紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
世界中で新型コロナのワクチン接種が加速しており、新型コロナが収束したアフターコロナの世界はもうすぐそこまで来ています。
ワクチン接種が進むイスラエルやイギリスでは新型コロナ感染者数が激減し、経済もコロナ前に戻ってきており、日本でもワクチン接種の遅れが指摘されるものの接種が加速し始めています。
アフターコロナに経済が正常化すれば、新型コロナ禍で大きく売られた観光・外食・エンタメ産業を中心とする銘柄の株価も、正常化して反発することが期待されます。
今回は、アフターコロナに大きな反発が期待されるアフターコロナ関連銘柄について、チャート付きでご紹介していきます。
- アフターコロナに大きな反発が期待されるアフターコロナ関連銘柄についてわかる
- アフターコロナ関連銘柄がチャート付きでわかる
- コロナ禍で大きく動いていた銘柄について、どのような流れに注意しなければならないのかを学べる
新型コロナ収束後のアフターコロナの世界はすぐそこまで来ている
日本の新型コロナ感染者数は減少傾向に向かっているものの、このコロナ禍は一生続くように思えてしまうかもしれません。
ただ、日本でもワクチン接種は着実に進んでおり、新型コロナが収束するアフターコロナに向かっていることは確かです。
イスラエルやイギリスではワクチンで新型コロナがほぼ収束
イスラエルやイギリス、アメリカなどではワクチン接種が進んだことで、新型コロナ感染者数が大きく減っています。
2021年5月31日時点では、イスラエルは59.25%、アメリカは40.19%、イギリスでは36.67%がワクチン接種(2回接種)を完了しており、日本の2.43%に比べると雲泥の差です。
出典:NHK
ワクチン接種の効果は、各国の新規感染者数にも大きく影響しています。
イスラエル、アメリカ、イギリスと日本について、人口1万人当たりの新規感染者数を示したチャートは次の通りです。
イスラエル・アメリカ・イギリス・日本の新型コロナ新規感染者数
イスラエル、アメリカ、イギリスでは最大ピークとなっていた2021年1月に比べて、新規感染者数が8分の1程度にまで激減したことが分かります。
特にイスラエルはほぼ収束した形となっており、経済も新型コロナ前へと正常化しました。
ワクチン接種による経済正常化の効果は、如実に経済指標にも表れています。
2021年5月に発表された2021年1-3月期のGDP速報では、アメリカは前期比年率+6.4%という高い成長率となった一方、日本では緊急事態宣言の影響もあり前期比年率-5.1%という厳しい数字となりました。
なお、インド株やイギリス株などの変異株は懸念されているものの、現時点ではワクチンの効果に大きな影響を与えることはないと見られています。
日本でもワクチン接種が加速中!
世界と比べれば遅れが目立つものの、日本でもワクチン接種が着実に進んでいることは間違いありません。
日本では医療従事者に続いて高齢者へのワクチン接種が本格化していますが、2021年5月28日には接種回数1,000万回を突破しました。
ファイザーに続いてモデルナとアストラゼネカのワクチンも承認され、東京や大阪では大規模接種も始まっています。菅総理が掲げる1日100万回の接種目標に向けて、打ち手の確保も進められています。
1日当たりの接種回数は最大47万回(2021年5月28日実績)に留まっていますが、今後ワクチン接種が加速することは確実で、7月末までに高齢者への接種が完了する公算は高いものと思われます。
集団免疫を達成するには、人口の6~7割がワクチンを打つ必要があるとされますが、新型コロナのリスクが高い高齢者への接種が完了してからは、若者への接種が進むかどうかも課題です。
アメリカでは若者を中心にワクチン接種を忌避する人も多く、ワクチン接種のペースが鈍化しているとも報じられています。
とはいえ、日本では、20代や30代であっても「ワクチンを打ちたくない」と回答しているのは20%弱程度に留まっているため、高齢者へのワクチン接種が完了してからもスムーズに進むことが期待されます。
アフターコロナに向けた銘柄選びのポイントは?
