2021年自民党総裁選・衆議院選はどうなる?選挙関連銘柄10銘柄!

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

国政選挙(衆議院選挙・参議院選挙)は、日本の政治の行方を決める国家的な大イベントです。

政治は経済にも大きな影響力があるため、国政選挙の行方は、株式投資においても全体相場を左右する重要イベントであることは言うまでもありません。

国政選挙が実施されると業績に恩恵を受けるテーマ株は「選挙関連銘柄」と呼ばれており、国政選挙の前に買われる傾向があります。

また、与党自民党の総裁を決める自民党総裁選も重要イベントの一つです。

2020年8月の安倍総理辞任、2021年9月の菅総理退陣表明を受けた総裁選は株式市場にも大きな影響を与えました。

今回は、選挙関連銘柄の概要について解説した上で、国政選挙の前に買われやすい代表的な選挙関連銘柄10銘柄をチャート付きでご紹介していきます。

この記事を読んで得られること
  • 選挙関連銘柄の概要についてわかる
  • 国政選挙の前に買われやすい代表的な選挙関連銘柄10銘柄をチャート付きでわかる
  • 2022年以降、選挙関連銘柄に注目すべきタイミングがわかる

選挙関連銘柄とは?

国政選挙の前に買われやすい選挙関連銘柄について抑えておきましょう。

選挙関連銘柄の基本概要

選挙関連銘柄とは、国政選挙(衆議院選挙・参議院選挙)が行われることで業績への恩恵が見込まれる銘柄の総称です。

国政選挙を実施するには多額の運営費用が発生します。

日本で国政選挙を実施する場合に生じる費用は約600億円となっており、2019年7月21日に実施された第25回参議院選挙では約571億円の国費が投じられていることが、政府が作成・公表している「行政事業レビューシート」から分かります。

出典:総務省

国政選挙が実施されることによって、小さくないお金の動きが生まれ、一部の企業が潤うことは確かです。

マーケットで選挙関連銘柄として注目されるのは、選挙用ハガキメーカーや投票機器メーカー、世論調査を実施する企業などです。

これらの選挙関連銘柄の特徴としては、①選挙実施前に買われる傾向があること、②その多くが中小株であることの2点が挙げられます。

選挙関連銘柄は選挙前に物色され始め、選挙後には利益確定で売られるという流れが一般的です。

下記の株価チャートは、投票用機器で国内トップシェアを誇る代表的な選挙関連銘柄【7521】ムサシの月足チャートです。

【7521】ムサシの月足チャート

ムサシの株価は、衆議院選挙実施前の2014年11月、2017年9月には大きな上ヒゲを出していることが分かります(上図赤丸)。

また、2020年8月には、安倍総理の辞任を受けて、早期の解散総選挙が期待されたことからも買われました(上図青丸)。

選挙関連銘柄は、あまり名前を聞いたことがないような中小型株が中心に買われる傾向があります。

国政選挙では、大手マスコミや広告代理店、日本郵政なども潤いますが、これらの大企業の業績にとっては選挙の微々たるものであるため、選挙が株価に影響することはほとんどありません。

過去10年間にあった国政選挙

日本の政治は衆議院と参議院の二院制となっており、衆議院は4年に1度、参議院は3年に1度(議員の半数が対象)、選挙が実施されます。

衆議院は解散があり、参議院は解散がありません。

2010年以降に実施されてきた国政選挙についてまとめておきましょう。

投票日

国政選挙

2010年7月11日

第22回参議院選挙

2012年12月16日

第46回衆議院選挙

2013年7月21日

第23回参議院選挙

2014年12月14日

第47回衆議院選挙

2016年7月10日

第24回参議院選挙

2017年10月22日

第48回衆議院選挙

2019年7月21日

第25回参議院選挙

この10年間の国政選挙の中で、政治・経済にとって大きな転換点となったのが、2012年12月16日に行われた第46回衆議院選挙です。

この選挙では自民党が圧勝して民主党政権が終わり、第二次安倍政権が誕生。

アベノミクスが始まることになり、株式市場にとっても転換点となりました。

第二次安倍政権誕生以降は6回の国政選挙が行われましたが、いずれも自民党の大勝となっています。

日経平均株価で、国政選挙が行われた月をプロットしてみると次のようになります(衆議院選挙は赤丸、参議院選挙は青丸)。

日経平均株価の月足チャート

2021年秋は自民党総裁選と衆議院選に注目!

