紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
あなたは、乱高下する株価を目の当たりにして驚いたことはありませんか?
経験の少ない株初心者にとって、日々の株価の変動が気になって仕方のないものです。
特に、東証マザーズ、JASDAQといった新興市場に上場している銘柄は値動きが乱高下しやすく、急落などに巻き込まれるとパニックになって正常な判断ができなくなってしまうことも。
正常な判断ができなくなると、「このまま下がり続けたらどうしよう」「今期は業績が下がっている。倒産しないよね…」など、不安も大きくなり、不要なロスカットが増えて、資産を大きく減らしてしまうことにもつながります。
そこで今回は、株初心者でも安定して利益を得られる投資方法の1つ、「大型株投資」についてお伝えします。
大型株に該当する銘柄は、ソニー(6758)やNTTドコモ(9437)などの大企業で、売り上げや財務体質も安定し、倒産するリスクは限りなく低いでしょう。また、継続的に配当、優待を出している企業も多くあります。
経済環境の悪化などで株価が下落することもありますが、そこはやはり大企業。確実に売上げ、利益をしっかり上げて、株価も上昇するケースが目立ちます。
この記事では、大型株取引に必要な基礎知識と安定的に利益を出す投資方法、大型株投資の注意点を紹介していきます。
- 大型株とは何かがわかる
- 大型株の値動きの特徴と大型株投資のメリットがわかる
- 大型株投資をするときの心得と注意点がわかる
大型株とは?
大型株とは、東証1部上場企業のうち時価総額や流動性が高い上位100銘柄を指します。
東証1部にはおよそ1700の企業が上場しており、大型株は東証1部の時価総額6割を占めています。
大型株にはどんな銘柄がある?
大型株銘柄には、トヨタ自動車(7203)、ソニー(6758)、NTTドコモ(9437)など、誰もが知っている有名企業が数多くあります。
また、大型株の中でも、TOPIXコア30と呼ばれる指標に選出されている銘柄は、特に注目されやすい大企業といえます。
「TOPIX Core30」構成銘柄は日本を代表する有名企業なので要チェック!
TOPIX Core30の値動きは、日本の株式全体や景気動向を知る上でも大変重要ですので是非チェックしておいてください。
TOPIXコア30などの構成銘柄は、市場の実態に基づいた的確な指数となるよう、毎年10月に見直され、銘柄の入れ替えが行われます。
銘柄選定の結果は東証マーケットニュースで確認することができます。
2018年10月5日の定期選定結果は以下のニュースで発表されています。
TOPIX Core30等株価指数の構成銘柄の定期選定について
TOPIXニューインデックスシリーズ/東証規模別株価指数に基づいた2018年10月現在の最新のTOPIX Core30構成銘柄は以下になります。
大型株の値動きの特徴は?
大型株の値動きは、あまり大きくありません。大型株銘柄は業績も安定しており、緩やかに成長していく企業が大半を締めています。
また、流動性も高いため、大量の売買があってもさほど株価は動きません。
小型株などの流動性の低い銘柄では、売り買いの注文が少なく自分の取引で株価を下げてしまうこともあります。
大型株投資なら株価の乱高下が少ない分、落ち着いて取引をすることができます。
大型株投資のメリット
大型株投資のメリットは、以下の3点が挙げられます。
- 値動きが安定している
- 財務内容が安定して、倒産リスクが低い
- 長期保有に向いており、その間株主優待や配当が受けられる
値動きが安定している
大型株の値動きの特徴は?でも述べましたが、大型株の値動きはさほど大きくありません。市場全体の急落や、個別の悪材料がなければ、10%を超える値動きはほぼありません。
成長が続いていけば、株価は緩やかに上昇する場合が多く、投資家にとって比較的安全な取引と言えます。
財務内容が安定して、倒産リスクが低い
大型株銘柄の企業は、財務内容が安定していることもメリットです。
売上げ、利益が安定していれば会社の財務も安定し、倒産するリスクは低くなります。もちろん株価も安定するので、投資家としても安心材料になります。
長期保有に向いており、その間株主優待や配当が受けられる
値動きが安定している、財務内容が安定して、倒産リスクが低いで述べた通り、大型株銘柄は、値動き業績も安定しているため、長期保有向けの銘柄といえます。
大型株銘柄は、株主優待や配当を行っている企業が多くあり、株の長期保有で安定した利益を得ながら、株主優待や配当を受け取れるといったメリットもあります。
また、株主優待や配当を行っている企業は、株価が急落しても、株価が下がったところを狙って優待や配当狙いの投資家の買いが入りやすいため、より株価が安定する傾向にあります。