アフターコロナで経済正常化が本格化してくると、株式市場にも変化が起こるものと見られます。
アフターコロナに向けて注目される銘柄選びのポイントについて押さえておきましょう。
コロナ禍で大きく売られた銘柄である
株式市場はコロナショックに見舞われた2020年3月以降、新型コロナ相場となり株高が続いています。
日経平均株価は30年ぶりに3万円台を回復し、NYダウは史上最高値を付けました。
株以外の資産価格も上がっており、金(ゴールド)や銀、白金(プラチナ)などの金属価格は上昇し、ビットコインなどの仮想通貨にはバブルが到来、首都圏の不動産価格もさらに上昇しています。
コロナ禍で株高となった背景には、世界各国が財政出動を行ったマネーがマーケットに向かったことや、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進むことが期待されたことなどが挙げられます。
とはいえ、その一方で、コロナショック以降、新型コロナ相場の恩恵を受けられずに停滞したままの銘柄も少なくはありません。
アフターコロナで経済が正常化してくると、コロナ禍で大きく売られたまま停滞している銘柄の株価も正常化に向かって反発することが期待されます。
一方、新型コロナ相場で買われ過ぎてしまった銘柄には注意が必要です。
例えば、デジタルトランスフォーメーションやSaaS(クラウド)、電子認証、デジタル庁などで注目された【3788】GMOグローバルサイン・ホールディングス(旧・GMOクラウド)は、2020年に最も買われた銘柄の一つですが、2020年10月に高値を付けてからは大暴落となっています。
【3788】GMOグローバルサイン・ホールディングスの月足チャート
アフターコロナで経済正常化してくると、コロナ禍で急騰して異常な株価となっていた銘柄も正常化に向かう動きが出てくることには注意しておきましょう。
コロナ収束による消費拡大が期待される銘柄である
新型コロナで特に大きな打撃を受けた産業としては、観光・外食・エンタメ産業が挙げられます。
観光業は、海外旅行の需要がほぼゼロになってしまい、国内旅行は「Go To トラベルキャンペーン」で一時回復したものの、緊急事態宣言で再び大幅減になってしまいました。
東京オリンピックは、外国人観光客によるインバウンド特需が期待されていましたが、外国人の観客は入れないことが決まっています。
変異株が警戒されているため、海外旅行はしばらく厳しい状況が続くかもしれませんが、ワクチン接種が進めば国内旅行は過熱することが期待されます。
外食産業は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で狙い撃ちされてしまっている状況です。
マクドナルドやケンタッキー、モスバーガーといったドライブスルー需要がある企業や、出前館などのフードデリバリー企業は絶好調となっており、コロナへの対応によって二極化しています。
ただ、株価を見てみると、外食チェーン株はそこまで大きく売られてはおらず、新型コロナの打撃は個人飲食店に集中しているものとも見てとれます。
エンタメ産業は、ゲームや電子コミック、動画配信は巣ごもり消費で絶好調ですが、スポーツやライブといった観客を入れて行うエンタメは壊滅的状況です。
ただ、コロナ禍でのオンラインイベントには限界があることを多くの人が実感しており、リアルイベントの価値を見直す声は非常に多くなっています。
観光・外食・エンタメ産業はコロナ禍では不要不急とされてしまいましたが、アフターコロナで経済正常化に向かえば、それまで押さえられていた消費欲求が爆発して特需が発生することが期待されます。
アフターコロナ関連銘柄10選!
アフターコロナに大反発が期待されるアフターコロナ関連銘柄を10銘柄見ていきましょう。
【4344】ソースネクスト
自動AI翻訳機「ポケトーク」を手掛ける【4344】ソースネクストは、東京オリンピック関連では最右翼銘柄の一つとして期待されていた銘柄です。
残念ながら、東京オリンピックのインバウンド需要はなくなってしまいましたが、アフターコロナで海外旅行が再開された場合には反発が期待されます。
【4344】ソースネクストの月足チャート
ソースネクストの株価はコロナショックで暴落後、停滞したまま低位株となっています。3万円弱から投資することが可能です。
【9713】ロイヤルホテル
西の名門ホテル「リーガロイヤルホテル」を展開する【9713】ロイヤルホテルは、国内旅行が正常化した際には注目しておきたいアフターコロナ関連銘柄です。
【9713】ロイヤルホテルの月足チャート
ロイヤルホテルの株価は、2020年3月のコロナショック以降は停滞したままの状況が続いています。
ホテルは新型コロナで大打撃を受けており、ホテル株は停滞している銘柄が目立ちます。
【9202】ANAホールディングス
大手航空会社の【9202】ANAホールディングスは、主要銘柄の中では新型コロナの打撃を最も大きく受けた銘柄の一つとなっています。
