紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
その日のうちに株の売買を完結できるデイトレードは、2005 年頃から大ブームとなりまし た。
数多くの書籍が販売されたり、テレビや雑誌では「半年で 1 億円を稼いだ!」「100万円を 10 億円にした!」など、夢のある特集がたびたび組まれたりしました。
しかし、デイトレードは長期投資と違って取引スピードが求められたり、繰り返し売買を 繰り返すため手数料の負担が大きかったりするが事実です。
したがって、デイトレードを するには「スピードに適したツール」と「手数料の安さ」が重要になります。
そこで今回は、デイトレード向きの証券会社を手数料と取引ツールの面から解説します。
デイトレードのメリット・デメリットも説明するので、ぜひ最後までお読みください。
- デイトレード向きの証券会社の手数料と取引ツールがわかる
- デイトレードのメリット・デメリットがわかる
- デイトレードで重要なこととは何かを学べる
デイトレードの特徴は?メリット・デメリットも紹介
デイトレードとは、1 日の中で株式などの売買をおこなう取引のことです。
1 日の中で売買が完結するので、基本的に、過去の値動きをデータ化したチャートを用い る「テクニカル分析」により売買の判断をします。
日中何度も売買を繰り返すので、サラ リーマンのように市場を常に監視できない人には向かないといわれています。
デイトレードで取引される銘柄は「取引量が多い大型株で、中でも値動きが大きいもの」 が好まれます。
そもそも値動きが少ないと、いくら取引をしても値幅が取れず利益を上げ られないからです。
デイトレードとスイングトレードの違いは?
1 日で売買を完結するデイトレードに対して、「スイングトレード」は数日から数週間に 渡り株式を保有する投資手法です。
つまり、デイトレードとスイングトレードの違いは、 取引を 1 日で終えるか、持ち越すかという点にあります。
なお、デイトレードよりさらに短い時間軸で取引をおこなう「スキャルピング」という手 法もあります。
デイトレードのメリット・デメリット
次に、デイトレードのメリットとデメリットを見ていきましょう。
デイトレードのメリット
・取引の成果がすぐに出る
・1 日に何度も取引できるので、資金効率が良く小額投資でも有利 ・日本時間のみで取引が完結するので、海外の経済情勢に左右されにくい ・ボックス相場でも利益を出せる
デイトレードのデメリット
・1 日に何度も売買を繰り返すので、取引をした分手数料がかさむ ・日中に売買をおこなうため、兼業では取引が難しい ・安定して稼ぐには売買技術・メンタル・ツールなど必要なことが多い
このように、デイトレードにはメリットとデメリットの両面があります。
デイトレード を始める際は、双方をよく比較した上で売買をおこなうようにしましょう。
デイトレードにはどんな証券会社が向いている?
デイトレードをするなら「手数料が安いこと」「スピード注文に対応したツールを使える こと」を基準に証券会社を選ぶことが重要です。
ここからは、手数料のプラン概要や証券会社ごとの手数料比較、証券会社が提供するツー ルの機能を見ていきましょう。
手数料のプランは大きく分けて2つ
まずは、どのような手数料のプランがあるか理解しましょう。
大きく分けて手数料には下 記の 2 パターンがあります。
・1 回の約定ごとに手数料が発生するプラン(取引毎プラン) ・1 日の取引金額で手数料が決まるプラン(定額プラン)
手数料プランの変更は 1 か月ごとの証券会社が多いので、自分の取引に応じてどちらが得 なのか検討する必要があります。
なお、「現物取引」か「信用取引」かによっても手数料は変わってきますのでご注意くだ さい。
手数料が安い証券会社はどこ?
証券会社の手数料を一覧表にまとめました。
どの証券会社がどれくらいの手数料なのかを ざっくりと覚えておきましょう。
【現物取引の手数料】
*2021 年 6 月現在の価格です。 *すべて定額プランの価格です。
*すべて税込みの価格です
【信用取引の手数料】
*2021 年 6 月現在の価格です。
*すべて定額プランの価格です。
*すべて税込みの価格です。
手数料が安い証券会社だとどれくらいおトク?
