WBC関連銘柄の注目銘柄とは?大谷・ダル参加の侍ジャパンが世界一奪取で経済効果も期待か

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紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は、メジャーリーガーも参加する、野球の世界一を決めるスポーツ大会です。

2023年3月に開催される第5回WBCは、大谷翔平選手とダルビッシュ有選手も参加することもあり、侍ジャパンは3大会ぶりに世界一になることが期待されています。

WBCはサッカーワールドカップと並ぶスポーツコンテンツとなっており、侍ジャパンが世界一になれば、高視聴率を取ることはもちろん、さまざまな経済効果や株価への効果も注目されます。

今回は、WBCの経済効果について解説した上で、2023年WBCで注目されそうなWBC関連銘柄についてチャート付きでご紹介していきます。

この記事を読んで得られること
  • WBCの経済効果についてわかる
  • 2023年WBCで注目されそうなWBC関連銘柄についてチャート付きで学べる
  • WBC開幕前の時点から今後について考えることができる

WBC関連銘柄とは?

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)とWBC関連銘柄について押さえておきましょう。

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)とは?

WBC(World Baseball Classic、ワールド・ベースボール・クラシック)は、メジャーリーグベースボール(MLB)機構によって主催される、野球の世界一を決めるスポーツ大会です。

WBCは、サッカーワールドカップのような世界大会にすることを目的に、2006年に第1回大会が開催されました。

野球大国の日本にいるとあまり実感することはありませんが、野球はサッカーに比べると世界の競技人口が少なく、世界への普及が課題となっています。

WBCは、世界的には認知度が低く、世界的な経済効果などはサッカーワールドカップの足元にも及ばないということが現実です。

ただ、野球大国の日本では、WBCは毎回大きな盛り上がりとなり、ワールドカップと並ぶ高視聴率を獲得しています。

過去4大会と日本の成績

WBCの最高視聴率

参考:紅白歌合戦の視聴率

参考:ワールドカップの視聴率

2006年(優勝)

43.4%(決勝・キューバ戦)

39.8%

52.7%(2006年)

2009年(優勝)

40.1%(決勝・韓国戦)

40.8%

57.3%(2010年)

2013年(準決勝敗退)

34.4%(二次ラウンド・オランダ戦)

44.5%

46.6%(2014年)

2017年(準決勝敗退)

27.4%(二次ラウンド・キューバ戦)

39.4%

48.8%(2018年)

※出典:ビデオリサーチ

特に、イチローが出場して侍ジャパンが世界一となった2006年の第1回大会、2009年の第2回大会では、いずれも40%を超える高視聴率となりました。

2022年12月に行われたサッカーワールドカップでは、日本代表がドイツ・スペインを破る大躍進をし、コスタリカ戦は42.9%の年間最高視聴率となりました(紅白歌合戦は35.3%)。

2023年のWBCで侍ジャパンが再び世界一になれば、40%を超える高視聴率を取ることも十分に期待できます。

WBC関連銘柄の概要

今回注目していくWBC関連銘柄は、スポーツ用品企業やスポーツバーなどが注目されるテーマ株です。

また、侍ジャパンが世界一になれば、オフィシャルスポンサーにも注目が集まるかもしれません。

第5回WBCの東京ラウンド(準決勝まで)におけるオフィシャルスポンサーは次のようになっています。

グローバルスポンサー

NIPPON EXPRESSホールディングス、コナミデジタルエンタテインメント

特別協賛

NIPPON EXPRESSホールディングス、カーネクスト

協賛

檸檬堂、コナミデジタルエンタテインメント、三菱UFJ銀行、セールスフォース・ジャパン

サッカーワールドカップではグローバルスポンサーとなった日本企業はありませんが、WBCでは日本企業が多く、野球大国の日本がいかにWBCに力を入れているかが分かります。

2023年第5回WBCでは侍ジャパンは優勝候補!

