紫垣英昭
昭和62年証券会社に入社し事業法人、金融法人、ディーラー経験
現在、延べ2万人近くの個人投資家に日本株の売買指導を行っている。
3年前より「全方位型トレード・システム」を提唱し、多くのプロトレーダーを育成。
著書3冊を出版、新聞、雑誌の執筆や講演も多数あり。
著書紹介
カリスマ経営者イーロンマスク氏が率いるアメリカのEV大手テスラモーターズが、ビットコインに15億ドル投資することが明らかになったことで、ビットコインを始めとする仮想通貨がさらに急騰しています。
テスラ株と仮想通貨はいずれも2020年から2021年に掛けて大きく上昇していますが、このニュースが伝わったことで投資家の資金がさらに集まることも期待されます。
テスラのビットコイン投資は日本株にも無関係ではなく、仮想通貨関連銘柄が大きく買われており、テスラに関係するEV関連銘柄も買われてきそうです。
今回は、テスラのビットコイン投資による市場の反応やイーロンマスク氏の狙いについて解説した上で、テスラのビットコイン投資に関連する日本株(仮想通貨関連銘柄、EV関連銘柄)を紹介していきます。
- テスラのビットコイン投資による市場の反応やイーロンマスク氏の狙いについてわかる
- テスラのビットコイン投資に関連する日本株(仮想通貨関連銘柄、EV関連銘柄)がチャート付きでわかる
- 日本株投資を行う上で、今後抑えておきたい注目材料について学べる
EV大手テスラがビットコイン購入で仮想通貨や関連銘柄が急騰している
2020年2月8日、アメリカのEV(電気自動車)大手テスラモーターズが、代表的な仮想通貨であるビットコインを15億ドル購入したことを発表しました。
ビットコイン価格は2020年から2021年に掛けて再高騰していましたが、このニュースを受けてさらに急騰。
ビットコインの日足チャート(引用 : https://jp.tradingview.com/symbols/BTCUSD/?exchange=BITSTAMP)
ビットコインは史上最高値を大きく更新し、日本円に換算して初めて500万円を突破、時価総額も初めて8,000億ドルを超えることになりました。
ビットコイン価格は2020年3月に付けた安値から、この1年弱で10倍以上の上昇となっています。
また、テスラのビットコイン投資のニュースを受けて、ビットコインだけでなく、イーサリアムやリップルなど他の仮想通貨にも資金が流入してきています。
イーサリアムの日足チャート(引用 : https://jp.tradingview.com/symbols/ETHUSD/?exchange=BITSTAMP)
仮想通貨が大きく上昇した背景には、テスラがビットコイン投資を発表したことで、他の企業が仮想通貨投資に追随することが期待された動きがあったものと見られます。
テスラのビットコイン投資のニュースは仮想通貨市場に留まらず、アメリカの株式市場では、既に仮想通貨投資を行っているソフトウェア企業のマイクロストラテジーやオンライン決済のスクエア、同じくイーロンマスク氏が創業したことで知られるオンライン決済大手のペイパル・ホールディングスといった仮想通貨関連銘柄も大きく上昇しました。
【MSTR】マイクロストラテジーの日足チャート(引用 : https://jp.tradingview.com/symbols/NASDAQ-MSTR/)
マイクロストラテジーは、アメリカの上場企業では最もビットコインを保有している企業として知られており、仮想通貨関連銘柄として、この1年で10倍以上の急騰となっています。
テスラがビットコイン投資をする狙いとは?
テスラが2021年2月8日に提出した有価証券報告書によると、当面の運転資金に必要としない現金の運用先としてビットコイン投資を行うとのことです。
テスラは2020年末時点で194億ドル相当の現金を保有しており、今回発表したビットコイン15億ドルは、その約8%に相当します。
ただ、黒字化したばかりのテスラにとって、バブルも指摘されるビットコイン投資をすることは、今後業績上のリスクになることも懸念されます。
また、テスラは、ビットコインをテスラ製品の支払いに使えるようにすることも発表しました。
世界でEVの販売を拡大するテスラが支払い手段にビットコインを採用することで、実需面でのビットコイン需要が拡大することも好感されて、仮想通貨高に繋がったことは間違いありません。
テスラ創業者のイーロンマスク氏は、仮想通貨好きを公表していることで知られており、テスラの経営戦略においても仮想通貨を採用したことになります。
最後に、テスラモーターズのこの1年の株価を見ておきましょう。
【TSLA】テスラモーターズの日足チャート(引用 : https://jp.tradingview.com/symbols/NASDAQ-TSLA/)
テスラの株価は、2020年から2021年に掛けてビットコイン並みに上昇しており、時価総額は約80兆円とトヨタの3倍となっています。
奇遇にも、2021年2月時点の、テスラの時価総額とビットコインの時価総額はほぼ同額です。
なお、テスラの株価は、テスラがビットコイン投資を発表したことを受けて約+1%高に留まっており、この発表はテスラの株価にはそれほど寄与しませんでした。
テスラのビットコイン投資で注目の仮想通貨関連銘柄
テスラがビットコイン投資を始めたことで注目の日本株について、まずは仮想通貨関連銘柄を見ていきましょう。
【8698】マネックスグループ
ネット証券大手「マネックス証券」を運営している【8698】マネックスグループは、2018年に仮想通貨取引所「Coincheck(コインチェック)」を買収したことから、東証を代表する仮想通貨関連銘柄となっています。
日本の大手仮想通貨取引所では、bitFlyerとDMM BitcoinのDMMグループは非上場企業であるため、Coincheckを傘下とする同社は最も代表的な仮想通貨関連銘柄と言えます。
