2021年6月相場で注目の銘柄やニュースは?日米のメジャーSQは要チェック!

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

6月相場の最大のイベントは、日本では第2金曜日、米国では第3金曜日に発表される「メジャーSQ」です。

メジャーSQの発表前後には、先物取引やオプション取引の売買が活発化しやすく、市場全体の出来高やボラティリティーが大きくなりやすいことから注意が必要です。

過去の6月相場の大ニュースとしては、2016年6月にイギリスのEU離脱(ブリグジット)がありました。

2021年6月相場は仮想通貨市場や東京オリンピック開催可否にも注目が集まります。

今回は、6月相場の特徴やメジャーSQについて解説した上で、過去の6月相場の動向や2021年6月相場で注目される銘柄やニュースについて紹介していきます。

この記事を読んで得られること
  • 6月相場の特徴やメジャーSQについてわかる
  • 過去の6月相場の動向や2021年6月相場で注目される銘柄やニュースがわかる
  • 今後、どのような相場の動きに注意しなければいけないかがわかる

6月相場は日米のメジャーSQに注目しておこう!

6月相場の最大のイベントは、日本では第2金曜日、米国では第3金曜日に発表されるメジャーSQです。

メジャーSQは日本第2金曜日、米国第3金曜日に発表される

6月相場の最大のイベントとして注目されるのが、日本では第2金曜日、米国では第3金曜日に発表される「メジャーSQ」です。

「メジャーSQ」とは、3月、6月、9月、12月に発表されるSQ(特別清算指数)を指します。

そもそもSQ(特別清算指数)とは、先物取引やオプション取引において、ある期日までに決済しなければいけない「決済期日」のことです。

先物取引のSQ日は3月、6月、9月、12月の第2金曜日、オプション取引のSQ日は毎月第2金曜日となっており、先物取引とオプション取引のSQ日が重なることから、3の倍数月のSQ日は「メジャーSQ」と呼ばれる重要イベントとなっています。

メジャーSQの前後には、日経225先物・TOPIX先物などの先物取引、日経225miniなどのオプション取引の決済が活発になりやすく、市場全体の出来高が増加し、ボラティリティーが大きくなる傾向があることに注意が必要です。

2021年6月相場では、日本のメジャーSQは6月11日(金曜日)、米国のメジャーSQは6月18日(金曜日)となっています。

この前後には、日経平均株価・TOPIXやNYダウが活発化しやすくなる傾向があることに注意しておきましょう。

過去の6月相場を徹底検証!

NYダウと日経平均株価について過去の6月相場の動きをチェックしておきましょう。

NYダウの6月相場

次のチャートは、NYダウに連動するETF【1546】NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価連動型上場投信の株価チャートとなります。

【1546】NEXT FUNDS ダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価連動型上場投信の月足チャート

2013年6月から2020年6月までの8年分の6月相場の動向を見てみると、特に大きな下落にも大きな上昇にもなっていないことが分かります。

2019年6月は大きく上昇しましたが、これは2019年5月に大きく下げた反動と言えます。

NYダウの6月の値動きについて表にしてみると次の通りです。

※上記チャートは連動ETFですが、こちらの表はNYダウのものとなります。

6月始値

6月終値

値動き

2013年

15,123.55

14,909.60

-213.95

2014年

16,697.33

16,826.60

+129.27

2015年

18,017.82

17,619.51

-398.31

2016年

17,754.55

17,929.99

-175.44

2017年

21,030.55

21,349.63

+319.08

2018年

24,542.09

24,271.41

-270.68

2019年

24,830.16

26,599.96

+1,769.80

2020年

25,612.30

25,812.88

+200.58

直近8年間の6月のNYダウの値動きを見てみると、上昇が4回、下落が4回となっています。2019年には大きな上昇となりましたが、それ以外の年はマチマチといった所です。

日経平均株価の6月相場

続いて、日経平均株価の6月相場を見ていきましょう。

日経平均株価の月足チャート

日経平均株価の6月相場は上昇の方が多くなっています。2016年6月はイギリスのEU離脱(ブリグジット)により大きな下落となり、2019年6月は5月の下落からの反発で大きく上昇しました。

日経平均株価の6月の値動きについて表にしてみると次の通りです。

6月始値

6月終値

値動き

2013年

13,261.82

13,677.32

+415.50

2014年

14,935.92

15,162.10

+226.18

2015年

20,569.87

20,235.73

-334.14

2016年

16,955.73

15,575.92

-1,379.81

2017年

19,860.03

20,033.43

+173.40

2018年

22,171.35

22,304.51

+133.16

2019年

20,410.88

21,275.92

+865.04

2020年

22,062.39

22,288.14

+225.75

直近8年間の6月の日経平均株価の値動きは、上昇が6回、下落が2回となっています。

上昇の方が多いものの、ブリグジットで世界経済に動揺が走った2016年6月の下落が目立ちます。

過去に大きな動きがあった6月相場はどうなっていた?