2023年の第5回大会では、二刀流の大谷翔平選手と、ダルビッシュ有選手が参加することから、日本代表は優勝候補の一角となっており、3大会ぶりの世界一が期待されます。

第5回WBCには大谷・ダルビッシュが参加で侍ジャパンは優勝候補に

2023年に開催される第5回WBCで、侍ジャパンは3大会ぶりの世界一を目指しています。

今回は、栗山英樹監督のもとに、二刀流の大谷翔平選手と、メジャー有数の投手となったダルビッシュ有選手が参加することから、日本代表は優勝候補の一角となっています。

侍ジャパンが優勝を争う上で手強い相手となると見られているのが、数多くのメジャーリーガーを率いるアメリカとドミニカ共和国です。

イギリスのブックメーカーなど海外のオッズを見てみると、アメリカ、ドミニカ共和国、日本の3ヶ国が優勝候補となっています。

侍ジャパンは東京ラウンドの準々決勝を突破すると、準決勝でアメリカと、決勝でドミニカ共和国と対戦する可能性があります。

第5回WBCの日程は次の通りです。

日程

対戦国

3月9日(水) 19:00~

中国

3月10日(金) 19:00~

韓国

3月11日(土) 19:00~ 

チェコ共和国

3月12日(日) 19:00~

オーストラリア

3月16日(木) 19:00~

準々決勝

3月19日(日)、3月20日(月) 8:00~

準決勝

3月21日(火) 8:00~

決勝

侍ジャパンが世界一になれば、関連銘柄に注目が集まる期待

関西大学の宮本勝浩教授の試算によると、2023年WBCで侍ジャパンが優勝した場合の経済効果は約596億円に上り、これは前回大会で優勝した場合の想定よりも約253億円増えるとのことです。

今回は、メジャーリーガーがほとんど参加しなかった2013年、2017年大会とは違い、大谷翔平選手とダルビッシュ有投手のメジャー組に加えて、日本人ホームラン記録を更新して三冠王を獲得した村上宗隆選手、完全試合を達成した佐々木朗希投手といった注目選手が出場することが背景にあります。

株式市場においては、世界大会で日本代表が活躍すると反応があることは、2022年末のサッカーワールドカップでも明らかです。

まだ記憶に新しい2022年末のサッカーワールドカップでは、日本代表は堂安選手や三苫選手、浅野選手の活躍などもあり、ドイツ・スペインに勝利して世界を驚かせました。

次のチャートは、ワールドカップを全試合「AbemaTV」で無料放送して話題となった【4751】サイバーエージェントの日足チャートです。

【4751】サイバーエージェントの日足チャート

サイバーエージェントの株価は、サッカー日本代表が活躍した2022年11月から12月に掛けて、大きく買われたことが分かります。

世界経済で見ると、WBCはワールドカップに比べたらほとんど影響力がありませんが、日本経済という観点で見るとワールドカップ以上の経済効果をもたらす可能性があります。

WBC関連銘柄10選!

侍ジャパンが世界一になった場合に注目のWBC関連銘柄を押さえておきましょう。

【3030】ハブ

英国風PUBチェーン「HUB」や「82HUB」を運営している【3030】ハブは、2022年サッカーワールドカップで物色された実績があり、WBC関連銘柄としても注目の銘柄です。

同社は、小型株で急騰しやすい性質もあり、2022年末のサッカーワールドカップで日本代表が活躍した際にも急騰しました。

【3030】ハブの日足チャート

ハブの株価は、既に2023年に入ってからWBC期待で買われており、出来高も急増していることが分かります。

【9766】コナミグループ

ゲームやスポーツジム、カジノなど多角経営を行う【9766】コナミグループは、WBCのグローバルスポンサーとなっているWBC関連銘柄です。

同社は、スポーツゲームに強く、野球ゲーム「実況パワフルプロ野球」や「プロ野球スピリッツ」で知られています。

【9766】コナミグループの月足チャート

コナミグループの株価は、新型コロナ相場で巣ごもり消費に強いゲーム株として買われましたが、2022年6月以降は調整局面となっており、ワールドカップ・WBCでも売りに押されています。