【8698】マネックスグループの週足チャート
マネックスグループの株価は、この1年でビットコインなどの仮想通貨価格と連動した大きな値上がりとなっています。
テスラのビットコイン投資で仮想通貨価格が上がったことを受けて、2021年2月8日には+16%の大きな上昇となりました。
【3807】フィスコ
金融情報サービスを提供する【3807】フィスコは、仮想通貨取引所「ZaifExchange」を運営している仮想通貨関連銘柄です。
【3807】フィスコの週足チャート
フィスコの株価も、この1年で仮想通貨価格に連動していることが分かります。特に、仮想通貨価格が一段高となった2020年12月から2021年1月に掛けて大きく上昇しています。
また、テスラのビットコイン投資を受けて、2021年2月8日には一時+32%とストップ高寸前まで買われました。
【7177】GMOフィナンシャルホールディングス
FX大手「GMOクリック証券」を運営する【7177】GMOフィナンシャルホールディングスは、仮想通貨取引所「GMOコイン」を展開している仮想通貨関連銘柄です。
【7177】GMOフィナンシャルホールディングスの週足チャート
GMOフィナンシャルホールディングスの株価は、マネックスグループとフィスコほどではないですが、仮想通貨価格と連動してこの1年で大きく上昇していることが分かります。
テスラのビットコイン投資を受けて、2021年2月8日には+6%の上昇となりました。
【3825】リミックスポイント
仮想通貨取引所「BITPOINT(ビットポイント)」を運営する【3825】リミックスポイントは、ボロ株の仮想通貨関連銘柄です。
【3825】リミックスポイントの週足チャート
リミックスポイントの株価は、この1年で苦しい展開となっています。2020年は100円未満のボロ株が大きく買われ、仮想通貨も仮想通貨関連銘柄も買われたにも関わらず、同社はほとんど物色されていません。
2021年の初めには一時大きく買われたものの、他の仮想通関連銘柄に比べると弱いと言わざるを得ません。
ただ、100円前後のボロ株となっているため、仮想通貨高騰を受けて、今後再急騰する可能性も期待できる銘柄です。
【2315】CAICA
金融向けに強いシステムインテグレーターの【2315】CAICAは、テスラのビットコイン投資で好感されて上昇している仮想通貨関連銘柄です。
同社は、仮想通貨に関するシステム開発や、ビットコイン相場を対象とするeワラントも手掛けており、仮想通貨「CAICAコイン」が上場していることでも知られます。
【2315】CAICAの週足チャート
CAICAの株価は、100円未満のボロ株となっていますが、直近の2021年2月に急騰していることが分かります。
ただ、同社はボロ株であり、仮想通貨以上にリスクのある銘柄であることは留意しておきましょう。
テスラのビットコイン投資で注目のEV(電気自動車)関連銘柄
テスラがビットコイン投資を始めたことで注目の日本株について、EVシフトでも注目のEV(電気自動車)関連銘柄の中から、特にテスラと関係が深い銘柄を見ていきましょう。
【6752】パナソニック
総合家電大手の【6752】パナソニックは、テスラモーターズと共同でリチウムイオン電池の生産工場「ギガファクトリー」を運営していることでも知られるEV関連銘柄です。
同社は、日本株では最もテスラとの関係が深い銘柄として知られており、テスラ関連銘柄に位置付けられます。
【6752】パナソニックの週足チャート
パナソニックの株価は順調に上昇しており、コロナショックからは2倍の上昇となっています。
特に、世界中でガソリン車の新規販売を停止する「EVシフト」が吹き荒れた2020年秋以降に大きく上昇している様子が見てとれます。
【6149】小田原エンジニアリング
モーター用自動巻線機大手の【6149】小田原エンジニアリングは、テスラにモーター用自動巻線機を納入していることでも知られるEV関連銘柄です。
【6149】小田原エンジニアリングの週足チャート
小田原エンジニアリングの株価は、EVシフトでEV相場となった2020年秋以降に大きく上昇しています。
【6594】日本電産
モーター大手の【6594】日本電産は、エンジンがモーターに置き換わることから、EVシフトによって最も大きな恩恵を受ける日本企業とも言われています。
テスラとの取引はまだありませんが、テスラ向けにEV用モーターを提供する試みを積極的に続けており、テスラへのモーター供給が行われることは時間の問題と期待されます。
【6594】日本電産の週足チャート
日本電産の株価は、2020年3月のコロナショック以降、上昇し続けています。時価総額は8.7兆円にまで到達しており、トヨタの3分の1まで来ました。
今後、テスラへのモーター供給が決まったというニュースが流れれば、一段高になることも期待できます。
まとめ
今回は、テスラのビットコイン投資による市場の反応やイーロンマスク氏の狙いについて解説した上で、テスラのビットコイン投資に関連する日本株(仮想通貨関連銘柄、EV関連銘柄)を紹介してきました。
テスラが15億ドル分のビットコイン投資をし、さらにテスラ製品にビットコインを使えるようにすると発表したことを受けて、ビットコインを始めとする仮想通貨は一段高となっています。
日本株でも、【8698】マネックスグループや【3807】フィスコ、【2315】CAICAといった仮想通貨関連銘柄が大きく上がっています。
ただ、今回のニュースでは、仮想通貨や仮想通貨関連銘柄は上がりましたが、テスラ株やEV関連銘柄はそこまで反応していません。
トヨタを時価総額で抜いたテスラの動向や仮想通貨価格の動向は、日本株投資を行う上でも注目材料となっています。今後も引き続き注視しておきましょう。
紫垣 英昭
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