上記の表を見ると、名の通った証券会社だけでも手数料にかなりの差があることが分かり ます。
数百万円の取引をするのに「手数料はたかが数千円じゃないか」と思われる方もいるかも しれません。
しかし、手数料は毎日発生しますので、細かな金額でも積み重なれば大きな 費用となります。
毎日 1 回、信用取引の定額プランで取引した場合の手数料を SBI 証券とマネックス証券で 比べてみました。
*営業日は 240 日で計算しました。
*すべて税込みの金額です。
1 回の手数料はそれほど高くなくても、1 年の手数料を合計するとこれほど大きな差にな ります。
証券会社選びの重要性はご理解いただけたでしょうか。
スピード注文に対応したツールを使えること
デイトレードは長期投資やスイングトレードに比べて、売買にスピードが求められます。
そのため、証券会社が提供しているトレーディングツールは「スピードに適している」こ とや「自分にとって使いやすいもの」を選びましょう。
ここからは、各証券会社のトレーディングツールを簡単にご紹介していきます。
スピード注文に対応したツール一覧
・SBI 証券「HYPER SBI」
*出典:SBI 証券公式ホームページより
SBI 証券の HYPER SBI はドラッグ&ドロップのマウス操作をするだけで発注できます。 素早く的確な発注を必要とされるデイトレードには、とても有利なツールといえます。
マーケット情報やニュースなどの投資情報もツール上で確認できるので、情報収集にも使 えるでしょう。
・楽天証券「マーケットスピードII」
出典:楽天証券 マーケットスピードII
楽天証券のマーケットスピードIIは、以前から投資家の間で人気があったマーケットスピ ードの改良版です。
個別銘柄の画面は、チャートやニュース、四季報などの情報が集約されているので、操作 の手間を減らせます。チャート画面では拡大や縮小、テクニカル指標の表示など直感的に 操作が可能です。
従来から人気があったソフトの改良版ですので、多くのトレーダーの意見が反映されてお り、とても使いやすくなっています。初心者からベテランまでおすすめできます。
・松井証券「ネットストックハイスピード」
出典:松井証券 公式ホームページより
松井証券のネットストックハイスピードは、最短 1 クリックで発注できる操作性と初心者 向けの「株式 Trading Center 機能」が特徴です。
初心者の方は画面に株価やチャート、気配などどれを表示させたらいいか分からないまま 使ってしまうことがあります。株式 Trading Center 機能は必要な表示を自動で設定してく れるので、組み合わせ方が分からない初心者の方でも、簡単にツールを使うことができる ので、デイトレード初心者向けのツールといえるでしょう。
・マネックス証券「マネックストレーダー」
出典:マネックス証券公式ホームページより
マネックス証券のマネックストレーダーは、松井証券の株式 Trading Center 機能と同じよ うに初心者向けの「Trading One 機能」があります。
Trading One 機能を使えば必要な情 報を画面に表示してくれるので、初心者でも迷うことはありません。
マネックストレーダーはデイトレード向けに注文のスピードを重視しています。
画面をコ ンパクトにした「2WAY 注文」は、よりスピーディーな発注を追求できます。
デイトレードに向く証券会社オススメランキング
ここまでは、「手数料」と「ツール」で証券会社を比較しましたが、「実際にどこの証券 会社を使えばいいの?」と迷ってしまう方は多いのではないでしょうか。
ここでは手数料とツールを主軸にして、個人投資家から選ばれている証券会社を1~3位 までランキング形式で紹介します。
1 位 SBI 証券
デイトレード向けのおすすめ証券会社の第 1 位は「SBI証券」です。
手数料が他の証券会社と比べて安いので、1 日の取引金額が多い人におすすめです。
ま た、トレーディングツールの「HYPER SBI」は高機能でありながら、初心者からベテラン まで使いやすいように設計されています。
SBI 証券は口座開設数が 600 万を超えているので、個人投資家からの支持率も No.1 です ので安心して利用できます。
2 位 楽天証券
楽天証券は SBI 証券と並んで個人投資家に人気がある証券会社です。
手数料は業界最安値水準であり、ツールは初心者に使いやすい設計になっています。
ツー ル面では SBI 証券より扱いやすいので、あまり勉強をする時間はないけどデイトレーディ ングをしてみたい初心者の方におすすめです。
3 位 松井証券
松井証券 はツールを駆使して、値動きの研究をしたい方におすすめです。ツールを上手く 使いこなせれば、かなり細かくテクニカル分析ができるでしょう。
また、専用スマホアプリを使った取引のしやすさにも定評があるので、外出先でデイトレ ードも負担なくおこなえます。
なお、松井証券には「1 日信用取引」という、返済期限が当日の信用取引があります。返 済期限が当日なので持ち越しをしたくても強制決済されてしまいますが、約定代金は制限 なしで 0 円という大きなメリットがあります。
松井証券の「1 日信用取引」は、信用取引 でデイトレードする方におすすめです。
4 位 マネックス証券
マネックス証券は上位 3 社と比べると手数料が多少高くなってしまいますが、初心者に使いやすいツールを 提供してくれるのでデイトレーダーに人気の証券会社です。
スマートフォンの取引アプリも、操作性がシンプルで使いやすいと評判です。
人気アナリストによる市場分析のニュース配信もあるので、プロの意見も取り入れながら 取引をしたい初心者におすすめです。
5 位 岡三オンライン証券
岡三オンライン証券は独自性があるツールとベテランアナリストによる情報提供の配信が 特徴です。
岡三オンライン証券のツール「岡三ネットトレーダープレミアム」は株式ランキングが充 実しています。
デイトレードは動きのある銘柄や他とは違う動きをしている銘柄で利益を 上げやすいので、ランキングを活用する機会は多いです。
いろいろなランキングを見られ れば、取引のチャンスも広がるのでデイトレーダーにおすすめのツールです。
岡三オンライン証券は、老舗証券会社の「岡三証券」の子会社です。
そのため、岡三オン ライン証券の口座を持っていると、岡三証券のベテランアナリストが配信する記事を読む ことができます。
岡三証券が配信する記事は、独自性があり評価が高いので銘柄選びの参考になります。
デイトレードの勝ち負けは証券会社だけでは決まらない
ここまでデイトレードに向いた証券会社の解説をしてきましたが、もちろんどの証券会社 を使うかだけでは、勝敗は決まりません。
優良なツールを使ったとしても、デイトレードの技術と技術を支えるメンタルが整ってい なければ、安定して利益をあげることはできません。
デイトレードでは「損失を抑えて、小さな利益を積み重ねる」ことがとても重要です。
価値が続くと人は気が大きくなって、ついついリスクの大きい取引をしてしまいます。その 結果、これまでの利益は無くなり損失を出してしまいます。
自分にぴったりの証券会社で口座開設をしてからが始まりだと思って、デイトレードの手法やメンタルについて、一から学んでみてください。
私が行っている YouTube の無料講座でも、デイトレードの技術や技術を支えるメンタル について解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
まとめ
証券会社の競合により各社のサービスの差は少なくなっています。
しかし、デイトレードのように毎日多くの取引をおこなうと、小さな差が 1 年後には大きな差になることもあります。
証券会社選びはデイトレードで利益をあげるための第一歩です。まだまだ道は長いです が、利益を出して生活をより豊かにするために、一緒に頑張っていきましょう。 最後までご覧いただきありがとうございました。
紫垣 英昭
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