紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
最近、日本でもFX(為替)取引は一般的な存在となり、ドル円、ユーロドル、ユーロ円などをFXチャートを使って売買する個人投資家が増えています。
しかしドル円の動きを利用して、日経225先物を売買している個人投資家は意外と少ないのです。
そこで今回は、実際に私が売買している「リアルトレード動画」をご覧いただき、ドル円の動きを利用した日経225先物の売買手法について解説していきたいと思います。
- ドル円の動きを利用した日経225先物の売買手法がわかる
- 相場の世界での立ち振るまい方がわかる
- 優位性を保つトレードの考え方がわかる
日経225先物とは
「日経225先物」については以前、このブログでもお伝えしましたが、改めて簡単にご紹介したいと思います。
「日経225先物」とは、日経平均株価(日本を代表する株価指数)を原資産として、大阪証券取引所に上場している、デリバティブ取引です。
詳しくは以下の記事を参考にして下さい。
1年間で、4つの限月が取引されていますが、基本的にメインで取引されているのは、
一番期限の近い「期近物」といわれているものになります。
取引時間は、月曜日から金曜日までの午前9:00~15:10、16:30から翌午前3:00まで取引することができます。
日経225先物は、「ラージ」、「ミニ」に大別されます。
・ラージ:取引単位が「1000倍」
・ミニ:取引単位が「100倍」
つまり、ラージは取引金額が大きくなるため、初心者には向いていません。
したがって先物初心者は、必ず「ミニ」で売買するようにしてください。
先物の計算方法
≪証拠金≫
実際に取引を行うには、証券会社で「先物取引口座」を開設して、証拠金を入れる必要があります。
まず、1枚あたりの証拠金額ですが、この金額は毎日変動しますが、概ねミニ1枚あたり、10万円~17万円くらいで推移していることが多いようです。
つまり225ミニ1枚を取引する場合、証拠金は最低15万円から20万円は必要になります。
≪損益計算≫
気になる損益計算の方法です。
(例)18000円で、225ミニを1枚買った場合
・18500円で決済:18500円-18000円×100倍=5万円の利益
・17500円で決済:18000円-17500円×100倍=5万円の損失
(例)18000円で、225ミニを1枚空売りした場合
・17500円で決済:18000円-17500円×100倍=5万円の利益
・18500円で決済:18500円-18000円×100倍=5万円の損失
という具合です。
損益金額はそのまま証拠金に追加されます。1枚あたりの証拠金額を割り込んでしまった場合、追加で証拠金を入れない限り、取引はできなくなります。
日経225先物の売買の仕組み自体は、決して難しいものではありません。
普通株式、FXの取引の仕組みが理解できているなら、すぐに理解できると思います。
なぜ日経225先物の売買なのに、ドル円の動きを活用するのか?
日経225先物の取引なのに、なぜ、ドル円の動きを活用するのでしょうか?
それは、この両者の“強い相関性”にあります。
良くニュース等で、
・アベノミクスで円安になったので、日経平均は上昇した。
・円安は日本の輸出企業にプラス。
・円高になったことで、日経平均が下落した。
・日銀のマイナス金利は、円安誘導で、日経平均株価は将来上昇する?
など、日経平均株価とドル円の動きから相場が語られています。
しかし実際は、「円安=株高」という図式はいつも成立するわけではありません。
ただ、リーマンショック以降は、この両者には“強い相関性”が存在しています。
下のグラフは、リーマンショック以降の日経平均株価と、ドル円の相関性を示したグラフです。
白のラインが日経平均株価、緑のラインがドル円の動きです。
2006年5月以降の両者のグラフですが、これを見ていただければお分かりのように、日経平均株価とドル円は、同じような動きをしているのが理解いただけると思います。
つまり、ドル円が上昇すれば、日経平均株価も上昇する可能性が高いということから、日経225先物の売買に応用できるのではないかということなのです。
実際に私が、ドル円の動きを活用して先物を売買している「リアルトレード動画」をご覧ください。
では、ドルが上がれば日経225先物を買えば良いのか?
じゃあ、ドル円の上昇を確認して、日経225先物を買えば100%儲かる!と思われた方も多いことでしょう。
確かに現在では、ドル円と日経平均株価の相関性は強いので、その可能性が高いかもしれませんが、実はこの両者が相関性を強めたのは、2008年頃からで、それまでは、まったく“逆の動き”をすることもたくさんあったのです。
この事実は、一般的には意外と知られていません。
以下のグラフをご覧ください。
1986年5月以降の、ドル円、日経平均株価の相関性を示したグラフです。
先ほどと同じで、白が日経平均株価、緑がドル円のグラフです。
ご覧いただければお分かりのように、当時はこの両者はまったくの“逆相関”の動きだったのです。
つまり日本が一番元気だった、80年代バブル時では、「円高=株高」という図式であり、その動きは2005年まで続きます。
バブル当時、私は証券会社に入社したばかりでしたが、当時は「円高、株高、債券高のトリプルメリット」という言葉がメディアで踊っていたのです。
つまり同じ現象でも、経済状況によってその解釈は正反対になるということなのです。
「円安=株高」という図式が生きている限り、ドル上昇時に、日経225先物を買うというのは、有効な売買手段であることは間違いないでしょうが、いつまでも続くというものでもありません。
したがって、一番重要なのは「マーケットの解釈」がどうなっているかが一番のキモなのです。
まとめ
今回は、私の「リアルトレード動画」を使って、ドル円相場を利用した、日経225先物の売買手法についてお伝えいたしました。
正直、ドル円の動きが先なのか、日経平均株価が先なのかは、その時々の状況によって異なるため一概には言えません。
しかし、この両者の“強い相関性”が存在している限り、今回ご紹介した売買手法の優位性は保てます。
仮にこの両者が“逆相関”の関係になった場合は、「ドル円上昇=先物売り」というポジションに切り替えれば良いのです。
その時期はいずれ近い将来、訪れることになると思っています。
相場の世界で上手く立ち回るには、ある意味“柔軟性”が重要になります。
これからの「ドル円と日経平均の動き」に着目し、マーケット参加者の反応を観察することで、新たなトレード・アイデアが生まれるのは間違いありません。
紫垣 英昭
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