株価チャートの“トレンド判定法”と、エントリーの方法の具体的事例

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

前回の解説で「ルールは個々の投資家が決めて良い」とお話致しましたが、ただ決めると言っても「どのようにルールを作れば良いのか分からない」という方もいると思います。

そこで今回は、「株価チャートの“トレンド判定法”と、エントリーの方法の具体的事例」についてフォーカスしてみました。

ぜひ、参考にしてみてください。

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※この動画は過去に撮影した動画を再編集したものです。

この記事を読んで得られること
  • エントリーから利益確定までの売買ルール作りで大事なことがわかる
  • レンジの場合での売買ルールの決め方がわかる
  • トレンドが出ている場合の売買ルールの決め方がわかる

エントリーから利益確定までの売買ルール作りで大切な事とは

0:05ころ

ルールを作るには、まず利益確定をする場所を決める必要があります。

それでは、エントリーしたらどこで利益確定をすれば良いのでしょうか。

一番大切なのは、自分が戦う局面を明確に持つことです。

レンジの場合での売買ルールの決め方

例えば、レンジの動きを例に考えてみましょう。

0:13ころ

上図の丸印のあたりで買いエントリーをしたとします。

このレンジの動きでは、勝負ができる期間が限られています。勝負するとしたら、せいぜい2日間といったところでしょうか。

2日目にはバンドの上限まで到達してしまっています。当然、ここでは一旦利益確定をしなければなりません。

逆に、レンジの動きだと気付き、まだバンドの下限までいくだろうと想定のもと、下図の丸印のあたりでエントリーしたとしましょう。

結局、この日はどのような結果になったかというと、ここで一旦下がりました。

もう1日下がれば良かったのですが、翌日から反転に向かっています。ということは、自分の想定通りに下限まで下がらなかった訳です。

緑の線のように想定通り下がっていけば下限に到達するあたりで利食いができるのですが、上昇してしまい反転を食ってしまった状態です。

短期売買の場合は、せいぜい2~3%で損切りをしなければいけません。

おそらく、下図の赤い横線のあたりで損切りをすることになります。

短期売買では、当然、利食いになるケースと損切りになるケースがあります。

仮に、下図中央の丸印のあたりで買いポジションを取ったとしたら、勝負できるのは、株価が下がる前までの期間となります。

これが、セットアップの環境を確認して、トリガーが入り、フォロースルーが入った状態です。

想定通りの結果ではないと気が付くのが遅く、上昇を始めているのにまだ下がるかもしれないと粘ってしまうことの無いよう注意する必要があります。

短期売買では、想定と違う動きが出たら損切りを入れる事が大切です。

トレンドの場合での売買ルールの決め方

それでは、トレンドの場合はどうでしょう。

2:38ころ

上図の丸印のあたり。出来高もできていますし、完全にレンジを抜けています。明らかにレンジブレイクアウトが起こった状態と判断できるでしょう。

おそらく、この段階でトレンドモードに向かうであろうと想定すると思います。

ただ、今回はトレンドモードに向かう途中で、一旦レンジの動きに入ってしまいます。

この場合、TDトラップの手法で仕掛けるとしたら、次の上昇で仕掛けが入るでしょう。

ただし、ここで仕掛けが入ってもすぐに株価が下がってしまうので、下図の赤い横線あたりで損切りを入れる必要があります。

実際に、トレンドに入る動きをしていても急激に下に振れることはよくあります。

レンジの動きに入ってしまった、もしくは下がり始める傾向が見られたら、無理に粘らず、損切りをするようにしましょう。

そこまで下がらず「損切りをする必要がなかったらどうするのか」と心配をする方もいると思いますが、本当にトレンドモードに入ったとするなら、はじめに買いを入れた高値を絶対に抜きます。

損切りをした後に上昇を始めた場合は、次のトレンドでもう一度入り直せば問題ありません

仮に、下図の丸印のあたりでエントリーすれば、ストップの位置は一本下のラインのあたりになるでしょう。

トレンドに入っていけば、今度はトレーリングストップでどんどんストップ位置を上げていく事ができます。

そうすると、トレーリングストップでストップ位置が上がっていき、最終的にストップ位置にヒットしたところで利食いが入るということです。

このようなケースでは、自分の優位性が消滅するまでポジションを持っておかなければいけません

自分の優位性が消滅するのはどこか?

それでは、自分の優位性が消滅するのは一体どこになるのでしょうか。

4:51ころ

例えば、下図のようにトレンドラインを引いたとします。

利食いができるとすると、トレンドラインに接触した部分や、あるいは移動平均線にタッチしたところ。もしくは、エントリーして早々、むき出しの高値が起きた部分でしょう。

とにかく、自分がどこで利食いをするのが1番良いのか、戦いやすいのか、様々なパターンを検討しながら決めていくと良いと思います。

こうした解説をしていますと、どこで利食いをすれば良いのかという質問をよくいただきます。

正直に一言で言ってしまうと、それは分かりません。

1分後の株価すらどちらに行くのか分からない世界です。どこで利食いをすれば良いか、みんな分からないところで勝負をしています。

大切なのは、自分が戦う局面を明確にするという事。つまり、自分が戦いやすいところを自分で見付けていくという事です。

短期売買は、大儲けをする手法ではなく、細かい利益を少しずつ確実に積み上げていく手法です。

値幅を大きく取ろうとは決して思わないでください。

それは、長期投資のやり方であり、短期売買は細かい値動きを着実に取っていく事が基本となります。

今回、解説で例に出したように、2日後に利食いをしても良いですし、もしくは、買った翌日の寄り付きでプラスサイドにいたらそこで利益確定をしてしまっても良いわけです。

確実に利益確定をする事、そこをしっかりと念頭に置き、自分好みの戦い方を見付けていきましょう。

まとめ

今回は、短期売買の基本構造のフォロースルーについて詳しくお話致しました。

最後に、前回の解説も含めて、短期売買の基本構造で重要なポイントを確認しておきたいと思います。

7:31ころ

まず、大事なのがセットアップを明確にすること。トレンドで戦うのか、レンジで戦うのか、事前に決めておきましょう。

セットアップが完了するまで、決して次に進まない事が大切です。

ここを明確にせず、いきなりエントリーをすると、そのポジションというのはなかなか上手くいきません。自分に有利かどうか確認せずエントリーするのは、博打的にリスクが高いと言えるでしょう。

そして、TDトラップの手法を使ってエントリーをします。ストップ注文の設定は確実に入れましょう。

プラスサイドにいるのであれば、買った翌日の寄り付きで一旦決済してしまうか、あるいは2〜3日後に決済をしてしまうか、または自分の優位性が消滅した時に利食いをするか。自分が決めたルールで利益確定をしましょう

ルールは、自身の感覚と合う方法で決めていただければ良いと思います。

紫垣 英昭