リオープン銘柄(経済再開銘柄)に資金が流入!人の動きの回復で注目される銘柄は?

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

新型コロナからの経済回復で注目される「リオープン銘柄(経済再開銘柄)」に、世界各地で人の動きが回復していることを背景に資金が流れ込んでいます。

日本では2022年7月から8月に掛けて新型コロナ第7波で感染者数が高止まりしていますが、感染状況が収束してくれば、旅行やレジャーといった需要が一気に爆発してもおかしくありません。

オミクロン株は重症化しにくいことから、政府は季節性インフルエンザ相当の5類相当にする動きを進めており、正式に5類相当となればリオープン銘柄(経済再開銘柄)にも追い風となりそうです。

今回は、リオープン銘柄(経済再開銘柄)が注目される背景について解説した上で、おすすめのリオープン銘柄(経済再開銘柄)についてチャート付きで解説していきます。

この記事を読んで得られること
  • リオープン銘柄(経済再開銘柄)が注目される背景についてわかる
  • おすすめのリオープン銘柄(経済再開銘柄)についてチャート付きで学べる
  • リオープン銘柄(経済再開銘柄)について注目する上で、抑えておくべきポイントがわかる

リオープン銘柄(経済再開銘柄)とは?

リオープン銘柄(経済再開銘柄)とは、新型コロナからの「リオープン(経済再開)」で注目される銘柄を総称したテーマ株のことです。

新型コロナ禍では、世界中で人の動きが制限され、旅行や観光(インバウンド)、レジャーといった産業は大きな打撃を受けました。

その一例として、訪日外国人観光客については次のようになっています。

訪日外国人観光客の推移

※出典:日本政府観光局(JNTO)「国籍/月別 訪日外客数(2003年~2022年)」

JTBが発表した旅行者数のデータによると、コロナ禍前の2019年の国内旅行2億9,170万人、海外旅行2,000万人に対し、2021年は国内旅行1億3,200万人、海外旅行51万人となっています。

2022年7月には、HISが旅行需要低迷を受けて長崎県のテーマパーク「ハウステンボス」を売却するというセンセーショナルなニュースも流れました。

株式市場においても、新型コロナで大きな打撃を受けた、旅行や観光(インバウンド)、レジャーを手掛ける銘柄は、新型コロナ相場の上昇の恩恵を受けられずに低迷しているケースが少なくありません。

ただ、ワクチン接種やオミクロン株の弱毒化を背景に、世界中で人の動きが回復しつつあり、今まで消費が抑えられていた旅行や観光需要は爆発寸前となっています。

星野リゾートの星野社長は「世界中で旅行需要はマグマのように溜まり噴火寸前の状態だ」と語っており、水面下ではリオープン銘柄(経済再開銘柄)に資金が流れ込みつつあります。

世界各地で人の動きが復活してリオープン銘柄(経済再開銘柄)に資金が流入している

世界各地で新型コロナからの「リオープン(経済再開)」の動きが続いています。

世界各地で人の動きが復活している。

スポーツニュースなどで、アメリカのメジャーリーグやヨーロッパのサッカーを見ると、満員のスタジアムでお客さんはほぼ誰もマスクを着けていないことが分かります。

そして、欧米では海外旅行も既に解禁されており、人の動きも復活しています。

スペインの旅行調査会社ForwardKeysが発表した2022年7~9月の観光動向調査では、その動きが顕著です。

同調査では、2022夏の世界の旅行者数は、コロナ禍前の2019年夏と比較して、全体で65%まで回復する見込みと発表しています。

※出典:ForwardKeys

ただ、地域によって回復差には偏りがあり、アフリカ・中近東地域は83%、北中南米は76%、ヨーロッパは71%(いずれも2019年夏比)と回復が顕著ですが、アジアは35%に留まっており海外旅行解禁で遅れていることが分かります。