2021年秋には、衆議院の任期満了に伴う、第49回衆議院選挙が実施される予定となっていますが、選挙前に菅総理が退陣表明を発表したことから自民党総裁選にも注目が集まっています。

2021年9月時点での、選挙動向についてまとめておきましょう。

2021年秋には自民党総裁選と衆議院選が実施される

2021年秋の政治や選挙を巡る政治日程は次のようになっています。

2021年9月30日

自民党総裁の任期満了

2021年10月21日

衆議院議員の任期満了

2021年11月

第49回衆議院選挙

9月には自民党総裁の任期満了に伴う自民党総裁選が行われ、11月には衆議院の任期満了に伴う衆議院選挙が行われます。

自民党総裁選は、自民党が衆議院選を戦う顔を決める選挙となることから、衆議院選と並んで注目のイベントです。

特に、次期首相となる自民党総裁の目玉政策は、株式市場にも大きな影響を与えます。

2020年9月に、菅氏が総裁に選ばれた際には、携帯電話料金値下げやデジタル庁を目玉政策にしていたことから、携帯キャリア株が一時売られることになり、システムインテグレーター株などのデジタル庁関連銘柄が大きく買われることとなりました。

そして、衆議院選挙の動向は、日本の政治・経済の動向を左右することになるため、相場全体が大きな影響を受けます。

2021年9月から11月に掛けては重要な選挙が相次ぐことから、マーケットは政局相場になっていく可能性が高いものと見られます。

菅総理の退陣表明で自民党総裁選がマーケットのテーマに!

2021年9月3日、菅総理が自民党総裁選への不出馬を表明、事実上の退陣表明となりました。

ただ、支持率が低迷していた菅政権の終わりを受けて、株価は高騰しています。

日経平均株価の日足チャート

日経平均株価は、菅総理の退陣表明前日(2021年9月2日)に付けていた28,543円から、9月10日には30,381円まで上昇。

約5ヶ月ぶりの3万円台回復となりました。

株価の反応からすると、マーケットは新たな自民党総裁の誕生により、政治の停滞打破に繋がることを期待しているようです。

注目の自民党総裁ですが、河野氏、岸田氏、高市氏の3氏が有力と見られています。

マーケットでは、有力候補の河野氏による脱炭素政策への期待から、【9519】レノバや【9517】イーレックスといった再生エネルギー株に資金が流入する動きも出てきています。

自民党総裁選は、9月17日に告示、9月29日に投開票となっており、誰が次期総裁になるのかはまだ分からない状況です。

2022年夏には参議院選も控えている

今回注目していく選挙関連銘柄は、2021年の自民党総裁選・衆議院選を前に、既に物色されている傾向が見られます。

また、2022年7月28日には参議院が任期満了となるため、2022年夏に参議院選が行われることも確定しています。

2021年9月時点では自民党総裁選と衆議院選に注目ですが、選挙関連銘柄は2022年7月前後にも注目される可能性が高いことを頭に入れておくようにしましょう。

選挙関連銘柄10選!

選挙前に買われやすい代表的な選挙関連銘柄と、自民党総裁選・衆議院選を前にした2021年の値動きについて押さえておきましょう。

【7521】ムサシ

投票用紙読取分類機や計数機、交付機などの投票用機器で国内トップシェアの【7521】ムサシは、選挙関連銘柄として抑えておきたい銘柄です。

同社が選挙関連銘柄として、選挙前にいかに反応しやすいかは、株価を見てみると一目瞭然です。

【7521】ムサシの週足チャート

ムサシの株価は、菅内閣が誕生し、衆議院解散の可能性が示唆された2020年8月末に急騰してからは下落し、長らく横ばいとなっていました。

衆議院選を約3ヶ月後とした2021年8月以降から再び上昇し始めています

選挙関連銘柄の代名詞とも言える銘柄であるため、今後の国政選挙でも必ず抑えておきましょう。

【3955】イムラ封筒

封筒最大手の【3955】イムラ封筒は、選挙用通知封筒やダイレクトメールを手掛けている選挙関連銘柄です。

同社は、【7521】ムサシと並んで、選挙前に物色されやすい選挙関連銘柄として知られています。

【3955】イムラ封筒の週足チャート

イムラ封筒の株価は中期的に上昇していますが、特に2021年8月以降に大きく反発していることが分かります。

【6457】グローリー

貨幣処理機大手の【6457】グローリーは、投票用紙自動交付機を手掛けていることから選挙関連銘柄に位置付けられます。

【6457】グローリーの週足チャート

グローリーは、【7521】ムサシや【3955】イムラ封筒と並んで選挙関連銘柄として名前が上がりやすい銘柄となっていますが、2021年には選挙の効果はそれほど見られません。