日経平均株価が大きく動いた2016年と2019年の6月相場、直近の2020年の6月相場について詳しく見ていきましょう。

2016年の6月相場

2016年の6月相場は、イギリスのEU離脱(ブリグジット)により大荒れの展開となりました。

イギリスで2016年6月23日に行われた国民投票によってEU離脱が決定。市場では、ニュースとしては最大級のネガティブサプライズとなり、日経平均株価も大暴落に。

特に、日本市場はイギリスの選挙時間が直撃したため、タイムリーに離脱派の優勢が伝えられたことで、大きな影響を受けることになってしまいました。

日経平均株価の日足チャート(2016年6月)

ただ、ブリグジットによる下落は、その後1ヶ月足らずで全て戻しています。

また、ブリグジットの陰に隠れているものの、6月第2金曜日のメジャーSQ前後には値動き・出来高ともに上昇傾向が見られます。

ブリグジット暴落では、【7203】トヨタ自動車や【8604】野村ホールディングスなどの主要銘柄を始め、ほぼ全ての銘柄が売られる展開となりました。

【7203】トヨタ自動車の日足チャート(2016年6月)

とはいえ、日経平均同様にブリグジットで下げた分は、その後1ヶ月足らずで戻しています。

2019年の6月相場

2019年の6月相場は、5月に大きく下げた反動から上昇相場となりました。

日経平均株価の日足チャート(2019年6月)

やや円高が進んでいたものの、NYダウが好調だったことが、大きく反発した要因となりました。

2020年の6月相場

新型コロナ相場の初期となった2020年6月相場は、メジャーSQの前後で大きな値動きとなりました。

日経平均株価の日足チャート(2020年6月)

6月第2金曜日のメジャーSQに掛けて大きく売られてから、その後は反発していたことが分かります。

日経平均で見るとそこまで大きな値動きではありませんが、代表的な半導体株の【8035】東京エレクトロンや、デジタルトランスフォーメーション関連銘柄として買われた【3788】GMOグローバルサイン・ホールディングス(旧・GMOクラウド)など、新型コロナ相場を代表する銘柄は大きな上昇となりました。

【3788】GMOグローバルサイン・ホールディングスの日足チャート(2020年6月)

2021年の6月相場で注目されそうな銘柄は?

2021年の6月相場で注目されそうなテーマや銘柄について押さえておきましょう。

仮想通貨関連銘柄

2021年5月には仮想通貨が暴落し、株式市場でも仮想通貨関連銘柄などに影響が出ています。

代表的な仮想通貨であるビットコイン価格は、2021年4月13日には史上最高値となる6万2,732ドルを付けましたが、5月23日には一時3万2,000ドル割れまで暴落。

約1ヶ月で高値から半値にまで下げました。

ビットコインの日足チャート(https://jp.tradingview.com/symbols/BTCUSD/?exchange=BITSTAMP)

オンラインゲーム大手の【3659】ネクソンは、4月に仮想通貨を1億ドル購入していたことから一段安となってしまいました。

【3659】ネクソンの日足チャート

2021年6月にも、引き続き仮想通貨市場は大きく動くリスクがあるため、仮想通貨取引所「コインチェック」を傘下に持つ【8698】マネックスグループなど、仮想通貨関連銘柄の動向も注目されます。

東京オリンピック関連銘柄

新型コロナの感染状況とともに、2021年7月23日から開催予定となっている東京オリンピックの開催可否には日本のみならず世界から注目が集まります。

世論調査では8割が中止もしくは延期を支持しているなど逆風が吹いていますが、政府は有観客での開催を目指していると報じられるなど、開催に積極的な姿勢を崩していません。

放映権料が期待される広告代理店大手の【4324】電通グループは直近で上昇していることから、マーケットは開催の方向に織り込んでいるものと見られます。

【4324】電通グループの日足チャート

ただ、急遽中止になってしまった場合には、電通グループのような東京オリンピック関連銘柄にとってはネガティブニュースとなることは間違いありません。

一方、中止が発表された場合、全体相場に与える影響は一概にマイナスとも言えません。

新型コロナの感染拡大要因となりうるネガティブ要素がなくなることで、ポジティブに解釈される可能性も十分にあります。

いずれにしても、2021年6月中に東京オリンピックの開催の行方が決まることは間違いありません。

まとめ

今回は、6月相場の特徴やメジャーSQについて解説した上で、過去の6月相場の動向や2021年6月相場で注目される銘柄やニュースについて紹介してきました。

6月相場のキーワードとなるのは、日本では第2金曜日、米国では第3金曜日に発表される「メジャーSQ」です。

2021年は、日本のメジャーSQは6月11日、米国のメジャーSQは6月18日となっています。この前後には、日経平均株価やNYダウが活発化しやすくなる傾向に注意しておきましょう。

また、2021年の6月相場では、5月に暴落した仮想通貨市場の動向や、新型コロナ感染拡大が止まらない中で懸念される東京オリンピックの開催可否についても注目が集まります。

メジャーSQを中心に2021年6月相場に備えておくようにしましょう。

紫垣 英昭