アジアでも、中国はゼロコロナ政策を続けていますが、タイや韓国などは海外旅行解禁に舵を切っており、今後は回復傾向が鮮明になってくることかと思われます。

日本では、2022年6月から海外旅行の大幅緩和がされ、入国者数の上限を1万人から2万人に引き上げました。

しかし、旅行者は団体観光客にのみ限定され、多くの場所でマスク着用が求められ、隔離が義務付けられているなど、日本ではインバウンドの完全解禁がされたとはまだ言えません。

日本でも新型コロナを5類相当にする動きが高まっている

日本では2022年7月から8月に掛けて、新型コロナ第7波で感染者数が高止まりしています。

ただ、ワクチン接種やオミクロン株の弱毒化などもあり、第7波でも重症者・死亡者数はほとんど増えておらず、政府や専門家会議の間では、新型コロナを感染症法上で季節性インフルエンザ並みの「5類相当」に見直す動きが見られ始めています。

岸田首相は7月31日、新型コロナについて、感染第7波の収束後に感染症法上の扱いを、現行の2類相当から引き下げる検討を進める考えを示しました。

新型コロナが5類相当になれば、経済に与えるインパクトは大きく、旅行や観光(インバウンド)、レジャーなどには本格的な特需が到来することが期待されます。

既に2022年夏時点においても、新型コロナでは重症化しなくなったことを受けて、日本でも人の動きが活発化しています。

JTBによると、2022年の夏休み期間(7月15日~8月31日)の国内旅行人数は前年同期比75%増の7,000万人となり、2019年水準の97%まで回復する見通しとのことです。

コロナ第7波を受けても、8月に入って目立ったキャンセルは特に見られないとのことです。

リオープン銘柄(経済再開銘柄)を手掛ける上では、「新型コロナの5類相当への引き下げ」と「日本の海外旅行(インバウンド)完全解禁」の2点については注視していきましょう。

おすすめのリオープン銘柄(経済再開銘柄)10選!

リオープン銘柄(経済再開銘柄)として注目の銘柄を押さえておきましょう。

【4661】オリエンタルランド

東京ディズニーリゾート(東京ディズニーランド、東京ディズニーシー)を運営する【4661】オリエンタルランドは、レジャー最大手のリオープン銘柄(経済再開銘柄)です。

同社は、テーマパーク最大手銘柄であり、レジャー株の代名詞とも言える銘柄です。

株主優待では、「東京ディズニーランド」「東京ディズニーシー」のどちらかのパークで利用可能な1デーパスポートを貰えるため、株主優待投資でも人気の銘柄となっています。

【4661】オリエンタルランドの月足チャート

オリエンタルランドの株価は、長期的に右肩上がりの上昇となっており、上場来高値を更新し続けています。

【9041】近鉄グループホールディングス

【9041】近鉄グループホールディングスは、私鉄大手の近畿日本鉄道(近鉄)や近鉄百貨店、旅行大手のKNT-CTホールディングス(近畿日本ツーリスト・クラブツーリズム)を中核としています。

鉄道、百貨店、旅行と、新型コロナからの回復が期待されるリオープン銘柄(経済再開銘柄)であり、2025年大阪万博でも期待される銘柄でもあります。

【9041】近鉄グループホールディングスの月足チャート

近鉄グループホールディングスの株価は、2022年に入ってから堅調に反発しています。

【6191】エアトリ

航空券予約サイト「エアトリ」を運営する【6191】エアトリは、旅行株の中でも注目されるリオープン銘柄(経済再開銘柄)です。

【6191】エアトリの月足チャート

エアトリは、2020年3月コロナショック時には他の旅行株同様に大きく売られましたが、2021年以降はアフターコロナでの旅行需要回復が期待されて反発しています。

【4331】テイクアンドギブニーズ

結婚式場を運営するウェディング大手の【4331】テイクアンドギブニーズは、日本初のブティックホテル「TRUNK (HOTEL)」の運営でも知られる、リオープン銘柄(経済再開銘柄)です。