【3919】パイプドホールディングス

情報資産プラットフォーム「スパイラル」などを手掛ける【3919】パイプドホールディングスは、ネット選挙に強い選挙関連銘柄として注目されている銘柄です。

同社の子会社であるVOTE FORは政治・選挙プラットフォーム「政治山」を運営していることで知られています。

【3919】パイプドホールディングスの週足チャート

パイプドホールディングスの株価は、2021年6月末から大きく上昇しています。

これは好決算を受けた上昇ですが、その後も継続的に買われていることが分かります。

【3675】クロス・マーケティンググループ

インターネット市場調査会社の【3675】クロス・マーケティンググループは、インターネット世論調査を手掛けていることから選挙関連銘柄に位置付けられます。

【3675】クロス・マーケティンググループの週足チャート

クロス・マーケティンググループの株価は、2021年8月以降に大きな上昇となっていることが分かります。

2021年8月13日には好決算を受けてストップ高となりましたが、その後も継続的に買われていることから、衆議院選を前に選挙関連銘柄としても物色されていると見てよいでしょう。

【4708】りらいあコミュニケーションズ

コールセンター受託大手の【4708】りらいあコミュニケーションズは、コールセンター事業の一環で選挙世論調査を手掛けていることから、世論調査に強い選挙関連銘柄として注目されます。

【4708】りらいあコミュニケーションズの週足チャート

りらいあコミュニケーションズの株価は、2021年に入ってからは横ばい~下落となっています。

かつては、2014年12月の衆議院選前に大きく物色されたことがありましたが、2021年の衆議院選前には、まだ大きな動きは見られません。

【3978】マクロミル

国内最大のマーケティングリサーチ会社【3978】マクロミルは、インターネット世論調査に強いことから、選挙関連銘柄としても名前が挙がる銘柄です。

【3978】マクロミルの週足チャート

マクロミルの2021年の株価は、3月以降は下落続きとなっています。

直近では反発傾向が見られるものの、選挙関連銘柄として特別強いとは言えません。

【3695】GMOリサーチ

GMO系でネット調査の業務支援を手掛ける【3695】GMOリサーチは、世論調査など選挙に関連する各種調査を手掛けていることから、選挙関連銘柄に数えられる銘柄です。

【3695】GMOリサーチの週足チャート

GMOリサーチの株価は、2021年には上昇していますが、衆議院選前の2021年7月以降は停滞している状況です。

【2168】パソナグループ

人材派遣大手の【2168】パソナグループは、選挙出口調査を手掛けていることから選挙関連銘柄としても名前が挙がるようになっている銘柄です。

【2168】パソナグループの週足チャート

パソナグループの株価は、2021年8月以降に大きく上がっていることが分かります。

同社は代表的な人材派遣株ですが、選挙関連銘柄としても注目銘柄になってきていると見てよいでしょう。

【9715】トランス・コスモス

アウトソーシングビジネス大手の【9715】トランス・コスモスは、コールセンターに強く、選挙世論調査を手掛ける選挙関連銘柄としても注目される銘柄です。

【9715】トランス・コスモスの週足チャート

トランス・コスモスの株価は、他の選挙関連銘柄と同様に、2021年8月から上昇していることが分かります。

まとめ

今回は、選挙関連銘柄の概要について解説した上で、国政選挙の前に買われやすい代表的な選挙関連銘柄10銘柄をチャート付きでご紹介してきました。

国政選挙は、政治・経済を左右することになるため、株式投資においても相場全体を左右する重要イベントです。

衆議院選と参議院選はもちろん、自民党総裁選は、有力候補者が掲げる目玉政策が株式市場において注目されるテーマになることも少なくありません。

選挙前に物色されやすい【7521】ムサシや【3955】イムラ封筒などの選挙関連銘柄は、衆議院選への期待を背景に2021年8月から上昇しており、菅総理の退陣表明による株高の前から買われていたことが分かります。

2021年9月29日に行われる自民党総裁選、11月に実施されると見られる衆議院選までは政局相場が続きそうですが、2022年8月以降に行われる参議院選の前にも選挙関連銘柄には注目しておきましょう。