紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
マザーズ銘柄は、東証の新興市場として多くの注目銘柄があります。
2022年4月の東証再編では、マザーズ銘柄は東証グロース市場に移行しましたが、旧・マザーズ市場の株価指数「マザーズ指数」は現在でも多くの投資家から参照されています。
マザーズ銘柄は、ハイリスク・ハイリターンの新興銘柄が多く、バイオ関連銘柄やゲーム株などが代表的なテーマ株となっており、IPO(新規上場)もさかんです。
この記事では、マザーズ指数の概要や株価動向について解説した上で、マザーズ銘柄を代表するテーマ株についてもご紹介していきます。
- マザーズ指数の概要や株価動向についてわかる
- マザーズ銘柄を代表するテーマ株についてわかる
- マザーズ銘柄のバイオ関連銘柄や新興ゲーム株を中心に考えることができるようになる
マザーズ銘柄の株価指数「マザーズ指数」
旧・マザーズ市場の株価指数としては「マザーズ指数」が使われており、マザーズ銘柄が東証グロース市場に移行して以降も多くの投資家から参照されています。
マザーズ指数について見ていきましょう。
マザーズ指数とは
マザーズ指数は、東京証券取引所の新興市場「マザーズ市場」に上場する全銘柄を対象に算出される時価総額加重平均型の指数です。
2022年4月の東証再編で、マザーズ市場は廃止となり、全ての銘柄が東証グロース市場に移行となりましたが、マザーズ指数は2022年4月以降も継続して算出されています。
東証再編以降も、新興市場の動向を探るためにマザーズ指数を参照する投資家は多く、新興市場の相場動向を探るバロメーターとして使われています。
今後、マザーズ指数は、一定のルールに基づき構成銘柄の入替が3段階に渡って行われ、 2023年11月6日に指数名称が「東証グロース市場250指数」へ変更される予定です。
※出典:日本取引所「東証マザーズ指数の段階的ウエイト低減銘柄の除外及び指数名称の変更について」
マザーズ指数の構成銘柄
マザーズ指数は、旧・マザーズ市場の全銘柄を対象に、時価総額加重平均型で算出される株価指数です。
日本取引所の資料によると、2023年3月31日時点のマザーズ指数の構成銘柄数は509銘柄となっています。
※出典:日本取引所「東証マザーズ指数」
マザーズ指数は時価総額加重平均型のため、旧・マザーズ市場の全銘柄の中でも時価総額が大きい銘柄の構成比率が高くなる特徴があります。
2023年3月31日時点の、マザーズ指数の構成銘柄上位10銘柄は次の通りです。
順位 |
銘柄名 |
構成比率 |
1 |
【4565】そーせいグループ |
5.58% |
2 |
【4194】ビジョナル |
4.01% |
3 |
【4478】フリー |
3.10% |
4 |
【7157】ライフネット生命保険 |
1.95% |
5 |
【9552】M&A総研ホールディングス |
1.88% |
6 |
【2160】ジーエヌアイグループ |
1.78% |
7 |
【7342】ウェルスナビ |
1.63% |
8 |
【4485】JTOWER |
1.51% |
9 |
【3479】ティーケーピー |
1.45% |
10 |
【9204】スカイマーク |
1.43% |
※出典:日本取引所「東証マザーズ指数」
マザーズ指数は、かつては【4385】メルカリや【4443】Sansan、【3923】ラクスといった銘柄が構成銘柄上位に入っていましたが、これらの銘柄は現在、東証プライム銘柄となっています。
マザーズ指数は、時価総額が大きい銘柄は東証プライム市場に昇格するケースが少なくないため、寄与度の高い銘柄がこのようになくなってしまうことがあります。
「マザーズ指数」と「東証グロース市場指数」の違いについて
東証マザーズ市場は、2022年4月の東証再編で、ほぼ全ての銘柄が東証グロース市場に再編されました。
2022年4月4日の東証再編時の銘柄移行は次のようになっていました。
市場区分 |
プライム市場 |
スタンダード市場 |
グロース市場 |
合計 |
東証一部 |
1,839社 |
338社 |
0社 |
2,177社 |
東証二部・JASDAQスタンダード |
0社 |
1,127社 |
0社 |
1,127社 |
マザーズ・JASDAQグロース |
0社 |
1社 |
465社 |
466社 |
マザーズの全銘柄がグロース市場に移行し、JASDAQグロースの銘柄もグロース市場に移行したことが分かります。
東証グロース市場の株価指数としては「東証グロース市場指数」が算出されています。
東証グロース市場指数は、東証グロース市場に上場する全銘柄を対象に、時価総額加重方式で算出される株価指数です。
2023年3月31日時点の、東証グロース市場指数の構成銘柄上位10銘柄は次の通りです。
順位 |
銘柄名 |
構成比率 |
1 |
【4194】ビジョナル |
3.87% |
2 |
【4478】フリー |
2.99% |
3 |
【7157】ライフネット生命保険 |
1.88% |
4 |
【9552】M&A総研ホールディングス |
1.82% |
5 |
【2160】ジーエヌアイグループ |
1.72% |
6 |
【7342】ウェルスナビ |
1.58% |
7 |
【4485】JTOWER |
1.46% |
8 |
【3479】ティーケーピー |
1.41% |
9 |
【9204】スカイマーク |
1.39% |
10 |
【2150】ケアネット |
1.17% |
東証グロース市場指数の構成銘柄上位10銘柄は、【4565】そーせいグループがない以外は、マザー指数と全く同じです。
続いて、株価チャートで比較してみましょう。
次の図は、東証再編が行われた2022年4月以降の、マザーズ指数の週足チャートです。
マザーズ指数の週足チャート(2022年4月~)
続いて、次の図は、2022年4月以降の東証グロース市場指数の週足チャートです。
東証グロース市場指数の週足チャート(2022年4月~)
マザーズ指数と東証グロース市場指数は、ほぼ同じ値動きをしていることが分かります。
マザーズ指数の市場動向を分析・解説!
