【日経平均株価】今後の値動きを予想し、投資シナリオを立てる3つの方法

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

日本の重要指数である日経平均株価の値動きを予想しておくことは、投資シナリオを立てて具体的な投資行動に繋げる上でも非常に重要です。

2020年は、新型コロナウイルスのパンデミックにより、株価が大暴落しました。

これは、どのアナリストも、テクニカル分析からもほとんど予想できなかった展開です。

ただ、日経平均株価の値動きを予想しておき、万一の撤退シナリオを立てておいた投資家は、損失を最小限に留めています。

値動きの予想が外れた場合も含めて、投資シナリオを立てておくことが、いかに重要であるかということです。

今回は日経平均株価の値動きを予想するための3つの方法を解説します。

この記事を読んで得られること
  • 単純移動平均線を使ってトレンドが発生しているか、継続するかがわかる
  • 株価の周期性で、トレンドの転換時期がわかる
  • トレンドの転換点を知ることで、ポジションの利確、損切ポイントがわかる

日経平均株価の値動きを予想することはできるの?

日経平均株価についての詳細は以下の記事で詳しく解説しており、以下の記事で「日経平均株価の10年サイクル」についても解説しています。

結論から言うと、日経平均株価の値動きを完璧に予想することはできません。

ただ、投資シナリオを立てるためには、日経平均株価の値動きをあらかた予想しておくことが有用です。

日経平均株価の値動きを”完璧”に予想することは不可能

絶対的な事実として、日経平均株価の値動きを完璧に予想することは不可能です。

どれだけ優秀なアナリストであろうと、またどれだけチャート分析に精通していたとしても、未来の日経平均株価の値動きを完璧に予想できる人はいません。

この事実は、2020年4月現在、多くの投資家が実感しているのではないでしょうか?

2020年は待ちに待った東京オリンピックイヤーということで、マーケットも株高に期待する向きが強くなっていました。

日経平均株価は2020年1月初めには23,319円を付けており、オリンピック期待から年内に3万円へ到達するという強気の予想すらもあり、弱気予想でも2万円が底値と見る向きが圧倒的でした。

しかし、新型コロナウイルスのパンデミックによる世界株安によって、日経平均株価は2月中旬から大暴落。2万円すらも維持できず、一時17,000円台も割り込む展開となってしまいました。

2020年1月初めの段階で「新型コロナウイルスがパンデミックとなり、オリンピックは延期になってしまい、日経平均株価は1万7,000円台も割り込むことになる」と予想することは不可能であったと言えます。

日経平均株価の値動きを”あらかた”予想しておくことで、投資シナリオが立てられるようになる

日経平均株価の値動きを完璧に予想することは不可能だからといって、日経平均株価の値動きを予想することに意味がないかというと、それは断じて違います。

日経平均株価の値動きを予想しておく最大のメリットは、その予想をもとに投資シナリオを立てられるようになることが挙げられます。

そもそも、株式投資をするにおいて何の予想もなしに投資をしたのでは、それはギャンブル以外の何物でもありません。

投資をする上では、何らかの根拠に基づいた予想を立てておき、そのシナリオに沿って実際の投資行動に繋げる必要があります。

例えば、「今年はアメリカ経済が好調であるから、日経平均株価もそれにつられて2万5,000円まで上がるだろう」といった予想を立てておけば、その予想に基づいた買いシナリオを立てることができ、具体的な投資行動に繋げることができます。

予想に基づいた投資シナリオを立てる上で重要なことは、予想が外れた場合の万一のケースも想定して同様にシナリオを立てておくこと

完璧ではなくとも、日経平均株価の動向をある程度予想しておけば、さまざまな投資シナリオを立てて、どんな値動きにも備えられるようになります。

日経平均株価の値動きを予想する方法 その1:CME日経平均株価先物

明日の日経平均株価の寄り付き(初値)を予想する上では、CME日経平均株価先物を活用することがおすすめです。

CME日経平均株価先物は、アメリカのシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引されている、日経平均株価に連動する先物商品です。

日経平均株価は東証が開いている9時から15時までの間しか動きませんが、CME日経平均株価先物は1日23時間ほぼ常に取引されています。

このため、CME日経平均株価先物の動向は、明日の日経平均株価の寄り付きの動向を予測することに役立ちます。

CME日経平均株価先物の動向を調べるには、CME日経平均株価先物の価格をリアルタイムで速報している「今日の世界株価指数」が役立ちます。

同サイトにアクセスして、「CME日経先物」をクリックすれば、リアルタイムのCME日経平均株価先物の価格と、日経平均株価との価格差を見ることが可能です。

引用)今日の世界株価指数

日経平均株価の値動きを予想する方法 その2:アナリストや投資サイトの日経平均株価予想を参考にする

証券会社や投資雑誌、投資サイトなどでは、著名なアナリストが日経平均株価の値動きを予想しています。

「明日の日経平均株価予想」「今週の日経平均株価予想」「今年の日経平均株価予想」など、その時間軸もさまざまであり、明日の日経平均株価が気になるデイトレーダーから、今年の日経平均株価が気になる長期投資家まで幅広い投資家に対応しています。

