってくると期待してしまう
まず1つ目ですが、損失が小さければ「これくらいなら仕方ないか…」とあきらめもつくかもしれませんが、損失が大きくなってしまうとそれを受け入れることができないのは、心理学的にも証明されています。
そうならないようにするためには、あらかじめ「精神的にも資金的にも耐えられる損失額」を決めておき、その価格を下回ったら強制的に損切りするように「逆指値注文」を設定しておくと良いでしょう。
次に2つ目ですが、こちらは「投資」というものの考え方を変えることが重要です。
そもそも、塩漬けにしてしまった人は「含み損は損失ではない(決済するまで損失は確定していない)」という考え方をしている人が多いのではないでしょうか?
しかし、投資の基本的な考え方は「資金の有効活用」なので、「含み損の額」に着目するのではなく、本来は「評価額(現在の株価×株数)」に着目すべきなのです。
例えば、その資産(評価額)を塩漬けになっている銘柄に投資したままにするのと、今後上昇が期待できそうな銘柄に切り替えるのと、どちらが有効に活用できるのかを考えれば、簡単に判断(損切り)できますよね?
もちろん、塩漬け株を分析した結果、今後上昇すると予測したのであれば、そのまま保有し続けることも間違った判断ではありません。
損失を受け入れられず、ただ株価が戻ってくるのを祈っているだけで思考を停止してしまったら、その資金は凍結しているのと同じですので、そうならないように注意しましょう。
「ちゃんと勉強しているのに勝てるようにならない」売買手法ではなく、まず資金管理を徹底
「なぜ、ちゃんと勉強しているのに勝てるようにならないのか…」という悩みがある方。
初心者は、「売買手法」特に「どこで買えば良いのか?」という部分に着目している人が多く、「このタイミングで買えば絶対に勝てる」手法を一生懸命勉強しようとします。
しかし、初心者が市場から退場してしまう一番の原因は「1回の売買で大きく負けてしまう」ことです。
つまり、大きく負けないための勉強をしていないから勝てるようにならないのです。
大きく負けないためには、資金管理を徹底する必要があります。
たとえ大きく利益が出せていなくても、損失を押さえて資金が底をつかない限りは、何度でも挑戦することができます。
下表は、総資金に対して、左側が「損失の割合」、右側が「その損失を回復するのに必要な利益の割合」を表しています。
例えば、総資金100万円に対して-20%(20万円)の損失を出してしまったとします。
そうすると、総資金80万円に対して+25%(20万円)の利益を出さなければ100万円には戻らないということです。
つまり、損失が出れば元となる資金も少なくなり、損失が大きければ大きいほど回復するのが難しくなりますので、あらかじめ「許容できるリスク」を考慮した上で売買をしなければならないのです。
ちなみに、許容できるリスクは売買手法によっても変わってきます。
詳しくは「毎月20万円以上稼ぐ個人投資家が必ず行う「資金管理」方法とは」のページも参考にしてみてください。
「コツコツドカンでやられる」なら、売買ルールを確立する
あなたは、自身の投資手法の勝率は把握していますか?
いくらで利食いし、いくらで損切りするかは決めていますか?
初心者は「勝率が高ければ儲けられる」と思っている人が多いのですが、必ずしもそうとは限りません。
例えば、勝率80%、利食い1万円、損切り5万円のルールで10回売買したとすると、
利益:1万円×8回=8万円
損失:5万円×2回=10万円
となり、合計で2万円の損失となってしまいます。
これが、いわゆる「コツコツドカン」というヤツです。
小さい利益を“コツコツ”積み重ねても、大きな損失を“ドカン”と出してすべてを失ってしまう、初心者がもっともやりがちな失敗パターンです。
これを防ぐためには、勝率は低くてもトータルで損益がプラスになるような損小利大のルールを作らなければなりません。
例えば、勝率30%、利食い5万円、損切り1万円のルールで10回売買したとすると、
利益:5万円×3回=15万円
損失:1万円×7回=7万円
となり、合計で8万円の利益となります。
これが分かっていないと、「売買すればするほど損をしてしまう」ことになるかもしれないので注意しましょう。
やみくもなエントリーが一番大きな損失を増やす原因となります。
株価がどうなったらエントリーし、どうなったら利確・損切りするという明確な売買ルールを確立していきましょう。
自分の売買ルールができたら、「利益確定、損切りの位置」を、株価チャートを使ってシミュレーションしてみることをお勧めします。
株価チャートで勝率アップ「利益確定」と「損切り」の具体的事例
「頭では分かっていても中々実践できない」自分で立てたルールを忠実に守ってトレードする
ここまでで5つの対策についてご紹介してきましたが、初心者の人は「頭では分かっていても中々実践できない」のが現状です。
もしあなたが、今までに書籍やネットなどで色々勉強してきたのであれば、この5つの対策についても学んだことがあるかもしれません。
しかし、このページを読んでいるということは、まだ上手くいっていないのではないでしょうか?
実は、初心者が株式投資で失敗しないために最も重要なのは「ルールを守る」ことです。
少し考えれば当たり前のことなのですが、どんな対策でも「頭では分かっていても実践できていない」のであれば意味がありませんよね?
初心者がやりがちな
「少しの含み益で利食いしてしまう(損失を出したくない)」
「含み損が拡大しても損切りできない(損失を確定させたくない)」
というのは、心理学的にも証明されている人間の「本能」によるものなので、「ルールを守るくらい簡単だよ」と思っていても、実際にはほとんどの人ができないのです。
したがって、ルールを守るためには「メンタルコントロール」や「逆指値注文」などを活用しながら「強制的にルールを守る工夫」が必要になりますので、あなたも思い当たることがないか、自身の売買を振り返ってみましょう。
メンタルコントロールについては、「投資の世界で勝ち続けるために必要なメンタルと鍛え方」のページも参考にしてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、「株式投資で失敗しないためのコツ」という視点で記事を書きました。
大切なのは「自分のトレードのどこが悪いのか、何が足りないのかに気付き、改善し続けること」です。
「株式投資をする上で、今の自分に何が足りないのか」「何が原因で失敗しているのか」、それに気付くことができれば「株式投資で成功するためには、これからどうすれば良いのか」も分かってきます。
失敗しないためのコツごとに、それぞれおすすめの解説記事を紹介していますので、じっくり読んで、ご自身のトレードスタイルを確立していってください。
紫垣 英昭
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