こども庁関連銘柄は少子化対策の国策テーマ株!子育てに強い注目銘柄とは?

執筆者
プロフィール写真

紫垣英昭

昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介

2021年4月2日、菅政権が、こども庁の創設検討を指示したというニュースが流れたことで、株式市場では保育事業を手掛ける銘柄を中心とする「こども庁関連銘柄」が急騰する展開となりました。

こども庁は、子育てに関する縦割り構造を打破することを目的に創設され、マーケットでは少子化対策の国策テーマ株になることが期待されます。

ただ、こども庁関連銘柄は、こども庁創設のニュースを受けて短期的には急騰しましたが、少子化によるこども市場の縮小によって長期的には株価が苦戦している銘柄が多いことには注意が必要です。

今回は、こども庁の概要について解説した上で、こども庁創設のニュースを受けて急騰した、こども庁関連銘柄をチャート付きでご紹介していきます。

この記事を読んで得られること
  • こども庁の概要についてわかる
  • こども庁創設のニュースを受けて急騰した銘柄がわかる
  • こども庁関連銘柄をチャート付きでわかる

菅政権の新たな目玉政策として浮上した「こども庁」とは?

2021年4月2日、菅総理は子育て政策について省庁横断で取り組む「こども庁」の創設を党として検討するよう指示したと報じられました。

こどもに関する施策は、保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省、認定こども園は内閣府が所管するなど各省庁にまたがっており、縦割りによる弊害が指摘されています。

「こども庁」を創設することによって、子育てに関する縦割り構造を打破し、児童虐待や不登校、教育格差などを含めて、こどもに関わる様々な政策を一元的に行うとのことです。

政府が「こども庁」の創設を進める背景には、日本で長引く少子化があります。

日本の出生数・出生率の推移

出典:厚生労働省(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2020/r02pdfhonpen/pdf/s1-2.pdf)

日本の出生数は減少を続けており、2016年には遂に年間100万人を割り込みました。

最新の2020年の出生数は、速報値ベースで87万2,683人と過去最少となっており、新型コロナの影響が出てくる2021年の出生数は80万人割れもあり得ると報じられています。

人口を維持できる出生率(人口置換水準)は2.07人ですが、日本では第二次ベビーブーム以降はこの水準を割り続けており、ここ30年間は1.50前後で推移し続けています。

出生数の減少が止まらず、新型コロナが追い打ちを掛けている中、「こども庁」の創設は少子化対策として注目されます。

こども庁関連銘柄は少子化対策の国策テーマ株として注目される

こども庁関連銘柄としては、育児や子育て支援に関する事業を手掛けている銘柄が注目されます。具体的には、保育園を運営している銘柄や幼児教育を手掛けている銘柄などです。

こども庁創設のニュースが報じられた2021年4月2日以降、保育園を運営している銘柄を中心に、こども庁関連銘柄は急騰することになりました。

こども庁創設のニュースを受けて、こども庁関連銘柄は大きな上昇となりましたが、短期的な上昇と長期的な上昇は分けて考える必要があります。

例えば、子育て支援最大手の【2749】JPホールディングスは、こども庁のニュースを受けて急騰しましたが、短期チャート(日足チャート)と長期チャート(月足チャート)とでは、全く様相が異なります。

【2749】JPホールディングスの日足チャート

【2749】JPホールディングスの株価は、こども庁創設のニュースを受けて2021年4月2日以降に急騰したことが分かりますが、長期の月足チャートで見てみると次のようになっています。

【2749】JPホールディングスの月足チャート

直近の2021年4月には反発となっていますが、長期的には苦しい値動きとなっていることが明らかです。

少子化の影響から、こども庁関連銘柄に位置付けられる銘柄は、長期的に苦しい値動きとなっている銘柄が少なくありません。

今回は、こども庁のニュースを受けて、こども庁関連銘柄がどのように物色されたのかを短期の日足チャートで見ていきますが、長期チャートでチェックしておくことも重要です。

少子化の影響をはねのけて、こども庁関連銘柄が長期的に買われるテーマ株になっていくかどうかは、政府がこども庁しいては少子化対策にどれだけ真剣に取り組むかに掛かっているものと思われます。

こども庁関連銘柄10選!