【8022】ミズノ

野球やゴルフ、競泳に強いスポーツ用品大手の【8022】ミズノは、スポーツ用品メーカーでは最注目のWBC関連銘柄です。

ミズノは野球用品に強いスポーツ用品メーカーとして有名であり、プロ野球(NPB)の公式球は長年に渡ってミズノ製のボールが使用されていることでも知られています。

【8022】ミズノの月足チャート

ミズノの株価は、2022年11~12月にワールドカップでも物色されましたが、WBC期待から2023年に入ってからも出来高を伴って上昇していることが分かります。

【7936】アシックス

「アシックス」や「オニツカタイガー」など競技用シューズ最大手の【7936】アシックスは、スポーツ用品メーカーとしてWBC関連銘柄の一角です。

アシックスは、ミズノに比べると野球色は薄いものの、大谷選手にシューズやグローブを提供していることで知られています。

【7936】アシックスの月足チャート

アシックスの株価は、2022年ワールドカップ前から物色されており、WBC前の2023年に入ってからも買われています。

ただ、出来高を見てみると、アシックスよりミズノの方がWBC前に増加しており、アシックスはサッカー寄りの銘柄と言えます。

【8114】デサント

スポーツウエア大手の【8114】デサントも、スポーツ用品メーカーとしてWBC関連銘柄の一角を占める銘柄です。

野球用品では、スポーツウエアをはじめ、シューズやアクセサリーなども手掛けています。

【8114】デサントの月足チャート

デサントの株価は、2023年に入ってから上がっています。

【8135】ゼット

バッドやグローブなど野球用品に強いスポーツ用品卸大手の【8135】ゼットは、WBC関連銘柄としてWBC開幕前から急騰している銘柄です。

同社は大手スポーツ用品企業ではないものの、2023年からメジャーに挑戦している千賀滉大投手、藤浪晋太郎投手と契約を結んでいるなど、野球にゆかりのある企業として知られています。

【8135】ゼットの月足チャート

ゼットの株価は、2022年11月から大きく上げていますが、これはWBCへの期待以外の要因は考えられません。

WBC開幕前の時点では、最も物色されている銘柄と言ってよいでしょう。

ただ、大手スポーツ用品企業とは違い、中小株で出来高・流動性ともに小さいため、急騰後の暴落には注意が必要です。

【8281】ゼビオホールディングス

スポーツ用品専門店「ゼビオ」「ヴィクトリア」を展開する【8281】ゼビオホールディングスも、WBC関連銘柄の一角です。

侍ジャパンが世界一になって野球が盛り上がれば、野球関連商品に特需が発生することも期待できます。

【8281】ゼビオホールディングスの月足チャート

ゼビオホールディングスの株価は、他のスポーツ用品株のようには、ワールドカップ・WBCで反応していません。

【9147】NIPPON EXPRESS ホールディングス

総合物流最大手の【9147】NIPPON EXPRESS ホールディングスは、WBCのグローバルスポンサーをつとめていることからWBC関連銘柄に位置付けられます。

【9147】NIPPON EXPRESS ホールディングスの月足チャート

NIPPON EXPRESS ホールディングスの株価は、2023年に入ってから上がっていますが、WBC効果と言うには無理があるように思えます。

サッカーワールドカップでも、日本代表のオフィシャルパートナーである【2503】キリンホールディングスは物色されておらず、単にグローバルスポンサーだからという理由では反応しづらいと言えます。

【9409】テレビ朝日ホールディングス

民放キー局「テレビ朝日」を運営する【9409】テレビ朝日ホールディングスは、2023年WBCでも多数の試合を放映するWBC関連銘柄です。

2023年WBCでは、予選からチョコ共和国・オーストラリア戦を放映し、決勝戦を放映することも決まっています。

【9409】テレビ朝日ホールディングスの月足チャート

テレビ朝日ホールディングスの株価は、厳しい展開が続いています。

2022年には、サッカーワールドカップの日本×コスタリカ戦を放映して視聴率年間トップとなったものの、株価には反映されていません。

【9401】TBSホールディングス

民放キー局「TBS」を運営する【9401】TBSホールディングスも、WBC関連銘柄の一角と考えられます。

TBSでは、予選の中国戦・韓国戦を放映することが決定しています。

【9401】TBSホールディングスの月足チャート

TBSホールディングスの株価は、テレ朝同様に厳しい展開となっており、マーケットではテレビ局は衰退セクターと認識されていると言わざるを得ません。

なお、2023年2月には大きく上げましたが、これは民放連が放送分野における外資規制等に係る法令改正に対する意見を総務省に提出したことを受けてのもので、WBC関連での上昇とは言えません。

まとめ

今回は、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の経済効果について解説した上で、2023年WBCで注目されそうなWBC関連銘柄についてチャート付きでご紹介してきました。

2023年3月開催の第5回WBCで、日本代表の侍ジャパンは、大谷翔平選手やダルビッシュ有選手、村上宗隆選手、佐々木朗希投手らが参加することから優勝候補の一角に数えられています。

侍ジャパンが3度目の世界一となれば、その経済効果は大きく、マーケットでもWBC関連銘柄としてご祝儀買いが期待されます。

既にWBC開幕前の時点から、スポーツパブの【3030】ハブや、野球用品に強い【8135】ゼットといった中小株が買われており、野球に強いスポーツ用品大手【8022】ミズノの株価も堅調です。

紫垣 英昭