紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
今回は、代表的な3つの投資スタイルから、株初心者やお勤めの方に人気のある”スイングトレード”を選ぶべき理由についてお伝えしたいと思います。
以下の取引明細書をご覧ください。
この取引は、東証一部上場の「サニックス(4651)」の”スイングトレード”の結果です。
株を買って、2日後に売却し、15万1,392円の利益を得ました。
株初心者やお勤めの方が株式投資をするとき、朝から夕方まで取引時間中にパソコンを監視することはかなり難しく、デイトレードやスキャルピングといった超短期のトレードは不向きです。
やはり、エントリーから決済まで数日かけて行う”スイングトレード”は、これらの方に一番マッチしている投資スタイルだと思います。
もしあなたが「安定的に利益を上げたい」と思っているのであれば、まずはあなたに合ったトレードスタイルを身に付けることがとても大切です。
そこで今回は、個人投資家に人気のある“3つの投資スタイル”から、なぜ株初心者が“スイングトレード”を選ぶべきなのか?を分かりやすくお伝えしたいと思います。
これから“スイングトレード”を身に付けたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
- “スイングトレード”の具体的な意味が理解できる
- 株初心者がスイングトレードで利益を上げる事例を学べる
- 株価チャートで“スイングトレード”の具体的な売買を学べる
株初心者にオススメしたい“スイングトレード”とは
ではまず”スイングトレード”とは、どういった売買手法なのかをお伝えしていきましょう。
一般的にスイングトレードとは、数日から数ヶ月程度の短期的な株価のトレンドを狙う売買手法です。
期間に明確な基準があるわけではありませんが通常「数日から3ヶ月程度」の期間とお考えいただければ良いでしょう。
先ほどの「サニックス」の例では、2日間の取引期間でしたが、一般的には5日くらいから2週間程度で取引を完了させることが多いように思います。
そこで3つの代表的なトレードスタイルと比較しながら、スイングトレードの優位性についてお伝えしたいと思います。
人気のある3つのトレードスタイル
個人投資家に人気のある“3つのトレードスタイル”ですが、1つはFX、外国為替で良く使われる「スキャルピング」、1日で売買を完結する「デイトレード」、そして、数日~数週間で取引を終わらせる「スイングトレード」です。
以下は実際に僕が行っている“3つのトレードスタイル”における決済までの期間です。
- 数分:スキャルピング
- 数分~数時間:デイトレード
- 数日~数週間:スイングトレード
スキャルピングでは、数秒で利益確定、デイトレードでも数分で利益確定することがしばしばです。
“3つのトレードスタイル”それぞれの特徴
次に、それぞれのトレードスタイルの特徴を見ていきましょう。
結論から言うと、
- 保有期間が短いほど「利益率が小さい」「売買回数が多い」「経験が少ないと難しい」
- 保有期間が長いほど「利益率が大きい」「売買回数が少ない」「初心者でも可能」
ということになります。
トレードスタイルごとの詳細は以下のとおりです。
(※印部分は、下の方に補足説明があります)
- 数分でエントリーから決済まで行うため、瞬時の決断力が求めらる。
- 一般的なテクニカル分析は、ほとんど機能しない。
- 1回の売買での利益率が小さいため、1日に何度も売買をして利益を上げる。
- スキャルピングよりも保有期間は長いが、瞬時の決断力が求められるのは変わらない。
- 1日で売買を完結させるため、立会時間外の相場環境の変化を気にしなくても良い。(※1)
- 早い時間帯ではテクニカル分析はあまり機能しないが、時間が経つにつれ機能するようになる。(※2)
- 日をまたいでトレードするため、事前準備がしっかりできる。(※3)
- 立会時間外で相場環境が大きく変化するリスクがある。(※1)
- 逆指値注文など、自動で注文が執行されるようにしておけば、立会時間中に値動きを確認したり注文を出したりしなくても良い(兼業でも売買可能)。
- テクニカル分析が機能するため、自分に合ったテクニカル指標を使うことができる。
※1 時間外の大きなニュースや、海外の株式市場などが大きく変化すると、翌日の寄付きから株価が大きく動き、損失が大きくなるリスクがある。
※2 テクニカル分析は、過去の値動きをもとに分析するため、前日からの値動きに連続性がないと機能しなくなる(前日終値と当日始値の差が大きかったり、前日の値動きの流れと当日の値動きの流れが大きく変わったり、など)。
※3 立会時間終了後に、その日の値動きや相場環境などからテクニカル分析を行い、翌日に売買する銘柄を選んだり、売買の値段を決めることができる。
トレードスタイルごとの利益率
前項で、保有期間が短いほど「利益率が小さく」保有期間が長いほど「利益率が大きい」と説明しました。
それでは実際の「利益率」はどうなるでしょうか?
