紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
「株の少額投資は利益が出せないから意味がない」
このようなイメージがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、投資方法や証券会社の選び方次第では、少額でも株の取引で利益を得ることが可能です。
株式投資に興味があっても資金が不足しているという方や、少しずつ株取引の勉強をしたいという方も、少額投資からスタートしてみてはいかがでしょうか?
そこで今回は、少額投資のメリットや銘柄の選び方などについて詳しく解説していきます。
少額投資におすすめの証券会社もご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
- 少額投資のメリットがわかる
- 少額投資の銘柄の選び方がわかる
- 少額投資におすすめの証券会社がわかる
株の少額投資でも利益は出せる
株の少額投資は1万円~10万円、場合によっては数百円からの投資となるため、利益は得られないというイメージもあります。
しかし、1,000円の株が1,300円に上昇すれば300円の値幅が得られます。
わずかな利益も積み重なれば資金が増えていくため、時間の経過とともに大きな金額の売買ができるようになります。
短期間で大きな利益を狙うのは難しいですが、リスクを抑えながら中長期的な視点で資産を増やしたいという方には最適な投資法と言えるでしょう。
10万円以下でも株式投資はできる!
基本的に、株の購入は「100株から」と決められています。
たとえば、任天堂(7974)の株価は51,770円(2021年8月27日時点)なので、購入するためには最低でも「51,770×100=517万7千円」の資金が必要です。
一方、東急不動産ホールディングス(3289)の株価は621円(2021年8月27日時点)なので、「621×100=62,100円」から購入することができます。
つまり、株価が1,000円未満の銘柄であれば、10万円からでも投資が可能です。
なお、証券会社によっては1株から株を購入できるサービスを提供しています。このようなサービスを利用すれば株価が高い銘柄でも少額投資の対象となります。
少額投資のメリット
株の少額投資には、主に次のようなメリットがあります。
・初心者でも始めやすい
・値がさ株も購入できる
・手数料が安い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
初心者でも始めやすい
数百円からでも始められる少額投資なら、株式投資の初心者でもトレードを学びながら利益を得ることができます。
株式投資で成功するためには経験と知識が欠かせません。
はじめから多額の資金を使ってトレードを行うと、経験や知識を得る前に損失が大きくなり、トレードを続けられなくなる可能性もあるので注意が必要です。
値がさ株も購入できる
国内の株式を購入する場合は、一部の例外を除いて最低単元株数が100株と決められています。
たとえば、ファーストリテイリング(9983)の株価は約72,050円(8月21日現在)なので、最低単元の100株を購入するためには約700万円の資金が必要です。
しかし、1株から購入できる少額投資サービスを利用すれば、72,050円でファーストリテイリングの株を購入できます。
手数料が安い
株式の売買には手数料がかかるため、手数料が高すぎると購入した株が値上がりしても利益が少なくなってしまいます。
しかし、少額トレードの場合は取引手数料が100円以下に抑えられているケースも多いので、手数料を気にする必要はほとんどありません。
1日の約定代金が10万円以下なら手数料は無料となっている証券会社もあります。
株の少額投資の方法と銘柄の選び方
少額の投資でも、トレードの方法と銘柄の選び方はしっかり覚えておきたいところです。
そこでここからは、基本的な株の少額投資方法と銘柄の選び方を詳しくご紹介していきます。
株価を指定して銘柄を探す
株の少額投資に欠かせないのが「スクリーニングツール」です。
スクリーニングツールを利用すれば、さまざまな条件を設定して銘柄を検索・選択することができます。
株価から銘柄を検索できるスクリーニングツールなら、検索条件を「10万円以下」や「1万円以下」などのように指定するだけで条件に合致した銘柄の一覧が表示されます。
ミニ株に投資する
「ミニ株(単元未満株)」とは、単元未満株でも購入できる株のことです。
証券会社によっては「S株」や「プチ株」などの名称も使われていますが、サービスの内容は変わりません。
国内株式を購入する場合は、一部の例外を除いて最低単元が100株と決められています。株価が2,000円の株を購入する場合は、2,000×100=20万円の資金が必要です。
しかし、ミニ株などのサービスを利用すれば、1株から株の購入ができるため、株価が2,000円の株を買う場合は、当然2,000円で購入できます。
なお、単元未満株の購入はリアルタイムではなく発注や約定のタイミングが別に決められている証券会社も多いので事前にチェックしておきましょう。
「PBR」と「PER」に注目して割安株を探す
たとえ少額でも、割安の株を選択して投資するようにしましょう。
株価が割安かどうかを判断する指標には、主に「PBR」と「PER」があります。
・PBR
「PBR(株価純資産率)」は、株価を1株当たりの純資産額で割った数値です。
PBRが1倍の企業は、株価と企業の解散価値が同水準であることを示します。
そのため、PBRが1倍より大きい株は割高、1倍より小さければ割安と判断できます。
・PBR
「PBR(株価純資産率)」は、株価を1株当たりの純資産額で割った数値です。
PBRの数値が低いほど、純利益に対する株価が割安であると判断できます。
ただし、PERは業種によって大きく異なるため、銘柄を選ぶ際には、同業種企業のPERを比較して割高か割安かを判断する必要があります。
株の少額投資に適した証券会社とは?