アナリストは投資予想のプロであり、日経平均株価の値動きを予想する上では個人投資家がアクセスできない数多くのデータも使っているため、一定の信頼性はあると言えるでしょう。

ただ、株価の値動きには不確定要素が多過ぎるため、どれだけ多くのデータを使ったとしても、未来の株価を予測するのは非常に困難であるという事実は変わりません。

また、証券会社のアナリストは、どうしても顧客向けに甘い予想をしてしまいがちです。

証券会社は個人投資家の取引手数料で売上を上げているため、所属する証券会社に忖度した予想になっている傾向がないとは言い切れません。

そして何より、個人投資家がアナリストの予想に従って投資して失敗したとしても、アナリストは一切責任を取ってはくれません。

アナリストの日経平均株価予想には一定の信頼性はあるものの、投資は自己責任です。

100%完全に信頼して投資行動に繋げることはやめておきましょう

日経平均株価の値動きを予想する方法 その3:テクニカル分析する

個人投資家ができる日経平均株価の予想方法としては、チャートを使ったテクニカル分析があります。

日経平均株価の値動きをテクニカル分析して予想するための道具には、ローソク足移動平均線エリオット波動ボリンジャーバンドMACDストキャスティクスRSI一目均衡表などさまざまな道具があります。

投資家にとって最も使い慣れているテクニカルツールを使って日経平均株価の動向を予想することができますが、どのようなテクニカル分析をするにしても、さまざまな時間軸で見ることが重要です。

次のチャートは、2020年4月8日時点の日経平均株価の日足チャートです。

このチャートを見ると、日経平均株価は大暴落している印象が強くなるかもしれません。

しかし、時間軸を変えてみると、また違った側面が見えてきます。次のチャートは、2020年4月8日時点の日経平均株価の月足チャートになります。

長期の月足チャートで見てみると、短期の日足チャートで見たときよりも、冷静に日経平均株価の動向を見られるのではないでしょうか?

日経平均株価の予想をするときは、長期の時間軸を使った方が、大きな視野を持って俯瞰することができます。

ただ、日経平均株価の値動きをテクニカル分析で予想するにしても、完璧な予想をすることは不可能であることに違いないと留意しておくことが重要です。

日経平均株価の値動きの予想が外れた場合にはどうすればいい?

日経平均株価の値動きを予想して投資シナリオを立てておくことは重要ですが、予想が外れてしまう場合も当然あります。

投資シナリオを立てて、その通りに投資行動を起こすことも大事ですが、シナリオが外れて撤退する場合について想定しておくことも非常に重要です。

仮にシナリオが外れてしまった場合には、損切りをするしかありません。

投資シナリオが外れたショックの中で含み損を確定する損切りをすることは精神的には辛いかもしれませんが、損失をそれ以上拡大しないためには絶対必要なことです。

例えば、2020年の初めに「アメリカ経済も好調だし、今年はオリンピックもある。テクニカル分析でも問題ないから、日経平均株価は2万7,000円まで上がるだろう。2万円を割り込むことはないだろう」と予想していたとします。

この場合、シナリオが外れたと言えるのは「2万円を割り込むこと」です。つまり、「2万円を割ったら損切りする」ということが撤退シナリオとなります。

残念ながら、新型コロナウイルスの影響で日経平均株価は暴落してしまったため、この撤退シナリオに従って損切りすることになってしまいました。

しかし、2万円を割った所で早めの損切りをしていれば、比較的早めに暴落から逃げられたということを意味します。

そして、撤退シナリオに従って早めに退出していれば、今度は逆に「反発に備えた新しいシナリオ」を立てて、利益を得ることが可能になっていたということでもあります。

日経平均株価の予想が外れて撤退を余儀なくされたとしても、それは決して投資の失敗ではありません。

撤退シナリオに従って損失の拡大を食い止めてから、再度また新しい予想を立てて、投資シナリオを作り直せばいいだけのことなのです。

まとめ

日経平均株価の値動きを完璧に予想することはできませんが、日経平均株価の動向をある程度予想しておかなければ、投資シナリオを立てて具体的な投資行動に繋げることができません。

日経平均株価の値動きを予想する方法としては、明日の日経平均株価の値動きをCME日経先物から予想する、アナリストや投資サイトを参考にする、自分の手で日経平均株価の値動きをテクニカル分析するなどがあります。

どの方法で日経平均株価の値動きを予想するにしても完璧に予想することはできず、誰もが予想できない展開になることもあります。このため、予想が外れた場合の撤退シナリオを用意しておくことも重要です。

日経平均株価の値動きを予想する方法についてしっかり押さえておき、自身の投資シナリオを立てるために役立てていきましょう。

紫垣 英昭