僕は、長年スイングトレードをメインに売買しています。
その経験からの個人的意見ではありますが、トレードスタイルごとの1回の売買での利益率の目安は以下のようになります。
※あくまで個人の結果であり、「目安」です。参考になれば幸いです。
- スキャルピング:1%以下
- デイトレード:1~2%
- スイングトレード:2~10%
投資の期間と利益の目安の関係性は、こんな感じで理解していただければと思います。
初心者に向いているトレードスタイルは?
それぞれのトレードスタイルの特徴が分かったところで、初心者に向いているのはどのスタイルなのかを見ていきましょう。
こちらも結論から言ってしまうと“スイングトレード”ということになるでしょう。
理由は、スキャルピングやデイトレードだと、一日中パソコンに張り付かなければなりませんが、それに比べスイングトレードの場合、エントリーから決済までが数日~数週間であるため、取引時間中にパソコンに張り付く必要がないからです。
「スキャルピング」や「デイトレード」といった超短期トレードは、瞬時の判断力が必要で、なかなか初心者やお勤めの方にとっては負担の大きいトレードスタイルなのに対し「スイングトレード」は、数日~数週間の売買のため瞬時の判断はそれほど必要としません。
よってお勤めの方でも、株初心者の方でも十分できるトレードスタイルなのです。
他にも理由はあります。
- 経験を積まないと瞬時の決断力は身に付かない
- テクニカル分析が機能しないと売買タイミングがつかめない
- 常に株の値動きを監視して売買するので精神的負担が大きい(メンタルコントロールが必要) など
以上のように、株初心者の方、お勤めの方は“スイングトレード”から始めてみてください。
スイングトレードを実際のチャートで見てみよう
説明ばかりだと、なかなかイメージがわかないと思いますので、初心者でもスイングトレードができるのか、実際に例を挙げてみましょう。
下図は、「トヨタ自動車(7203)」の2017年7月頃の日足チャートです。
移動平均線を使った売買手法の「グランビルの法則」でスイングトレードの売買をしてみると下図のようになります。
上記のチャートはあくまでも1つの事例ですが、短期の移動平均線が長期の移動平均線を超えたときにエントリーする「ゴールデンクロス」のパターンで、5906円でエントリーし、その後、株価が短期移動平均線を割り込んだ、6139円で決済をしています。
約10日間で短期の上昇トレンドを形成していますが、このように短期のトレンドを売買するのが“スイングトレード”です。
上記の「トヨタ自動車(7203)」例では、保有期間は12日、利幅は233円ですので、100株で売買していた場合は23,300円の利益ということになります。
デイトレードやスキャピングといった超短期トレードでは瞬時の判断が必要ですが、“スイングトレード”では12日間、じっくり利益確定の判断を考える時間が持てるのです。
まとめ
3つのトレードスタイルの特徴と、初心者には特に「スイングトレード」をお勧めする理由はご理解いただけたと思います。
お勤めの方や株初心者の方はぜひ、スイングトレードからはじめてみてください。
スキャルピング、デイトレード、スイングトレードそれぞれの違いを体感してみたい方は、色々な銘柄のチャートを見て、期間(分足、時間足、日足など)を変えてシミュレーションしてみてください。
「これくらいのスパン(期間)」だと「何に影響されて動くのか」トレードスタイルごとの値動きの特徴がみえてくるはずです。
スイングトレードに適した銘柄の選び方については以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてくださいね。
スイングトレードで初心者が着実に収益化する実践的なエントリー手法
紫垣 英昭
この記事が気に入ったら
いいねしよう!
最新記事をお届けします。