紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
みなさん、低位株の取引はされていますか?
おそらく低位株はあまり取引せず、ある程度名の通った銘柄の取引をされている方が多いのではないでしょうか。
しかし、低位株にまったく手を出さないのは、もったいないことです。
私は個人のトレーダーは低位株でこそ、効率的に利益を上げることができると思っています。
今回はそんな低位株投資の基本戦略について、なぜ効率的に利益を上げられるのか、売買のポイントはどこなのか、などについて解説いたします。
- 個人が低位株で効率よく利益を上げられる理由
- 低位株のエントリーポイント
- 低位株の具体的な値動きの理解
低位株は少ない金額で大きな利益が出せる
以前の私が低位株をトレードした動画をご覧いただきましたが、あの動画はアイフル (8515) を1,000株、日本カーバイド工業 (4064) を3,000株の売買をしました。
どちらの株式も約定代金ベースでは約100万円です。
個人の方が投資をする際は、1回の取引で500万円など高額な取引はなかなかできないですよね。
そのため、誰でもできる範囲の約定金額をベースにして取引をしました。
100万円程度の小さな金額でも、利益を上げられるということを分かって欲しかったのです。
あの時は、あくまで参考取引なので2日間で売買をしましたが、低位株で大きな値幅を取ろうとした場合、投資期間は1~3か月が最も値幅が取れます。
1~3か月の取引を動画にするのはなかなか難しいので、便宜上2日の取引としましたが低株投資のロジックをデイトレードに置き換えた時に、どうなるのかということはお分かりいただけたと思います。
それでは、低位株投資の基本戦略はどのようなものか、概略をお伝えしていきましょう。
低位株の定義とは
一般的には1単元(100株)の購入金額が10万円未満、つまり株価が1,000円を下回ると低位株と呼ぶことが多いようです。
低位株に対して、株価水準が中程度の銘柄を「注意株」、高い水準の銘柄を「値がさ株」と呼びます。
低位株で効率的に利益が取れる理由
なぜ低位株で個人が効率的に利益を取れるのでしょうか。
それには以下の3つの理由があります。
- 株価が安い
- 変動率が高い
- 空売りがしやすい
それぞれ解説をしていきます。
株価が安い
一つ目の理由は、低位株は小額から投資ができるので、資金規模が小さい個人投資家でも売買できることです。
最初にご説明しましたが、個人は少ない金額で取引をしていることがほとんどです。
大型株ですと売買することもできないので、個人では少ない資金でも買えるというのが第一条件となります。
変動率が高い
低位株はひとたび資金が入ってくれば、大きな変動率となります。株価が1.5倍や2倍になることも多いですね。
なぜそのように大きな変動率になるかというと、投機筋もリスクを取って資金を投入するので、10%や20%の値上がりでは売買する意味がないのです。
そのため、いままで値動きが無かった低位株が、突如大きな値動きに変化していきます。
ただし、投機マネーが入ってこない場合は変動がほとんどありませんのでご注意ください。
空売りがしやすい
投機筋が入った後は、ほとんど買い手がつかない状況になります。
当然、投機筋は高値付近で一気に売り抜けを図ります。
それまでに相場を支えていたのは個人の買いです。
投機筋が抜けると個人は大きな含み益だったのが、いきなり含み損に変わってしまいます。このような状況だと、個人はなかなか損切りに踏み切れません。
そして、ジリジリ株価は下がっていきます。
最近は低位株が急騰した場合、早い段階で空売り禁止措置になります。
しかし、空売り禁止措置になるまでに、空売り筋はすでに空売りをしています。
そこで株価が大きく下がれば、空売り筋に有利になります。
あえてその銘柄に買いが入るとすれば、「空売り筋が買い戻す買い」くらいしかありません。
「買戻しの買い」は一瞬で終わりますので、その後はまた株価が下がっていきます。
そういう意味において、空売りがしやすいというわけです。
ある程度相場が大きく下がれば空売り禁止措置はなくなりますので、そこからまた空売りができます。
この3つが低位株投資の基本戦略です。
実際のチャートで低位株の動きを見てみよう
実際に低位株はどのような動きをして、どこでエントリーをすればいいのかを解説いたします。
日本カーバイド工業 (4064) の値動き
まずは日本カーバイド工業 (4064) のチャートから見ていきましょう。
カーバイドの直近の株価は、2012年10月くらいから急騰しました。
その後、ピークを付けた後に、株価は急落していきます。
急落後の株価水準は、2013年の元旦付近まで株価が戻ってきています。
2012年10月はだいたい110円だった株価が、2013年元旦の時点で2倍以上の280円くらいなので、まだまだ下がる可能性があります。
まずは、買いから考えていきますが、株価が急上昇する前はほとんど変動率がありません。
そこから突如株価が上がっていき、それに伴い出来高も増えています。
低位株投資ではこの上昇を狙っていきます。
エントリーを狙う低位株の条件は下記の2つです。
- 値動きがなかったのに、突如として値動きが出てきた
- 同時に出来高も大きく膨らんできた
この条件を満たしたら買いに入りましょう。
