金(ゴールド)の投資信託を持つメリットとは?NISAの使い方も併せて紹介

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

金融商品の数は非常に膨大なため、多くの初心者は「どの投資商品を選べばいいのかわからない」と迷ってしまうでしょう。

長期間の積み立てを考えるのであれば、株式や債券と並んでおすすめできるのが金(ゴールド)の投資信託です。

この記事では、金(ゴールド)の投資信託の特徴とメリット、NISAの利用方法などを解説します。

この記事を読んで得られること
  • 金投資の性質と強みがわかる
  • 非上場投資信託と ETF(上場投資信託)の違いがわかる
  • NISAを利用して金に投資する方法がわかる

金(ゴールド)の投資信託を持つメリット

金は“現物がある”という特徴から、株式や債券とは異なる性質を持つ投資商品です。金投資のメリットを見てみましょう。

世界情勢の影響を受けにくい

投資信託をはじめとした金関連の金融商品は、世界情勢の影響を比較的受けにくいというメリットがあります。 株式や債券などの投資商品は、発行している会社や国の経済状況が悪化すると価値が急落するおそれがあります。 そのため、投資する際には資金を投入しても問題ない経済状況か、慎重に判断しなければなりません。 一方、金は世界経済の情勢悪化に強く、不況の際に値上がりすることも多い投資商品です。 事実、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の影響のなかでも、値上がりを続けています。 金は経済情勢の悪化に強いなど、価値の安定性が高いという性質から、長期保有で資産を守るために投資されるケースが多いです。 このことから、金関連の投資信託は、短期利益ではなく、「長期保有で資産を守りたい」「少しずつ資産を増やしたい」と考える初心者におすすめです。

株式や債券と違って信用リスクが低い

株式や債券などの資産を保有するうえでの大きな不安の一つが、発行元の倒産や経営破綻により価値がゼロになることです。 株式や債券は発行元に対する“権利”を証券化したものなので、その価値は母体の会社や国の信用度に依存します。 一方、金は実際に現物が存在する投資商品です。 また、金は鉱物で、埋蔵量に限りがあることや、装飾品や工業製品の素材にもなっていることから、金そのものに価値があります。 そのため、株式や債券のような信用リスクがなく、価値がゼロになる心配が少ない商品といえます。 なお、権利ではなく物に投資するという性質上、たとえ投資信託であっても利息や配当金は発生しません。 信用リスクがない一方で、利息発生による資産の増加が見込めない点には注意が必要です。 株式や債券をすでに保有している場合、併せて金にも投資することで、リスク分散を図ることができるでしょう。

投資信託を通じた金(ゴールド)投資の方法

一口に“金に投資する”といっても、その投資方法は数種類存在します。 なかでも初心者におすすめなのは、少額から購入できて金の現物を保管する必要のない投資信託です。 投資信託には“非上場投資信託”“ETF(上場投資信託)”の2種類が存在し、それぞれ購入方法や性質が異なります。

非上場投資信託

非上場投資信託は、その名のとおり金融商品取引所に上場していない投資信託です。 単に“投資信託”と呼ぶ場合、多くはこの非上場投資信託を指します。 非上場投資信託は商品ごとに異なる販売会社で取り扱っており、銀行や郵便局などさまざまな窓口で購入できます。 ETFと比較するとやや購入手数料や信託報酬(管理・運用費)が高い点が特徴です。また、毎営業日算出される基準価額で売買の取引を行ないます。 少額から投資できるだけでなく、非上場投資信託では毎月積み立てて購入する積立投資を行なうことができます。 一定の金額で購入していくことで、買うタイミングを分散させて、リスクの低減を図ることが可能です。

ETF(上場投資信託)

ETF(上場投資信託)は、金融商品取引所に上場している投資信託のことです。 外貨や株式と同じように、市場でリアルタイムの取引が可能です。購入は証券会社を通じてのみ行ないます。 株式と同じように購入手数料がかかりますが、信託報酬はファンドから差し引かれますので改めて投資家が支払う必要はありません。 ETFの信用取引は短期で大きな利益を狙えますが、一方で損失も大きくなりやすい取引です。 初心者には少々ハードルが高いため、まずは積立投資で慣れることをおすすめします。

初心者は「NISA」で金への投資信託がおすすめ

金への投資を検討するのであれば、投資信託の購入にNISAを利用するのがおすすめです。 ここでは、NISAで金の投資信託を行なう方法を紹介します。

そもそもNISAとは

NISAは、日本政府が実施している個人投資家向けの税制優遇制度です。本来、投資で得た利益は所得として計算されるため、所得税や住民税の課税対象となります。 しかし、NISAを利用することで、投資で獲得した配当金や譲渡益は非課税となります。非課税の対象となる年間投資額の上限は120万円、期間は最長5年間で、最大投資額は600万円です。 対象となる投資商品は、国内外の株式やETF、株式の投資信託などです。 ちなみに、NISAと似た制度に“つみたてNISA”がありますが、こちらは年間の投資上限額が40万円と、より少額での投資を行なう投資家向きの制度です。混同しないよう注意しましょう。

金(ゴールド)はETFならNISAが使える

金に投資できる金融商品はETFのほかにも存在しますが、NISAを利用するのであれば金ETFのみが対象となります。 金地金(金の現物)の購入や純金積み立てにはNISAを利用できないので注意してください。 金のETFは、金の価格変動と連動した成績を目指して運用することから、実際に金を保有せずとも、金への投資を可能とした商品です。 NISAを活用することで、非課税で金への投資信託を行なうことができます。

まとめ

金は“信用リスクがない”“投資対象そのものに価値がある”など、株式や債券とは性質の異なる投資対象です。 価値がゼロになる心配が少ないため、安全資産としての評価が高く、不況や経済情勢の悪化に強い投資商品です。 資産の一部に金を組み込むことで、他で損失が出た際のストッパーとして機能することからリスクの軽減に役立ちます。 金の投資方法はさまざまですが、初心者が挑戦しやすいのは金のETF(上場投資信託)です。 少額から購入できるため、初めての金への投資でも安心して始められるでしょう。 また、NISAは非課税枠も利用できるので、投資商品を検討中の初心者の方は、ぜひ金関連の投資信託も候補に加えてみてください。

紫垣 英昭