リスクが少なく株主優待や配当が受けられるのは、大型株ならではの醍醐味といえます。
株主優待については、以下の記事で詳しく解説しています。
大型株投資の2つの心得
ここでは、大型株投資大型株投資をするときの心得と注意点について解説していきます。
大型株投資の心得その1:大型株投資は中長期向け
長期保有に向いており、その間株主優待や配当が受けられるでも述べた通り、大型株の値動きは緩やかなので、売買を繰り返し利益を上げるデイトレードやスイングトレードなどの投資方法には不向きです。
大型株投資は、投資期間は長めに想定し、配当金を継続して受け取っていく方法が確実に利益を上げる方法と言えます。
大型株銘柄には長期間継続して配当し続けている企業も多数あります。また、収益が伸びるたび、増配している企業もあり、長期保有銘柄としても魅力的です。
大型株投資の心得その2:分散投資を心掛ける
大型株の値動きは、同業種銘柄が連動する事が多くあります。これは業界ごとの景気や先行きによって同業種全体がつられて売買されるからです。
もし、投資先が同業種ばかりだと、業績自体は伸びていても業界に悪材料が出たときに、持つ株が軒並み値下がりする危険性が高いです。
将来的に飛躍しそうな事業があったとしても、投資先はテーマで絞り込まず、必ず業種の分散投資を心がけてください。
大型株投資の2つの注意点
大型株の株価は安定していますが、投資する際はいくつかの注意点があります。
大型株投資をするときの注意点その1:株価が急騰しているときの購入は避ける
大型株の値動きは底堅いです。しかし、株価というものは上げ下げを繰り返すもので、上昇し続けることはありません。
株価は、業績の上方修正直後やテーマ株となったときに急騰することがあります。
株価が連日上昇していると、思わず購入したくなります。しかし、株価が上がり過ぎた株価は、必ず調整場面がやってきます。これは、業績が順調な場合でもよく起こることです。
以下は大型ゲーム会社、任天堂(7974)のここ1年間の株価チャートです。
引用)ヤフーファイナンス
任天堂はここ数年は売上、利益ともに順調に推移しており、株価は2018年1月には5万円近くまで上昇しました。来期も増収増益を予想しており、アナリストのコメントも好感触なものが目立ちます。
しかし、その後株価は下落を始め、2018年10月現在では年初来安値にせまる株価まで下落しています。なぜでしょうか。
ここで、株価チャートの期間を2年間にして見てみます。
引用)ヤフーファイナンス
すると、2017年初旬の株価は2万5000円前後なので、そこから1年余りで株価が倍になっていたことがわかります。
株の値動きには世界経済の影響もあるので、単純に株価が高くなったから売りが出たとは考えられません。しかし、大型株のような値嵩株の株価が数倍になれば、当然売却し利益を確保する動きが出てくるでしょう。
相場の格言にも「山高ければ谷深し」とあります。急騰した株価が天井をつけると、大型株といえども勢いよく下がり、損失を被ってしまいます。
業績の良い大型株は、株価が下がったとしても底なしに下落することは考えにくいです。大型株投資は、株価が大きく上昇している場面では購入を避け、株価が下がり割安時に購入・長期保有がおすすめです。
大型株投資をするときの注意点その2:業績に陰りが見えてきたら要注意
長期保有に向いている大型株ですが、四半期決算ごとに業績をチェックすることをおすすめします。決算後に好業績でも一時的に株価が下がることがありますが、そんなに気にすることはありません。
注意が必要なのは、業績に陰りが見えてきた場合です。大型株銘柄は株価安定感、業績の堅調さを求めて購入されることも多く、業績が傾くと株価も天井をつけることになります。
投資初心者は、株価が下がったときの売却ラインを決めていない人がほとんどです。自分なりに損切りラインを決めておき、業績が持ち直したところで買い直したほうが得策かもしれません。
損切ラインの決め方については、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
大型株は株価も企業業績も比較的安定しており、投資初心者が投資するには最適だと言えます。
まずは、銘柄を絞り長期保有前提で株の値動きを観察してみてください。決算発表のとき、為替が動いたとき、株価がどのように動くのかをみていけば、徐々に自分なりの相場観が育っていくでしょう。
大型株投資は、値動きも安定し、しっかり配当や株主優待を受け取りながら、リスクを抑えて投資経験を詰むことができます。
心の安定を確保しつつ、投資家としての経験と自信をつけるチャンスを得られるのです。
株式投資をまだ実践したことがない方は、この機会に大型株から株式投資をはじめてみてはいかがでしょうか?
紫垣英昭
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