このカーバイド株は110円付近なので、11万円あれば1000株を買うことができます。
低位株投資の売買期間は1~3か月が目安です。
上昇を始めた辺りで短期売買をすると、確かに利益は出ますが大きく勝つことはできません。
短期売買を仕掛けると、上昇が始まって1週間ほどで売ってしまいますよね。
後々、800円を超えまで値上がりするにも関わらず、120~140円くらいで利食いをしてしまうことになります。
一旦途中で売ってしまうと、後からはなかなか買い戻そうという心理にはなりません。
低位株投資で大きな値幅を取る戦略の場合、時間を味方につけなくてはなりません。
明和産業 (8103) の値動き
こちらの明和産業 (8103) でも同じことがいえます。
セオリー通りに全然動いていなかった株価が、突如動き出しています。
これは、ある投機筋が入ったというニュースがあったためです。
やはりこの銘柄も2012年1月後半から5月くらいまで、約3か月の期間で動いています。
これほど大きな値上がりをするのですから、途中でデイトレードをしても意味がありません。
こういう銘柄は覚悟を決めてしばらく持ちましょう。
腹を据えてやらないと、利益には結び付きません。
明和産業は株価が220円くらいだったものが、一気に1,000円近くまで上昇します。
もちろん、一番の安値から高値までは取るのは難しいですが、流れに乗ってある程度の値幅は取らなくてはなりません。
少ない資金で大きく儲かるのが、低位株投資の醍醐味です。
注意していただきたいのは、下記の赤枠のように狭い範囲での値動きは取ろうと思わない方がいいですね。
この辺りは出来高もほとんどありません。
実際に大きく値上がりしているのは、出来高も増えているところです。この辺りでエントリーを仕掛けていきましょう。
低位株は空売りでも利益を取れる
空売りについてもお伝えしておきましょう。
先ほどと同じく明和産業とカーバイドを例に解説いたします。
明和産業 (8103) のでの空売りポイント
明和産業の場合、2012年5月にピークを迎え、その後株価はずっと下落していきます。
途中で株価が大きく上昇していますが、これが空売りの買戻しです。
空売りの買戻しは一瞬で終わります。
株価がピークを迎えてからしばらくは、空売り禁止措置が入っていると思われます。
そのため、実際に空売りができるのは下の丸枠の辺りからです。この辺りから入っても、十分に利益は取れます。
このように一旦天井を付けた低位株は、その後は上がることなく下がっていくのが普通です。
日本カーバイド工業 (4064)での空売りポイント
もう一度カーバイドを見てみましょう。
私はまだまだ下落すると思っていますが、カーバイドも天井を付けた後に下落しています。
ここから多少上げたとしても、また叩かれてずっと下がっていくと思います。
日本冶金工業 (5480)での空売りポイント
次のチャートは、最近動いている日本冶金工という銘柄です。
長い期間、株価が横ばいでしたが、出来高が増え急に値上がりしています。
この値動きを見たらエントリーに動かなくてはなりません。
実際に投機筋が入っていますので、大きく値上がりしていますよね。
110~140円くらいで動いていたものが、一気に4倍近くになっています。
おそらく、まだ上を目指す展開になると思います。
低位株の値動きは誰が見ても分かる
例に挙げたチャートは、普通の人が見ても何かおかしいなと分かりますよね。
誰でも目視でエントリーポイントが分かるのが、皆さんにオススメしている理由です。
でも、絶対に高いところで買っては駄目ですよ。
みんなに情報が出回ってガンガン上がっているところを、さらに上を買いに行くという愚かなことはしないでください。
そういうことをやると、ほとんど損します。
どうすれば初動の段階で普通の人でもエントリーできるのか、それが今回の記事でお伝えしている「低位株の投資戦略」です。
このやり方でうちの受講生は、億単位で儲かった人もたくさんいます。
数百万・数千万というのはザラにいらっしゃいます。
初動でエントリーをして、一気に値幅が出るところはホールドして、利益を貯めていく。
儲けを出した方は、みなさんこのようにしています。
低位株は必ず初動の段階でエントリーする。出遅れると、ほとんどの場合損をする。
低位株以外にもこの手法は応用できます
低位株以外にもこのやり方は使えます。
例えば、このIPS細胞、再生医療関係のナノキャリアでも同じ理屈で入れます。
低位株だけでなく、普通の銘柄にも応用が効くのでぜひ皆さんこの手法を学んでください。
まとめ
大まかではありましたが、低位株の基本戦略についてお話いたしました。
低位株というと、株価が乱高下しやすい、倒産して価値がなくなるリスクがある、と敬遠している人も多いのではないでしょうか。
しかし、今回お伝えした戦略で取引をおこなえば、大きな値幅を取れる可能性は大いにあります。
「低位株だから・・」と見向きもしないのはもったいないので、監視の対象に入れてみてはいかがでしょうか。
最後に低位株エントリーの条件をまとめておきましょう。
- 今まで動いていなかったが突如動き出した銘柄
- 上記と併せて出来高がも急増している銘柄
- 値上がりの初動でエントリーする。出遅れた場合は見送る
今回お話したことを参考に、皆さんの投資にお役立ていただければありがたいです。
紫垣 英昭
この記事が気に入ったら
いいねしよう!
最新記事をお届けします。