マザーズ指数の市場動向を見ていきましょう。
マザーズ指数の長期動向
マザーズ指数の長期チャート(月足チャート)は次のようになっています。
マザーズ指数の月足チャート
マザーズ指数は、長期的に見ると、横ばいとなっています。
2020年の新型コロナ相場では、コロナショックで下落後に急騰となり、1年弱で2倍以上の上昇となりました。
米国利上げやウクライナ情勢などがあった2021年後半以降は急落となっていますが、以後は安値圏で推移しているため、近々大きな反発となってもおかしくなさそうです。
マザーズ指数の短期動向
マザーズ指数の、直近の短期チャートを見ていきましょう。
マザーズ指数の日足チャート
マザーズ指数は、2023年7月に75日線(上図緑色の移動平均線)を割り込み、下落トレンド入りとなりました。
ただ、8月の終盤に掛けて、25日線(上図青色の移動平均線)が下向きから横向きになりつつあり、ダブル底を結成して上昇中です。
相場は、3ヶ月から6ヶ月目辺りでのトレンド転換がよく起こります。
来月の10月で下落トレンドから3ヶ月目入りとなり、チャート形状も良くなってきています。
近いうちに75日線より上で推移するようになり、マザーズ市場に資金が流入してきそうな雰囲気です。
マザーズ銘柄の注目銘柄やテーマ株
マザーズ指数を見ると、2023年10月以降は上昇してもおかしくなさそうな雰囲気です。
マザーズ指数に加えて、マザーズ銘柄の注目銘柄やテーマ株を押さえておきましょう。
学会シーズンで注目の「バイオ関連銘柄」
バイオ関連銘柄ことバイオベンチャー株は、マザーズ銘柄の代表的なテーマ株です。
バイオ関連銘柄は、春と秋の学会シーズンには、学会での発表が注目されて急騰するケースが少なくありません。
2023年には、遺伝子解析に強いバイオ創薬ベンチャーの【2160】ジーエヌアイグループが大きな上昇となっています。
【2160】ジーエヌアイグループの日足チャート
マザーズ銘柄のバイオ関連銘柄は非常に多く、【4599】ステムリムや【4563】アンジェスなど、広範囲に渡ります。
東京ゲームショウでも注目の「ゲーム株」
マザーズ銘柄のゲーム株は、ソーシャルゲームやスマホゲームを手掛ける新興ゲーム株が注目されます。
2022年には、スマホゲーム開発を手掛ける【4393】バンク・オブ・イノベーションが10倍以上の上昇となるテンバガーを達成しました。
【4393】バンク・オブ・イノベーションの月足チャート
マザーズ銘柄の新興ゲーム株も多く、【3911】Aimingや【3904】カヤックなどがありますが、どの銘柄が急騰するかはニュース発表次第でしょう。
2022年12月には、eスポーツ専業企業の【9565】ウェルプレイド・ライゼストが上場し、2022年最大のIPOとなりましたが、IPOゴールとなっている状況です。
【9565】ウェルプレイド・ライゼストの月足チャート
9月には東京ゲームショウも、9月21日(木)~9月24日(日)まで開催されるため、ゲーム株まわりのテーマ株を押さえておくようにしましょう。
東京ゲームショウで注目されそうな銘柄としてはソニーやバンダイナムコが筆頭に挙げられますが、マザーズ銘柄ではVR関連としても注目される【3698】CRI・ミドルウェアが挙げられます。
ハイリスク・ハイリターンの「急騰銘柄」
マザーズ銘柄は、他にも様々なテーマ株などで、ハイリスク・ハイリターンの急騰銘柄が多いことが特徴です。
再生可能エネルギーや脱炭素はマーケットでの注目度が依然として高く、再エネ発電施設などを手掛ける不動産コンサル業の【3498】霞ヶ関キャピタル、再エネ発電所を運営する【9522】リニューアブル・ジャパンなどは2023年に大きく上がっています。
【3498】霞ヶ関キャピタルの月足チャート
マザーズ銘柄のIPOも注目度が高く、Vtuber事業を手掛ける【5253】カバー、アミューズメント施設「GIGO」を運営する【9166】GENDA、月面開発事業を手掛ける【9348】ispaceなども注目銘柄となっています。
マザーズ指数に連動するETF
マザーズ指数に連動するETF【2516】東証マザーズETFも東証に上場しています。
【2516】東証マザーズETFの月足チャート
マザーズ銘柄の個別銘柄への投資にリスクを感じる場合には、こちらの銘柄を手掛けるのも悪くなさそうです。
ETFですが、1日1億円以上は取引されているため、流動性リスクも問題はありません。
ただ、マザーズ指数は長期では横ばいとなっているため、短期~中期の投資に適する銘柄と言えそうです。
まとめ
この記事では、マザーズ指数の概要や株価動向について解説した上で、マザーズ銘柄を代表するテーマ株についてもご紹介してきました。
マザーズ指数は、東証の新興市場を代表する株価指数となっており、「東証グロース市場指数」とほぼ同じものとなっています。
ただ今後、マザーズ指数は、2023年11月6日に指数名称が「東証グロース市場250指数」へ変更される予定となっています。
マザーズ指数の動向を見てみると、2022年10月以降に上昇トレンドに転じてもおかしくなさそうな雰囲気です。
マザーズ銘柄としては、バイオ関連銘柄や新興ゲーム株を中心に、急騰している注目銘柄を押さえるようにしておきましょう。
紫垣 英昭
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