株の少額投資に適した証券会社には、主に次のような特徴があります。
・スクリーニングツールが充実している
・手数料が安い
・NISAが利用できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
スクリーニングツールが充実している
多くの証券会社では、条件を指定して銘柄を検索できるスクリーニングツールが用意されています。
しかし、ツールの機能は証券会社によって異なるため、少額投資をする場合には次の2つを基準にツールの充実度を測るといいでしょう。
・10万円以下で購入できる銘柄を探せるかどうか
・スクリーニング結果に投資金額の項目があるかどうか
手数料が安い
少額投資で利益を手元に残すためには、手数料の安さも重要です。
手数料が高額な証券会社を使うと、利益よりも手数料の方が高くなることがあります。
「手数料が高いか安いかわからない」という方は、1日の約定代金10万円以下の手数料が100円未満の証券会社を選ぶといいでしょう。
NISAが利用できる
NISA(少額投資非課税制度)とは、投資で得た配当や譲渡益が非課税になる制度です。
投資の利益には約20%の税率が課せられますが、NISA口座を利用した投資で利益が生じても課税されません。確定申告も不要です。
非課税になるのは投資した年から最長5年間で、購入金額は年間120万円までです。
一括で120万円を投資しても、数回に分けて投資した合計額が120万円でも非課税の対象になります。
なお、NISAは国在住で20歳以上の方なら、誰でも1人につき1口座作成することが可能です。
複数社に口座を作ることはできないため、どの証券会社に口座を作成するか慎重に検討しましょう。
株の少額投資におすすめの証券会社
ここからは、株の少額投資におすすめの証券会社を紹介していきます。
手数料やツール、単元未満株の取り扱いなどを基準に選定した結果、おすすめの証券会社は次の6社となりました。
・松井証券
・楽天証券
各社の特徴を詳しく見ていきましょう。
LINE証券
LINE証券は、「割安な銘柄」や「好業績予想銘柄」、「高配当利回り銘柄」など、20種類以上のカテゴリから銘柄を探せる証券会社です。
1株からでも購入できる株は、約1,000銘柄のなかから選べます。
取引手数料は約定代金が5万円まで55円、10万円までが99円と業界最低水準。
使いやすい取引ツールも用意されているので売買タイミングも逃しません。
SBI証券
SBI証券は、1株から購入できる「S株」というサービスが特徴の証券会社です。
24時間いつでも発注可能で、約定タイミングは1日3回あります。
現物スタンダードプランの手数料は、約定代金5万円まで55円、10万円まで99円と格安。
スクリーニングツールは口座を開設するだけで利用でき、NISA口座での取引にも対応しています。
マネックス証券
マネックス証券は、1株から購入できる「ワン株」が魅力のネット証券です。
買付時の手数料は無料。
売却時の手数料も約定代金の0.55%(最低52円)と比較的安いので、手数料をほとんど意識する必要がありません。
注文は成行注文だけですが、基本的に即約定するので売買タイミングを逃しません。
投資SNSと少額投資機能が一体になったスマートフォンアプリが用意されているのも特徴です。
松井証券
松井証券は、1日の約定代金50万円以下の取引手数料が無料の証券会社です。
単元未満株の手数料は約定代金の0.5%となりますが、インターネット経由でNISA口座を使った場合は手数料が無料になります。
スマホから簡単に銘柄情報をチェックできる株アプリが用意されているのも魅力です。
スクリーニングツールを使えば、PERやPBRの倍率から銘柄を検索することもできます。
auカブコム証券
auカブコム証券は、単元未満株を売買できる「プチ株」が利用できる証券会社です。
手数料は約定代金の0.5%、最低手数料は52円となります。
なお、毎月500円以上、1円単位でプチ株を定期的に買い付ける「プレミアム積立」を利用した場合の手数料は無料です。
少額で株を積み立てたいという方は利用してみてもいいでしょう。
楽天証券
楽天証券は単元未満株を取り扱っていませんが、手数料の安さと利用しやすさが少額投資に適しています。現物の取引手数料は、1日の約定代金が10万円まで無料。
トレーディングツールはPC、スマホ、タブレットからのスピード発注に対応しています。
楽天グループを利用して貯まった「楽天ポイント」を使って現物株に投資できるのも特徴です。
まとめ
投資方法や銘柄の選択方法を間違いなければ、少額投資でも利益を狙うことが可能です。
最低売買金額が100万円を超える銘柄も、S株やプチ株などのサービスを利用すれば数万円で購入できます。
少額投資を成功させるためには、手数料やスクリーニングツールの充実度などをチェックしたうえで証券会社を選ぶことが大切です。
PBRやPERといった株価の割安度を測る指標も覚えておくといいでしょう。
少額投資は株取引の勉強にも最適なので、初心者の方も積極的にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
紫垣 英昭
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