新型コロナ禍では結婚式の開催も自粛が続いていましたが、人の流れの回復とともに結婚式需要も急回復することが期待されます。

【4331】テイクアンドギブニーズの月足チャート

テイクアンドギブニーズの株価は、2021年以降から回復傾向となっており、2022年8月8日には好決算を発表したことを受けてストップ高となりました。

【9142】JR九州

九州地方全域の鉄道会社【9142】JR九州も、リオープン銘柄(経済再開銘柄)に位置付けられる銘柄です。

同社はJRグループですが、鉄道事業を補完する事業の多角化を進めており、売り上げの過半数を不動産や建設、流通といった非鉄道収入が占めています

【9142】JR九州の月足チャート

JR九州の株価は、横ばいの動きが続いていますが、直近の業績は急回復傾向にあります。

【9616】共立メンテナンス

学生寮・社員寮の管理運営や、ホテル・旅館の運営事業を手掛ける【9616】共立メンテナンスは、観光セクターで注目のリオープン銘柄(経済再開銘柄)です。

同社は、国内でホテル・旅館を運営していますが、足元の業績は急回復傾向にあります。

【9616】共立メンテナンスの月足チャート

共立メンテナンスの株価は、業績の回復とともに回復傾向にあり、2022年8月9日に発表した第1四半期決算では黒字転換を発表しました

【9201】JAL(日本航空)

航空大手2位の【9201】JAL(日本航空)は、代表的な空運株として注目されるリオープン銘柄(経済再開銘柄)です。

【9201】JAL(日本航空)の月足チャート

JALの株価は、まだ横這いの動きとなっていますが、それだけに反発余地が大きいことから、今後上昇が期待できるように思われます。

【9202】ANAホールディングス(全日空)

航空首位の【9202】ANAホールディングス(全日空)は、JALと並んで注目される空運大手のリオープン銘柄(経済再開銘柄)です。

【9202】ANAホールディングス(全日空)の月足チャート

全日空の株価も、JALと同じくまだ横這いの動きが続いており、新型コロナが収束すれば、今後反発が期待できそうです。

【4680】ラウンドワン

複合レジャー施設「ROUND 1」を展開する【4680】ラウンドワンは、レジャーセクターで注目されるリオープン銘柄(経済再開銘柄)です。

【4680】ラウンドワンの月足チャート

ラウンドワンの株価は、順調に回復を続けています。

2022年8月5日に発表した中間決算では、コロナ禍からの客足回復が想定以上となり黒字転換を発表、株価も大きな出来高を伴って急伸しました。

【4344】ソースネクスト

自動AI翻訳機「ポケトーク」を展開する【4344】ソースネクストは、インバウンドの本格解禁で注目されそうなリオープン銘柄(経済再開銘柄)です。

【4344】ソースネクストの月足チャート

ソースネクストは、新型コロナの影響で大きく売られ続けていましたが、2022年2月を底に、反発に転じ始めています。

まとめ

今回は、リオープン銘柄(経済再開銘柄)が注目される背景について解説した上で、おすすめのリオープン銘柄(経済再開銘柄)についてチャート付きで解説してきました。

新型コロナからの経済回復で期待される、旅行や観光、レジャーといったリオープン銘柄(経済再開銘柄)は堅調に反発している銘柄が目立ちます。

特に、2022年7月から8月に掛けては、【4331】テイクアンドギブニーズや【4680】ラウンドワン、【9616】共立メンテナンスなどが想定以上の良決算を発表しており、日本でも人の動きが急速に回復している動きが顕著となっています。

日本のコロナ感染者数は第7波で高止まりしていますが、これが収束してくれば、需要が一気に爆発してきてもおかしくありません。

岸田総理は、第7波が収束すれば、新型コロナを季節性インフルエンザと同じ「5類相当」にする方針を掲げていることも追い風です。

「新型コロナの5類相当引き下げ」と「日本の海外旅行(インバウンド)完全解禁」の2点について押さえておきながら、リオープン銘柄(経済再開銘柄)についても引き続き注目しておきましょう。

紫垣 英昭