こども庁の創設のニュースを受けて大きく買われた、こども庁関連銘柄を見ていきましょう。

【2749】JPホールディングス

保育園や学童クラブ、児童館といった子育て支援施設の運営やコンサルティングを手掛ける【2749】JPホールディングスは、子育て支援の最大手企業として知られており、こども庁関連銘柄の最右翼です。

【2749】JPホールディングスの日足チャート

JPホールディングスは、こども庁を受けて大きく買われました。

こども庁が報じられてから2日で約+25%の上昇率となっています。

【2152】幼児活動研究会

園児・小学生への体育指導や保育所・塾の運営を手掛ける【2152】幼児活動研究会は、こども庁創設を受けて特に大きな急騰となりました。

【2152】幼児活動研究会の日足チャート

幼児活動研究会は、こども庁のニュースを受けてストップ高となり、3日で約2倍の急騰となりました。

また、こども庁関連銘柄は、少子化で長期的には厳しい値動きとなる銘柄が多い中、同社は長期的にも成長株となっており、こども庁のニュースを受けて上場来高値を更新しています。

【4766】ピーエイ

東日本で無料求人メディアを発行する【4766】ピーエイは、保育事業として保育園「ココカラ保育園」を運営していることから、こども庁関連銘柄として物色されました。

【4766】ピーエイの日足チャート

ピーエイの株価は、こども庁に反応して大きく上昇しました。こども庁のニュースを受けて、3日で最大+72%の上昇となっています。

同社は保育園事業が主力ではありませんが、個人投資家でも買いやすい低位株だったことから、こども庁関連銘柄として大きく買われたものと見られます。

【6189】グローバルキッズCOMPANY

首都圏を中心に保育所「グローバルキッズ」を展開する【6189】グローバルキッズCOMPANYも、こども庁関連銘柄として大きく上昇しました。

【6189】グローバルキッズCOMPANYの日足チャート

グローバルキッズCOMPANYは、こども庁で一時+30%近くの上昇となりましたが、高値を付けてからは暴落しており、こども庁が報じられる前の水準近くにまで値を落としています。

【7037】テノ.ホールディングス

公的保育所の運営や保育士派遣、ベビーシッターサービスなどを手掛ける【7037】テノ.ホールディングスも、こども庁関連銘柄に数えられます。

【7037】テノ.ホールディングスの日足チャート

テノ.ホールディングスは、こども庁ニュースによって2日連続で買われましたが、その後は下落が続き、こども庁が報じられる前の水準にまで戻してしまっています。

【7084】Kids Smile Holdings

保育園運営とオリジナル幼児教育教材開発を手掛ける【7084】Kids Smile Holdingsも、こども庁関連として物色された銘柄です。

【7084】Kids Smile Holdingsの日足チャート

Kids Smile Holdingsは、こども庁が報じられた4月2日から3日に掛けて買われたものの、その後は下落しており、ほぼ戻してしまった形となっています。

【7363】ベビーカレンダー

出産・育児向け情報メディア「ベビーカレンダー」を展開し、産婦人科向け経営コンサルティングを手掛ける【7363】ベビーカレンダーは、こども庁ニュース直前にIPOとなった新興のこども庁関連銘柄です。

【7363】ベビーカレンダーの日足チャート

ベビーカレンダーの株価は、2021年3月25日のIPO直後に、こども庁が発表されたことから非常に激しい値動きとなっています。

こども庁関連銘柄の中では、最も売買代金が大きくなっていますが、投資初心者が手を出すには非常にリスクのある銘柄です。

【7097】さくらさくプラス

認可保育所「さくらさくみらい」を運営する【7097】さくらさくプラスも、こども庁創設を受けて買われました。

【7097】さくらさくプラスの日足チャート

さくらさくプラスの株価は、こども庁が報じられた2021年4月2日から買われていることが分かります。

【6557】global bridge HOLDINGS

保育や障害者介護、サービス付き高齢者向け住宅を展開している【6557】global bridge HOLDINGSは、保育事業として認可保育園や小規模保育、保育園業務支援システムなどを手掛けています。

【6557】global bridge HOLDINGSの日足チャート

global bridge HOLDINGSの株価は、こども庁を受けて大きく買われたことが分かります。

中長期的には、2020年末に底を打った形となっています。

【7688】ミアヘルサ

首都圏で調剤薬局や保育園を展開する【7688】ミアヘルサも、こども庁関連銘柄に位置付けられる銘柄です。

【7688】ミアヘルサの日足チャート

ミアヘルサの株価は、こども庁を受けて2021年4月に買われたことが分かります。

まとめ

今回は、こども庁の概要について解説した上で、こども庁創設のニュースを受けて急騰した、こども庁関連銘柄をチャート付きでご紹介してきました。

2021年4月2日に報じられた「こども庁」の創設を受けて、保育園事業を展開する銘柄を中心に、こども庁関連銘柄は全面高の急騰となりました。

ただ、こども庁関連銘柄は、4月2日の急騰後すぐに戻してしまった銘柄も少なくありません。

少子化の影響もあり、長期的には厳しい値動きとなっている銘柄が多いことには注意が必要です。

とはいえ、こども庁関連銘柄は少子化対策の国策テーマ株として、長期に渡って注目されるようになる可能性は十分にあります。

今後のこども庁関連銘柄の動向は、政府がどれだけ本気でこども庁、しいては少子化対策を積極推進できるかに掛かっていると言えるでしょう。

紫垣 英昭