紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
株式を購入するうえで悩むことは多くありますが、その中でも「いつ買ったらいいのか」というのは、みなさんが最も考えてしまうポイントではないでしょうか。
今回お伝えする「株式購入のタイミング」は、私がノウハウとしてずっと使っているものです。
これまで損をしていたのが嘘のように、利益に繋がることを実感していただける内容となっています。
それくらい強力なノウハウなので、ぜひ真剣に楽しんで学んでください。
- 株式購入のおおまかなタイミング
- 過去の日経平均の流れ(危機とバブル)
- 高いところで買ってしまう投資家の心理
株は「安く買って、高く売る」のが王道
株を買うベストなタイミングは、当たり前ですが「安く買って、高く売る」のが王道ですね。
まずは、世界で起こった様々な出来事と株価の流れを見ていきましょう。
株式市場は危機とバブルを繰り返している
下の画像は日経平均の月足チャートです。
1996年半ばくらいからの月足チャートですので、10数年の株価の流れとなっています。
広いスパンで見ると、いろいろな危機とバブルが繰り返し起こっていることが分かります。
例えば、1997年はアジア通貨危機と呼ばれるクラッシュが起こりました。
1998年にはロシア危機が起きて、アメリカで最大手のヘッジファンド「LTCM」が破綻しました。
危機の後にはバブルが来る
このような危機の直後にITバブルが来ています。
景気を持ちなおすために、中央銀行は金利を下げるなど、いろいろな施策を行ったこともITバブルが起きた要因となっています。
ITの発展で景気循環が無くなる「ニューエコノミー」という考え方が広がり、インターネットを使ったビジネスがこれから一気に取って代わることが予想されていました。
その期待感から株式がかなり買われた時期です。
日本でもITバブルの波が押し寄せてソフトバンクや光通信などが100~200倍くらいに急騰しました。
危機が起きるとさまざまな経済政策が実行されるため、危機が去ったらバブルが起きやすくなる
ITバブルの崩壊から金融危機
ITバブルが崩壊したのが2002年です。
ここから一気に世界的に株価が冷え込みました。
大手銀行の不良債権が問題視されるなど、日本も金融危機に陥りました。
もともと日本は不良債権処理が遅れていましたが、さらなる景気の悪化により身動きができない状態となります。
この頃に小泉純一郎が総理大臣になって、竹中平蔵が経済の立て直しの旗振り役に任命され「金融再生プログラム」が発表されました。
ここから一生懸命に不良債権処理を進めていき、大手銀行は合併をしていったという時期です。
2002年10月に金融庁が発表した経済を再生するための取組。
主要銀行の不良債権問題の解決を通じて日本の金融システムの信頼回復を目指した。
この結果、大手銀行の不良債権比率は大幅に低下したが、自己資本の減少など副作用もあったことから識者からの評価は分かれている。
金融危機を乗り越え株価が反転
この金融危機の直後に株価が反転しています。
これは2003年4月りそな銀行に公的資金が注入された時です。
これから一気に日本が変わるのではないかという期待で、外国人投資家を筆頭に日本に投資資金が流入してきました。
2005年からまた一気に株価が上がっています。
これは小泉首相が郵政解散をして、自民党が大勝したため株価が上昇しました。
同時に新興市場バブル(IPOバブル)が起こり、インターネット関連企業を中心に新規株式公開ブームとなります。
買えば大儲けできたので、投資家はこぞって新規公開株を求めました。
サブプライムローンからの不動産バブル
その後、金融バブルの崩壊が起こりました。
この過程において、アメリカでは不動産バブルが起きていました。
サブプライムローンと呼ばれる信用力が低い住宅ローンを証券化して販売していたため、それが結局リーマンショックに繋がることになります。
BRICsの台頭から新興国バブル
この時に話題になったのが「BRICs」という言葉です。
アメリカで余った資金が、世界中の株式市場や原油先物市場に資金が流れたことにより、ブラジル・ロシア・インド・中国などの新興国バブルが同時に起きました。
新興国バブル・証券化バブルは、2008年10月にリーマンショックが起こったことにより、完全に終了しました。
ほとんどの個人投資家は高いところで買ってしまう
このようにして、10数年来の日経平均はバブルや危機が繰り返し起きています。
当然、我々からすれば危機の時に買えばいいわけです。
それが難しいと思うでしょうが、一つ言えることは「危機が起きた後は株価が回復する」ということです。
現在、ソブリンリスクと言われているギリシャの財政危機、あるいは他の欧州の国々の財政懸念、アメリカでも経済の減速懸念が起きています。
日本にも景気の踊り場になるかな、という雰囲気が漂っていますね。
「安く買って、高く売る」には危機が起きた時に、買いを入れなくてはならない。
私を含め、ほとんどの個人投資家は高いところで買ってしまいます。
株価が高くなっていると周りが儲かっていますし、株を勧める人も予想が当たっているので、心理的に買いやすいからですね。
株価が上がっている時期というのは、誰が予想しても株価は上がります。高いお金を請求して投資情報を教えているところもありますが、株価が上がっている局面ではそんな情報はいらないですね。
上がった局面では売っていくという投資のスタイルに変えないと、なかなか株では儲けられないということです。
株価上昇局面では心理的に買いやすいが、結局高いところで買ってしまうことが多い
まとめ
銘柄の分析ができたとしても、いつ買うかという判断は難しいところです。
もちろん、「安く買って、高く売る」ということは誰でもわかっていることですが、それを実践することは簡単ではありません。
本日、解説をしたように株式市場は危機とバブルを繰り返しています。
そして、危機が起きた後に必ず株価は上昇します。
そのため、株式で儲けるためには危機が起きた時に買いを入れなくてはなりません。
心理的にも非常に難しいことですが、これが出来ないと株で儲けることは難しいでしょう。
紫垣 英昭
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