大きな打撃を受けた分だけ、アフターコロナに向けて押さえておきたい銘柄です。
【9202】ANAホールディングスの月足チャート
日経平均が3万円まで上昇する中で、ANAと【9201】JALの株価は停滞したままです。
【9706】日本空港ビルデング
羽田空港を運営する【9706】日本空港ビルデングは、国内旅行正常化で期待されるアフターコロナ銘柄です。
【9706】日本空港ビルデングの月足チャート
日本空港ビルデングの株価は、ここ5年間は横ばいとなっています。
2020年には「Go To トラベルキャンペーン」が始まった8月以降に反発しましたが、緊急事態宣言が頻発している2021年に入ってからは厳しい値動きです。
【3926】オープンドア
旅行比較サイト「トラベルコ」を運営している【3926】オープンドアは、旅行株の中でも特に大きな値動きをする銘柄となっており、国内旅行が正常化した際にも真っ先に物色されることが期待されるアフターコロナ関連銘柄です。
【3926】オープンドアの月足チャート
オープンドアは直近決算で赤字転落となったものの、株価は好調です。
コロナ前の株価を回復したどころか、「Go To トラベルキャンペーン」が始まった2020年8月以降は積極的に買われており、コロナ前の水準を大きく上回って推移しています。
同社は、旅行株の中では異質な値動きとなっており、国内旅行が正常化した際には上場来高値を更新していってもおかしくありません。
【3197】すかいらーく
「ガスト」や「バーミヤン」、「ジョナサン」などのファミリーレストランチェーンを運営する【3197】すかいらーくは、外食の正常化で期待されるアフターコロナ銘柄です。
【3197】すかいらーくの月足チャート
すかいらーくの株価は、コロナショック後は停滞しています。
また、同社は株主優待でも人気の銘柄でしたが、2020年9月に改悪が発表されてしまいました。
アフターコロナに株価が回復し、株主優待も正常化することに期待されます。
【9861】吉野家ホールディングス
牛丼チェーン「吉野家」を展開する【9861】吉野家ホールディングスは、コロナ禍で株価が停滞しており、アフターコロナで株価も正常化することが期待されます。
【9861】吉野家ホールディングスの月足チャート
吉野家ホールディングスの株価は、コロナショック前の2020年1月には上場来高値を付けましたが、コロナショック以降は停滞したままです。
【4301】アミューズ
サザンオールスターズや福山雅治、星野源、Perfumeといった人気アーティストが多数所属する大手芸能事務所【4301】アミューズは、ライブイベント制限の影響を大きく受けています。
【4301】アミューズの月足チャート
アミューズの株価は、「Go To イベントキャンペーン」が期待されたことなどから、2020年8月以降は上昇していましたが、コロナ前の株価は遠い状況です。
ワクチン接種が加速して、ライブイベントの観客上限数が撤廃されることが期待されます。
【4337】ぴあ
イベントチケット販売トップの【4337】ぴあは、スポーツやライブイベントの中止・縮小によって大きな打撃を受けており、アフターコロナの正常化が期待される銘柄です。
【4337】ぴあの月足チャート
ぴあの株価は、コロナショック後に停滞した状況が続いています。
東京オリンピックが無事に開催され、ワクチン接種と感染対策を万全に行えば、大規模イベントでも安全であることが示されれば、流れが変わってくるかもしれません。
【2378】ルネサンス
スポーツジム(フィットネスジム)も、観光・外食・エンタメ産業と同じく新型コロナの打撃を受けています。
フィットネスクラブ「スポーツクラブ ルネサンス」を展開する【2378】ルネサンスも、新型コロナの影響を受けて株価低迷しています。
【2378】ルネサンスの月足チャート
ルネサンスの株価は底を打った感はあるものの、新型コロナ前の水準はまだ遠い状況です。
ワクチン接種が進むことで、スポーツジムも安全に使える状況になることが望まれます。
まとめ
今回は、アフターコロナに大きな反発が期待されるアフターコロナ関連銘柄について、チャート付きでご紹介してきました。
日本では2021年6月になっても緊急事態宣言が延長され、感染者数がなかなか減らない状況が続いていますが、ワクチン接種が進むイギリスやイスラエルでは感染者数が激減し、経済も正常化しています。
日本でもワクチン接種が着実に進んでおり、アフターコロナというゴールはそこまで遠くありません。
アフターコロナでは、コロナ禍で消費欲求が抑え込まれていた観光・外食・エンタメ産業を中心に特需が発生し、コロナ禍で大きく売られていた銘柄が正常化することが期待されます。
ただ、コロナ禍で大きく売られていた銘柄の株価が正常化していく一方で、コロナ禍で大きく上がり過ぎていた銘柄も正常化に向かう流れには注意が必要です。
紫垣 英昭
この記事が気に入ったら
いいねしよう!
最新記事をお届けします。